2023年11月21日

西荻のこと研究所 メールマガジン67号 (2023.6.1)

投稿者: nishiogiorg

杉並区議会議員選挙 結果

2023年4月23日に行われ、翌日開票された杉並区議会議員選挙の結果が杉並区のHPに出ています。

https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/kusei/senkyo/r05kugi/1087605.html

1)投票率上昇とパリテ
岸本聡子氏が区長となって以降、初めての区議選。区長選のときに岸本氏をサポートしていた「ひとり街宣」メンバーなどが新人として出馬するなど、早い時期から注目を集めていました。投票率は2019年の区議選と比べると4%以上上昇。定数48人に対して69人が立候補するという混戦状況から、現職が12人落選という結果になりました。
また、議会構成員の男女比が、女性の方が多くなったということでも全国的に注目を集めました。(「パリテ」と言うそう。フランス語で「同等」を意味するparité。フランスでは2000年に男女が同等に政治参画をするよう促すための法律、通称パリテ法が定められている)

2)それぞれの投票率
投票率は前回選挙に比べて4%ほど上昇しました。
各投票所の投票率はこちらです。
https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/kusei/senkyo/r05kugi/1087604.html

毎度、投票率の1位は井荻駅の北にある集合住宅「グランドメゾン杉並シーズン」内の投票所で今回は56.22%。なぜここの投票率がいつも高いのかというと、住居の近くだから、というのが理由の1つにあるそう。そして投票率の第2位は西荻地域区民センターの49.05%。西荻エリアの各投票所はいずれも平均以上の投票率。道路のことなどもあって、区政への意識が他のエリアより高いのかもしれません。とはいえ、有権者の半数が投票に行かないというのも事実。どうやったら投票率を増やせるのかというのは杉並区の継続的な課題です。なお、最低の投票率だった投票所は、京王線の芦花公園駅と八幡山駅の間にある上高井戸区民集会所で33.13%。こちらは世田谷区との区境付近にあたるためか、杉並区政への意識がもともと低いエリアなのでしょうか。

3)杉並区議会のこれから
杉並区の自民党は、前回の区長選で田中区長(当時)をサポートするか否かをきっかけに、会派が分裂していました。今回の区議選では7人が落選したため、11人で会派をふたたび統一。議会の第一党を確保したとの情報が入った数日後、5月19日の区議会議長選挙において、自民党区議らが推す浅井くにおさんと同会派の井口かづ子さんが、議員による無記名投票で競って、1票差で浅井さんが敗れ、井口かづ子さんが議長になるという波乱が起こりました。ほとんど慣例的に第一党から議長が出ると聞いたことがあるので、今回も少なくともそうはなっていたものの、立憲・共産などの議員が自民党の井口さんに投票したと思われること、票差がわずか一票であることなど、驚くことばかりです。なおこの結果を受けて井口かづ子さんは自民党会派を離脱して一人会派となったそうです。また、自民党杉並では井口さんに対して「除名を含む重い処分」を自民党東京都支部連合会に上申しているそう。
今回の「一票」、今後の杉並区議会のいろいろな場面ですごく重要になってきそうです。議員一人ひとりの考え方がより敏感に反映される議会になっていくということですね。これからの区議会も目が離せません。

(奥秋圭)


リレー連載:132号線のこと(1)
「訳あり物件」の看板

キッチンカー〈ムシカ号〉が長期お休みとなっているので、今回は本店の目の前を通る道について、思うことをお話ししたい。

西荻窪駅を北に出て、青梅街道に向かってまっすぐ延びたバス通りを少し歩くと、善福寺川にかかる小さな橋が関根橋。その関根橋の袂に〈ガネーシャガル〉がある。今年でもう20年ここにいる。

