西荻のこと研究所 メールマガジン78号 (2024.5.2)
杉並区気候区民会議
開催中
~区民が熟議し区政に意見提案できる場〜
岸本区政の大きな柱の一つである気候変動対策に対する施策である「杉並区気候区民会議」(以下、気候区民会議)。気候区民会議は、環境先進都市杉並を目指してゼロカーボン社会を創造すべく、区民参画による気候変動対策を推進し、一人ひとりが当事者意識を持って具体的な行動につなげていくことを目指し、そこでまとめられた気候変動対策に関する意見提案に対し、区は施策への反映を一つ一つ検討していくとしています。現在、気候区民会議は、第2回が開催されたところです。
■「気候市民会議」とは?
第一回で、登壇者の三上直之先生は、以下の様に説明されています。
社会の縮図となるように無作為に選ばれた数⼗⼈〜百数⼗⼈の参加者が、バランスのとれた情報提供を受けて、参加者主体でじっくりと議論(熟議)し、議論の結果を提⾔などの形でとりまとめ、とりまとめた結果は、脱炭素社会の実現に向けた効果的な政策・対策を⽣み出すために活⽤する。
気候市民会議は、ヨーロッパで5年ほど前から広がってきたもので、日本では杉並区が15事例目となり、一番規模の大きなものとなっています。ミニ・パブリックスと言われる無作為抽出された比較的少数の市民の熟議によって熟議的な民主主義を実現しようとする方法となっています。大きな社会変革が必要となる問題に対して民主的にものごとを進める方法の模索でもあり、その点も注目したいところです。
■誰が参加しているか?
参加者は、区民57万人から16才以上の区内在住者から5000名を無作為抽出し、その中で希望のあった199名の中から、区の人口統計を参考に年齢、性別、住所のバランスを考慮して80名を選出し、うち77名の方が参加されています。
■どんな進め方をするの?
第1回・第2回では、総論及び気候変動対策の切口として4つのテーマ、エネルギー・循環型社会・みどり・交通を学んで認識を深めて、第3~6回で意見提案をまとめていく流れです。
■「気候変動対策」って国が考えることじゃないの?
気候変動は、産業革命以降、人間の営みによって二酸化炭素がどんどん排出され、地球温暖化という地球環境に大きな影響を及ぼし、私たち自身が健康被害を受けるばかりか、地球が不可逆的に限界を迎え、その結果温暖化の原因に責任のない国や先住民族、将来世代が深刻な被害を受けることにつながっていきます。そのため、2015年のパリ協定では、世界各国で、世界平均気温を産業革命前から1.5℃の上昇に抑えるために対策を講じると決めました。しかし、脱酸素社会に向けて本当に効果のある方法が見いだされているかというとそうではありません。そのため、異なる背景や経験を持つ市民が集まり、問題について知り、ともに考え話し合うことで実効性のある対策を生み出す必要があるということで、気候市民会議の方法が生み出されてきたと言えます。
■第2回気候区民会議に参加して
第2回では、循環型社会・みどり・交通の3つのテーマについて学び、杉並区のデータを元にした説明や具体的な取り組みはどれも興味深いものでした。
IGESの渡部厚志さんからは、がんばってゴミの分別をしても東京23区のリサイクル率は18%と低く、そのうち食料と衣料については、食料の1/3が家畜の餌もしくは焼かれて埋め立てられており、衣料については年間82万トンを海外から買っており、75万トンが捨てられ、50万トンは焼かれるか埋められるかされているそうです。温室効果ガスの発生のうち、食に関するものが全体の34%なので、いかに大きな問題かが分かりますね。
熊本県立大学の島谷幸宏先生のグリーンインフラの話で印象的だったのは、森林では雨水の10~20%が葉っぱにたまって地面に届かず蒸発し、地上の部分土の部分両方で洪水を緩和したり水を蓄えたりする機能を持っているという話。気候変動によって都市の水害も身近になっている昨今、アスファルトの上のプランターでも洪水を遅らせる可能性があるので、身近で小さいことから始めることが重要という、ちょっと元気の出るお話でした。
■気候区民会議の公開情報を是非ご覧下さい!
