西荻のこと研究所 メールマガジン80号 (2024.6.21)
(仮称)デザイン会議」
はじまりの会
(6月2日/阿佐ヶ谷中学校)
参加報告
開催経緯と会の流れ
「対話と情報公開」を掲げて2年前の選挙で当選した岸本聡子区長。その公約にしたがい、区民の対話の場である「さとことブレスト」を開催してきた杉並区と岸本区長が、「さとことブレスト」最終回のシンポジウム(2023年3月開催)で発表したのが「ニシオギデザイン会議(仮)」「高円寺デザイン会議(仮)」。その後、やはり都市計画道路の問題を抱える南阿佐ヶ谷エリアを含めた3エリアで、それぞれ「(仮称)デザイン会議」をスタートすることになった。やる側も参加する側も、正直なにを話し合うのか、というようなところから手探りの段階であり、名称も依然として「(仮称)」が取れないままだが、道路も含めたまちづくりの場に、市民意見を取り入れる仕組みがあまりにも少なかったことを考えれば(これまで「駅周辺まちづくり」懇談会を実施してきたのは市街地整備課。一方、都市計画道路については土木計画課が担当していたため、縦割りの弊害があった)、前進していると言っていいと思う。
さて、この「はじまりの会」は、これからデザイン会議を実施する3地区の参加希望者が一堂に会する機会ということで、総勢200人ほどの人が集まり(うち約半分は西荻窪地区の参加者らしい)、グループワークをメインに話し合いが行われた。会に先立って、事前に希望者から抽選で選ばれた人が、このデザイン会議に期待すること、話し合いたいことなどを発表する時間があった。私も発言の希望を出していたら、運良く発表する機会をいただくことができた。発表した内容の元原稿を以下に貼る。
道路拡幅の事業認可が降りてからというもの、すでに一部、道路用地として買収され、建て替えが行われた場所があります。もともと商店だったところが、1階からすべて住居のマンションになったところがあります。マンションだと業者のリスクが少ないということなのでしょうか。しかしそうなると、店がとぎれとぎれになって、商店街が衰退していく。道路整備によって、よくない方向で街が更新されていくことは絶対に避けたい。そこで、このデザイン会議で、たとえば「建て替えの際には1階には必ず商店スペースを設置する」というようなことを取り決め、行政側がそれを地区計画に取り入れる、というようなプロセスを確立させることができればいいなと考えています。
デザイン会議で決められたことを行政側で整理して、デザイン会議参加者に提案、またデザイン会議でそれを検証したのち、再度行政側でとりまとめ、区議会に提案、ある程度強制力のあるものにしていく、というようなフローを機能させていく必要があると思います。
そもそもこの計画は必要なのか、という意見があるのはもちろんわかっていますが、そうこうする間にデベロッパが入ってきて、ようやくはじまったデザイン会議主体のまちづくりが破綻してしまう。デザイン会議が地区計画の素案をつくる場になればいいなと感じています。
ただし別途、これまでの経緯の検証をしていく必要はあると思います。どのような時代背景や政治力学のもと、西荻窪の都市計画道路が設定されたのか、ということですね。
また、これまで実施されてきた西荻窪駅周辺まちづくり懇談会等で、西荻窪はどんな街なのか、どんな街になればいいのか、ということについてはかなりの資料がまとめられていると思います。そういった、これまで積み上げてきた市民意見も踏まえながら、ここで議論されたことを集積、公開、共有していくことで、一歩ずつ前に進んでいく会議になることを期待しています。
20名弱の方が選ばれ発言をした。そのなかに都市計画道路自体に反対の立場の方が多く含まれていて、切実な当事者の方の発言でぴりっと緊張感が走った。そういう意見があって当然だし、道路を含めたまちづくりを考えていくにあたっては、今その場所で生業や生活がある人たちに大いに配慮しなければならないなとあらためて感じる一方、中には会場をジャックする勢いの発言者がいたり、発言者ではない参加者で、暴力的な声で行政担当者を威圧する男性が会場内にいたりなど、正直あまりなごやかな雰囲気ではなかったということは記しておきたい。