ここに来る前から西荻窪のファンだ。よくあるチェーン店が駅前に立ち並び、我こそは!という感じで、大きな目立つ看板を競い掲げてる……そういう街ではない。

聞いたことも見たこともないような小さなお店がぽつぽつあって、隠れるようにひっそりと独自の空間を作ってる。それは地下だったり2階だったり、駅から遠かったり、商店街から外れていたり。それを見つけるのが嬉しくて、宝物探しのように目をこらし、鼻をきかせ、耳をすまし、見つけた宝物を大事に人に見せびらかす。宝石箱のようなこの街で自分も小さく輝く宝石になれたら、西荻にふさわしいお店になりたい。駅から遠くても小さくてもいいのだと、すっかりどっぷり西荻沼にハマったのです。

現在、店の前を通る北銀座通りの拡幅問題(補助132号線)で西荻窪がザワザワしている。
あれこれ噂ばかりでよくわからないというのが本音。いつからなのか、そもそもやるのかやらないのか、やらないという選択もあるのか……「70年前の計画が何故いま?」「工事期間は10年、いやもっと長くなる?」「関根橋の建替えからスタートと聞いたけど?」「デザインが出来上がってるから住民の意見は取り入れないらしい」「商店街はなくなる?」

そもそも道路拡幅後、私の好きなこの街はどんな街になるのだろうか?……といっているうちに去年辺りから道路沿いの建物が壊され、そして新たに建物が建った。その全てが住居となり店舗が無くなった。既存の店も閉めて出ていく所が何軒か出て来た。

以前、ガネーシャガルの向かいは互助会さん(冠婚葬祭業)で、地域に根ざした活動や商店街の活動にとても協力的だった。外のお掃除をしていると声をかけ挨拶を交わす。西荻六地蔵の内のひとつが建物の脇にあり、小さなお子さんとおばあちゃんがそこで手を合わせる姿があった。小さな街の商店街の風景が確かにそこにあったのだが、道路拡幅エリアにかかっている互助会さんは去年引っ越してしまい、その後、不動産会社が入った。そしてすぐに街にそぐわない大きな看板が掲げられた。看板の内容は「訳あり物件」「高額買取!!」シャッターは閉まったまま。

野鳥が訪れる善福寺川が流れ、プラタナス並木が自慢の商店街は、その大きくて挑発的な看板一つで、ガラッと風景を変えてしまいつつある。

狼煙(のろし)のように見えるその看板が掲げられた事を皮切りに、商店街のぶち壊し事業が始まっているのではないか。道路幅を広げること以外には何のプランも見えてこない。いつか歩きやすい道ができたとしても、その時にはもう商店街はなくなっているのではないか。私たちが黙っていたら……

  (ガネーシャガル 松岡美由起)


「まちづくりから道路整備を考える」
さとことブレスト シンポジウム

昨年秋より、現在杉並区の課題である都市計画道路とその周辺のまちづくりについて、区民と区長の対話集会「さとことブレスト」が始まった。対話集会は「さとことブレスト」と題し、西荻地域と高円寺地域で各4回、計8回開かれた。

そして、2022年度のまとめとして、「まちづくりから道路整備を考える」と題し、3月26日に西荻地域区民センターでシンポジウムが開催された。シンポジウムでは、さとことブレストでファシリテーターを務めた杉並建築会(杉並縁の都市、建築の専門家集団)から「さとことブレスト」開催の報告、都市計画の専門家である東京都立大学教授、饗庭伸さんの基調講演、ブレストの参加者4名(高円寺から2人、西荻から2人で、西荻側の一人はこと研メンバーの松本さん)と岸本区長を交えてのパネルディスカッションという流れで進み、最後に今後の展望が区長から発表された。

区長からは今年度、公民連携プラットフォーム「高円寺デザイン会議」「西荻デザイン会議」を立ち上げることが宣言された。

こと研では、その設立の当初から「区民・行政・専門家」による話し合いの「場」づくりを求めてきた。まちはそこに生きる人たちの基盤であるにも関わらず、それに関わる意思決定のプロセスに主役である市井の人たち、プレイヤーがあまりに関与できない制度を少しでも身近なものにできないかとの想いがその根底にある。

岸本区長の宣言は、その様な「場」を立ち上げるという話である。
 始めから上手くいくと楽観はできないけれども、それぞれの地域特性が表れる「場」にみんなで育んでいくことが試されてもいるとも考えられよう。ひいては、道路やまちづくりだけの話を越えて、様々な地域課題や地域の公共性そのものにコミットできる「場」が育まれれば、それは正にコモンであろう。