杉並区のHPに、気候区民会議の記録が様々な形で公開されているので、是非ご覧下さい。参加区民の方々だけでなく、我々の問題として気候区民会議に関心を持ち、せっかくの場をより効果的に育てていくのは私たち自身ではないでしょうか。
(カリノミエ)
第1回気候区民会議 当日資料
https://www.city.suginami.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/093/373/siryou.pdf
第1回気候区民会議 動画
https://www.youtube.com/watch?v=3zvVKunAwjA
第1回気候区民会議 開催レポート https://www.city.suginami.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/093/373/repouto.pdf
→参加区民の皆さんの熱い感想など、グループワークのまとめをご覧ください!
第2回気候区民会議 動画
https://www.youtube.com/watch?v=zPIKTFKtAQw
参考図書:
●気候民主主義 次世代の政治の動かし方 三上直之 岩波書店
●くじ引き民主主義 政治にイノヴェーションを起こす 吉田徹 光文社新書
●「熟議するコミュニティ」におけるミニ・パブリックスの可能性 明星大学 伊藤雅春
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jappm/45/4/45_15/_pdf
(仮称)デザイン会議
はじまるってよ
6月2日(日)阿佐ケ谷中学校にて「はじまりの会」
5月1日発行の「広報すぎなみ」No.2377に、「(仮称)デザイン会議」がはじまる、という告知が出ています。
5ページ。
「デザイン会議」ってなに?
これは、西荻窪と高円寺の都市計画道路について、複数回開催された、区長と区民の対話集会「さとことブレスト」の最後のまとめの会(2023年3月→こちらに参加レポートあり)の際に提案されたもので、将来のまちづくりについて、地域の人たちが主体的に考え、協働していく場となるとのこと。3つのエリア(高円寺・西荻窪・南阿佐ケ谷)でそれぞれ発足する。
それに先立って、デザイン会議の進め方などを考える「はじまりの会」が、6月2日(日)13〜16時に阿佐ケ谷中学校で開催される事になり、参加者を募集しています。なお当日の様子は後日Youtubeで配信されるとのことです。
これまでの行政が開催してきた「まちづくり懇談会」的なものだと、居住地域で参加者を絞っていたり、話し合ったところで施策化されずただの「ガス抜き」になっていたり、同じ人が発言してばかりで公平でなかったり、怒る住民とのらりくらりの行政職員が対立して不毛な場となっていたりするようなことがままありましたが、せっかく始めるのですから有意義な場になってほしいですね。
具体的には例えば、
会議のグランドルールを決める(発言時間を設定する、ちゃんと互いの意見を聞くなど)
話し合われたこと、決められたことをどのように積み重ねていくのかを、あらかじめ決めておく。
話し合われたこと、決められたことがどのように区政に反映されるのかのプロセスを決めておく。
話し合われたこと、決められたことが、ちゃんと施策に反映されているかどうかを検証する仕組みをつくる。
……などなど、ぱっと思いつくだけでもいろいろありますね。西荻のこと研究所では、「(仮称)デザイン会議」に関する不安や期待、こうなるといいな、などなど、ご意見を募集します! 下のフォームにお寄せください〜!
「デザイン会議」へのご意見募集中!