このタイミングで、「思ってたのと違う、こわい」と帰ってしまった人がいたとあとから聞いたので本当に残念。これまでの「まちづくり懇談会」等でも、やはり同様のパターンで参加者が次第に減っていったという話を聞いていて、どのようにこの場を、多くの人に開かれた状態でキープするのか、参加者それぞれがしっかり念頭においておかないと、せっかく始まった、都市計画道路について市民が発言・提言ができる場が、瓦解してしまうなと思った。
この発言タイムのあと、少しの休憩を挟んで、グループワークの時間となった。グループワークでの話し合いのテーマは、①デザイン会議の進め方、②デザイン会議で扱いたいテーマ、の2つ。西荻窪エリアだけで14グループに分かれ、それぞれ話し合いが行われた。そのあと高円寺・阿佐ヶ谷の参加者とシャッフルして第2セッション。本来ならばそのあとまた元のグループに戻り、それぞれ話したことをその場で共有する第3セッションが設けられるはずだが、今回は時間の都合でそれがなく、やや尻切れトンボに終わってしまった印象がある。会場でアンケートを取っていたので、参加者の反応などは後日、杉並区のホームページ等に掲載される予定とのこと。
なお、西荻勢約100人の中には、西荻のこと研究所のメンバーが何人かいたので、終了直後にこと研メンバー内ではある程度の共有ができた。
以下、それぞれのグループ(西荻1・3・6・10・11・12・13)で話し合われたことを、わかる範囲でまとめてみた。以下の記述は公式のものではなく、まとめ人の主観が入っている部分があることを、あらかじめご了承いただきたい。
(奥秋圭)
(仮称)デザイン会議
各グループのレポート
グループワークでの話し合い
①デザイン会議の進め方
②デザイン会議で扱いたいテーマ
【西荻1】
1巡目
私の班には沿道のまちづくり担当職員と学生の頃に建築を学んでいた職員の二人が配置され、順次付箋の整理も行ってくれていました。
当事者はおらず、自己紹介の時から穏やかな雰囲気でした。職員の方が前半部の延長を見て、「ワールドセッションの時間が短くなるかもしれないので、思いついたら順次付箋に書き留めておいてください」と仰ったので、休憩時間から盛んに付箋が貼られていました。私達の班はおそらく会場内で最も若い女性が居ましたが、「参加者からのコメント」が終わるや否や帰ってしまうという事態もあり、前半部の「参加者からのコメント」に対する批判があり、「グループワークから始めて全体で意見を共有する進め方のほうが良かったのではないか」という意見が出ました。ここから派生し、進め方に関して「進行は杉並区のペース、企画で進めたら良いと思う」やファシリテーターの重要性や職員の研修について触れられました。また、過去に行われたまちづくり懇談会などの成果の上に今後の「デザイン会議」を積み重ね、具体的に政策施策に反映させていく仕組みを作る必要性が挙げられました。「デザイン会議」における記録の取り方に関しては、参加していない人も途中で加われるようにA4のニュースレターを発行することやグラフィックレコーディングを取り入れるなどの提案が行われました。
デザイン会議で扱いたいテーマに関しては気候や自然に関すること、歩行空間に関する事、そもそもの道路拡幅事業の必要性に関することの三つに関することが挙げられました。そして、これらに関してデザイン会議だけではなく、様々な市民発意で進められると良いという話も出ました。
2巡目
高円寺の方一人、南阿佐ヶ谷の方二人、西荻窪の私、杉並区職員二人という構成でした。1巡目で話し合われたホワイトボードを見た途端に、「そもそも道路拡幅事業の必要性が全くないという意見は出なかったんですか?」と述べた方がいてギクッとしました。そして、南阿佐ヶ谷の一人は当事者であったため、いかに道路拡幅事業が不当なものであるか、そもそも「南阿佐ヶ谷」は駅名であり、地域名は「成田東」であること、都と住民では防災の意味が違うことについて主張していました。ただ、興味深かったのは、いかに杉並区の道路拡幅事業に反対だとしても岸本聡子区長に対しては好感を持っているということであり、この方も岸本聡子区長のおかげで貴重な機会が与えられているということを仰っていました。高円寺の方からは、反対者の支援の必要性や、中野区の情報が入ってきづらいことを話していました。