  (石井祐樹)

* * *

高円寺と西荻の道路問題を軸に、それぞれのエリアで4回ずつ実施してきた対話集会「さとことブレスト」は、シンポジウムの開催によりいったんの区切りとなった。「ブレスト」というフレームなので、さまざまな意見が自由に出され、西荻の初回に参加した私も、手応えのある内容だったと感じている。ブレスト内で交わされた意見は杉並区のHPで閲覧できるようになっている。
しかしこれをまとめるとなると大変だ。「ニシオギ空想新聞2」で山田耕平区議が指摘しているように、西荻の補助132号線は費用対効果で言うとほとんど意味がなくとも、高円寺と中野をつなぐ補助221号線は費用対効果がそれなりにある路線となるなど、高円寺と西荻では同じ都市計画道路でも状況がかなり異なる。また高円寺には純情商店街をぶち抜く補助227号線というミッションインポッシブルな計画もあり、話しているうちにいろいろごっちゃになってしまうのだ。パネルディスカッションでも高円寺・西荻から来た双方の意見が、微妙にすれ違ってしまっているように感じた。

最後に区長から、公民連携プラットフォームの仕組みについてと、「高円寺デザイン会議」「西荻デザイン会議」が発表された。
西荻の道路を拡幅するにあたっては、地域の人たちの合意を得て決められたまちづくりの方針があり、それに沿って道路がデザインされる、というプロセスを経てきているわけではない。西荻窪地域にはまだまちづくり方針は定まっていない。それを住民主体で考えるような機構も存在しない。こと研では、活動の中でこういったプラットフォーム的な地域の場、たとえば協議会のようなものをつくる必要があると考えてきた。以前にもどこかで書いたと思うが、田中前区長の時代に、道路のデザインなどにどれだけ住民が関われるのかについてを、都市整備部の道路担当に聞いたとき「街路樹の樹種と歩道のタイルの色くらいなら」と返事をもらったことがある。こういった市民参加に消極的だとも受け取れる杉並区の姿勢は、岸本区長になってからも実はそんなに変わっていない。ただ、さまざまな場を用意し始めていることは間違いなく、その一つがこの公民連携プラットフォームだ。

岸本区長のTwitterには、
「これから継続的な対話の場として、新たに始まる公民連携プラットフォームの第一号として、西荻と高円寺デザイン会議の設置を提案しました。」
とあった。
今回提案された2つの会議は、公民連携プラットフォームの第一号として、岸本区長自身が提案したものだということになる。
ちなみにこの公民連携プラットフォームは区民なら誰でも提案を出すことができ、すでに登録用のページも稼働している。
https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/kusei/aratanakyodo/1087098.html
ただ、提案を出したからといって連携がすぐスタートするわけでもなく、実際の運用は正直よくわからない。個々の提案に区の予算があてがわれるわけでもなさそうだ。
既存の「まちづくり団体」との違いとしては、
◯公認「まちづくり団体」のような助成金(年3〜7万円)はない
◯まちづくり以外のフレームでも提案できる

というあたりだろうか。
思うに、どしどし登録して、ともかくどしどし提案を出して多様なプラットフォームをつくっていくのが大切なのかも。
区長提案の西荻デザイン会議が、「街路樹の樹種とタイルの色」のデザインを決めるだけの会にならないよう、こと研としても見届けていきたい。

なお余談ではあるが、シンポジウムの会場で岸本区長が発表した「西荻デザイン会議」のマークが、「ニシオギ空想計画」「ニシオギ空想新聞」のロゴにすごく似ていてびっくりした。いろんな人から「こと研は西荻デザイン会議に関わってるんですね」みたいなことを言われたが、今のところ関わってないしもちろんロゴのデザインもしていない。
風のうわさでは、ロゴデザインは都市計画道路担当課長自身とのことで、こと研の活動が課長の無意識に働きかけてしまい、デザインを寄せてしまったのかな、などとちょっと感慨に耽りつつ、次からは事前にご相談をいただけるとありがたいです。