(はじまりの会申し込みフォームではありません)
https://forms.gle/vhifytuDWZJDC2AP6
屋上菜園始めました
ことビル屋上には緑化目的で低木などを植えていますが、このたび「菜園」も始めました! 現在の栽培状況は「小麦」が穂を出していて6月ごろに収穫予定。そして「なす」「枝豆」「トマト」「パクチー」「みつば」「きゅうり」など夏野菜を中心に植えて行きます。屋上の太陽のもと、すくすく育ってくれ~~。収穫できたらまたお知らせしますよ~~~。
西荻のことカフェでは、カフェで出た「コーヒー豆かす」や「野菜クズ」をコンポストにして肥料を作成しています。今回の一部の野菜には屋上のコンポストを肥料として使っていますが、量は微々たるもので、今後、増えて行くコンポストの利用についても考えねば……と思っています。こちらもアイデアがまとまったらお知らせします~~~。
(野田栄一)
再掲
緊急上映会
『傍観者あるいは偶然のテロリスト』
5月3日
※終了
緊急上映『傍観者あるいは偶然のテロリスト』
元ジャーナリストにして、西荻窪の居酒屋「iitoco」のオーナーでもある後藤和夫氏が、2020年に公開したドキュメンタリー作品。
今、日本にいる私たちに、何ができるのかを問うロードムービー。
2018年に大塚にできた小さな映画館「シネマハウス大塚」の設立メンバーで館長を務める後藤和夫が、自身の経験を元に映画を製作。後藤和夫は長くテレビ界で仕事をし、ドキュメンタリー番組、報道番組に従事し、『報道ステーション』のプロデューサーを10年務めたのちにテレビを離れた。
映画館を作ったのだから映画も作りたい。そう思い一つのシナリオを構想。それはパレスチナを舞台にした、偶然にもテロリストとなってしまった男の物語。このシナリオにリアリティはあるのか。後藤はロケハンを兼ねて、フリーランス時代に取材したパレスチナを再び訪れた。
*****
20年前、第2次インティファーダという民衆蜂起の嵐の中、イスラエルによる破壊と殺戮の現場を駆けまわった記憶。映画は20年前の生々しい紛争の記録と、現在のパレスチナ各地を歩く男の姿が交錯する。あれからパレスチナはどう変わったのか。あの時の若者は今何を語るのか。そこに見たのは、今なお続く占領と抑圧の実態だった。700キロにも及ぶ分離壁がイスラエルとパレスチナを分断する不気味な光景。過去と現在をさまよう主人公。
世界が“傍観者”のままでいいのか。私たちは傍観者のままでいいのか。
そして後藤の構想したシナリオにリアリティはあるのか。
現在68歳の老映像作家、老ジャーナリストの追憶のプライベート・ムービーが問いかける。
『傍観者あるいは偶然のテロリスト』
監督・主演 後藤和夫
製作 後藤和夫 & Cool Hand Production
2020年作品 118分
5月3日(金祝)13時〜 16時30分〜
※上映後、後藤和夫氏トークあり
会場:西荻シネマ準備室(西荻南3-6-2ことビル2F)
料金:1,000円(当日支払)
5月18日(土)
『中高生が作るサードプレイス「ゆう杉並」』
杉並建築会大会
住民が担い手になった
杉並のまちづくり
公共施設づくりから学ぶ
「ゆう杉並」
杉並区では現在、まちづくり・道路整備・施設再編などの進め方について、新たに検討が行われ、区民との対話集会を開き、区民意見を反映させる仕組みを模索中です。過去を振り返れば、杉並区では非常に先進的なまちづくりや施設計画の事例が試みられ、実現されてきました。今後の方策を考える上でも、それらの事例をプロセスも含めて丁寧に振り返り、これまで住民が担い手になって実現されてきた経験から、現在のまちづくりや公共施設づくりに活かすことができるようなプロセスや方法を学ぶことが大切なのではないでしょうか。杉並建築会では2023年度から2024年度にかけて、3事例を取り上げ (ほか「蚕糸試験場跡地と杉十小」と「杉並中央図書館改修」)、区民と共に現地見学や意見交換・ワークショップを行い、住民が担い手となった杉並のまちづくり、公共施設づくりの方法やプロセスについて話し合い、これからのまちづくり、公共施設づくりの契機へ繋げたいと考えています。
中高生が作るサードプレイス「ゆう杉並」
2024年5月18日(土)
9時〜現地見学
9時40分〜座談会
会場:ゆう杉並ホール(荻窪1-56-3)定員80名
参加料:500円
話し手
小田正人(「ゆう杉並」館長)
六角美瑠(建築家・神奈川大学教授)
石井祐樹(杉並建築会)
山内洋(まちづくりに夢をつなぐ市民の会)
第27代ゆう杉並中・高校生運営委員会メンバー
主催=杉並建築会 後援=杉並区
いつでもできます
ニシオギ大調査
「西荻のこと研究所」で実施している「ニシオギ大調査」は、当初はイベント開催でしたが、現在では恒常的にできるようになっています。コースはAコースとBコースの2種類。
スタート地点から歩きながら、チェックポイントにてスマホで入力フォームにアクセス。それを繰り返すだけの簡単調査です。
コースガイドは「西荻のことカフェ」はじめ、西荻のいろんなお店のチラシラックなどにありますので探してみてください。こちらからPDFのダウンロードも可能です。
大好評発売中!!!