3月26日のシンポジウムの内容は、杉並区公式Youtubeから見ることができるようになっています。

  (奥秋圭)


大好評発売中!!!
「ニシオギ空想新聞Vol.2」

(全16ページ/フルカラー)
発行日 2023年3月15日
販売価格 330円(税込)

西荻の道路や開発のことを扱った「ニシオギ空想新聞2」。ぜひ多くの方に読んでいただいて、西荻の人自身で西荻のことを考える機運となればと願っています。

販売店(5/31現在・順不同)
西荻のことカフェ/信愛書店/古書音羽館/村田商會/カフェインザラフ/暮らしのいろいろ ていねいに、/三つ枝商店/インド料理ガネーシャガル/カフェカワセミピプレット/今野書店/Loupe/Dawner/やきとり戎/アトリエハコ/サロン+アトリエポルカ/Title/BREWBOOKS/ランチハウス/数寄和


目次:
◯抄録 ことビルオープニングトーク 「西荻のこと、まちのこと、これからのこと」     饗庭伸・中島直人
◯報告 ニシオギ大調査     コース紹介・参加方法・分析座談会
◯分析 さとことブレスト
◯インタビュー 都市計画道路担当課長・星野剛志さん
◯4つの疑問と6つの提案
◯インタビュー 西荻の人に聞きました2
やきとり戎/JR西荻窪駅/関東バス株式会社     信愛書店/あなたの公差転/杉並区長/中野書店     区議会議員(1)/区議会議員(2)
◯ニシオギ空想新聞図書室


お問い合わせメール
info@nishiogi.org

なお、3年前の2020年1月に西荻案内所から発売されたVol.1はこちらから無料でダウンロードできます。そちらも合わせてぜひチェックを。


西荻シネマ準備室の貸出について

西荻シネマ準備室は、西荻窪からなくなって久しい「映画館」の復活を目標に、その実現に向けての調査研究・準備をするために設けられたスペースです!……が、ふだんは多目的スペースとして以下のようなご利用が可能です。

展示会○販売会○新製品発表会○ワークショップ会場○トークイベント会場○ミーティング・会議○撮影スタジオ○習い事○読書会○学習会○お教室○記者会見○オンライン配信会場 などなど

1時間2,200円 または1日22,000円(9-21時)


ご利用のお問い合わせ kabu@nishiogi.org


いつでもできます
ニシオギ大調査

  「西荻のこと研究所」で実施している「ニシオギ大調査」は、当初はイベント開催でしたが、現在では恒常的にできるようになっています。コースはAコースとBコースの2種類。
スタート地点から歩きながら、チェックポイントにてスマホで入力フォームにアクセス。それを繰り返すだけの簡単調査です。
コースガイドは「西荻のことカフェ」はじめ、西荻のいろんなお店のチラシラックなどにありますので探してみてください。こちらからPDFのダウンロードも可能です。

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読みやすい杉並区議会議事録

平成30年9月から令和2年6月までの杉並区議会より、都市計画道路補助132号線に関するやり取りの部分だけを抜粋したPDFを作成しました。
どんなやりとりが行われているのか、ぜひチェックを。
読みやすいように縦書きでレイアウトしてみました。

以下よりダウンロードしてください。
https://nishiogi.org/wp-content/uploads/2020/08/gijiroku132.pdf


西荻窪の未来を考える会議 議事録

2020年7月17日と11月20日、西荻北銀座商友会の樋代会長と、杉並区の道路と都市計画と商店街関係部署(都市整備部土木計画課・市街地整備課・産業振興センター)の担当者と、西荻のこと研究所メンバーで会合を持ちました。その際の議事録をHPにアップしました。
この「西荻窪の未来を考える会議」は、将来的には西荻窪エリアに住む住民にもっと開かれたまちづくり会合の場を実現するべく、その準備として行っています。

西荻窪の未来を考える会議第1回

西荻窪の未来を考える会議第2回


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