「ニシオギ空想新聞Vol.2」
(全16ページ/フルカラー)
発行日 2023年3月15日
販売価格 330円(税込)
西荻の道路や開発のことを扱った「ニシオギ空想新聞2」。ぜひ多くの方に読んでいただいて、西荻の人自身で西荻のことを考える機運となればと願っています。
販売店(5/31現在・順不同)
西荻のことカフェ/信愛書店/古書音羽館/村田商會/カフェインザラフ/暮らしのいろいろ ていねいに、/三つ枝商店/インド料理ガネーシャガル/カフェカワセミピプレット/今野書店/Loupe/Dawner/やきとり戎/アトリエハコ/サロン+アトリエポルカ/Title/BREWBOOKS/ランチハウス/数寄和
目次:
◯抄録 ことビルオープニングトーク 「西荻のこと、まちのこと、これからのこと」 饗庭伸・中島直人
◯報告 ニシオギ大調査 コース紹介・参加方法・分析座談会
◯分析 さとことブレスト
◯インタビュー 都市計画道路担当課長・星野剛志さん
◯4つの疑問と6つの提案
◯インタビュー 西荻の人に聞きました2
やきとり戎/JR西荻窪駅/関東バス株式会社 信愛書店/あなたの公差転/杉並区長/中野書店 区議会議員(1)/区議会議員(2)
◯ニシオギ空想新聞図書室
お問い合わせメール
info@nishiogi.org
なお、3年前の2020年1月に西荻案内所から発売されたVol.1はこちらから無料でダウンロードできます。そちらも合わせてぜひチェックを。
西荻シネマ準備室の貸出について
西荻シネマ準備室は、西荻窪からなくなって久しい「映画館」の復活を目標に、その実現に向けての調査研究・準備をするために設けられたスペースです!……が、ふだんは多目的スペースとして以下のようなご利用が可能です。
展示会○販売会○新製品発表会○ワークショップ会場○トークイベント会場○ミーティング・会議○撮影スタジオ○習い事○読書会○学習会○お教室○記者会見○オンライン配信会場 などなど
1時間2,200円 または1日22,000円(9-21時)
ご利用のお問い合わせ kabu@nishiogi.org
西荻のこと研究所
メルマガアンケート
メルマガ読者の皆様からの叱咤激励をいただきたく、アンケートを作ってみました。何度でも構いませんので、新しいご意見を思いつきましたら、ぜひ投稿してください
アンケートはこちらから
読みやすい杉並区議会議事録
平成30年9月から令和2年6月までの杉並区議会より、都市計画道路補助132号線に関するやり取りの部分だけを抜粋したPDFを作成しました。
どんなやりとりが行われているのか、ぜひチェックを。
読みやすいように縦書きでレイアウトしてみました。
以下よりダウンロードしてください。
https://nishiogi.org/wp-content/uploads/2020/08/gijiroku132.pdf
西荻窪の未来を考える会議 議事録
2020年7月17日と11月20日、西荻北銀座商友会の樋代会長と、杉並区の道路と都市計画と商店街関係部署(都市整備部土木計画課・市街地整備課・産業振興センター)の担当者と、西荻のこと研究所メンバーで会合を持ちました。その際の議事録をHPにアップしました。
この「西荻窪の未来を考える会議」は、将来的には西荻窪エリアに住む住民にもっと開かれたまちづくり会合の場を実現するべく、その準備として行っています。
西荻窪の未来を考える会議第1回
西荻窪の未来を考える会議第2回
研究所員をいっしょにやりませんか?
参加希望の方、まずはメールをお送りください。
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次号 2024年5月23日(木) 予定
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