あまりにも地域ごとに事情も反応も違うことを、「参加者からのコメント」と「ワールドセッション」を経て体感することが出来て良かったです。賛成も反対もありながら、多くの人が「はじまりの会」に訪れたのは、岸本聡子区長への信頼や期待が大きいのではないかと思いました。区長と行政に対する感情のギャップが良い方向に埋まっていくように、今後の会議が進められていくと良いなと思うとともに自分も出来ることを頑張ろうと思った会でした。
(平井康葉)
【西荻3】
西荻3のグループは区の職員の方2名がファシリテーターとなり、補助132号線に関わる当事者の方は西荻窪駅南口の商店会の方がお一人で、他は西荻界隈に長く在住されている方5名、そして自分を含めて全員で7名、年齢層は40代~60代、男性5名、女性2名という人員構成でした。
当事者はお一人ということもあって、他のみなさんはどちらかと言うとこの(仮称)デザイン会議をきっかけに、道路拡幅や今後のまちの在り方がどうなっていくのか知りたいし、話がしたいという印象でした。ただ、あまりにも現況の情報が伝わりきれていないので、まずは詳しく説明がほしいということ、今までのように一方通行的なやりとりではなく、区と住民の双方でしっかりと問題等を共有したいという要望もありました。西荻のまちに愛着を感じていて、これからの未来も西荻の良いところを大切にしたいという思いは共通していて、自分たちにも何かできないのかという思いが伝わって来ました。
一方、当事者の方の懸念事項はより具体的で、道路拡幅によるライフスタイルの変化、商店が移転せざるを得ない場合のまちの賑わいの減退など、受け入れ難い思いがリアルに伝わって来ました。ただ、“古き良き場所”は防災の観点からは非常に不安があるということも強調されていました。
私はこのワークショップではなるべく聞き役に徹してみようという考えで参加してみたのですが、普段対話をしている人たちとは違った観点での考えや思いが伝わって来て、ワークショップという枠にとらわれず、“対話”ができたことが良かったなと感じました。そんな雰囲気を共有して頂いた【西荻3】のチームのみなさんには感謝しております。
その後、2巡目は高円寺のチームに移動して、高円寺、阿佐ヶ谷、西荻窪のエリア混在で、同様のテーマで意見出しを進めたのですが、高円寺や阿佐ヶ谷と西荻では道路計画の状況が違い過ぎて、“まちづくり”というワードすらも厳しい状況が伝わって来ました。道路がないところに道路を通される計画にさらされている当事者の方が、「正直、デザインされたくないです。」と切実な思いを伝えられていたのにはギュッと胸を捕まれたようでした。
このようにエリアシャッフルをしたことで、立場や状況の違う方たちの話を伺うことができてとても良かったです。ワークショップ終了後、「また、お会いしましょうね。」と声をかけ合えたのもちょっと嬉しかったです。
今回のワークショップを通して感じたことは “対話”の必要性です。それは自分の意見を伝えるだけに留まらず、人の話にじっくりと耳を傾け、伺ってみたいことは丁寧に問いかけてみる、そんな対話の集積の中にこれからのまちづくり・道づくりに係わるヒントが散りばめられているのではと強く感じました。
(平野 亜紀子)
【西荻6】
第1セッションは全員男性、しかもほとんどの方が西荻南在住。会議の進行について、まず最初の発言タイムを受けて、「声の大きい人が会の進行を左右しないでほしい」「みんなが意見を言える雰囲気が大切」と、声が上がりました。このグループには道路拡幅の当事者がいなかったというのもあり、反対派演説会のようになってしまった冒頭の発言時間はあまりいい印象を受けなかったようです。また、会の着地点がわからない、効力のあることが決められるのかという疑問や、議論を積み上げていきたい、議論を見える形で残したい、というような継続性の話も出ました。
取り上げたいテーマとしては、一つに地区計画づくりがあがりました。1Fを店舗にするなど、ある程度強制力のあるルールづくりです。また、防災の話も出ました。石川県にたまたま帰省していて能登地震の被害にあったという参加者からは、地震で生活道路が遮断されるなどの現状を見て、西荻でできる防災活動はなにかを考えたいという意見が出ました。それから、障害のある方にまちづくりの意見を聞いたらどうかという話がでました。気づかない不便・不自由さを感じているかもしれない。いずれにせよ、一部の人たちだけでなく、多くの方が関われる場の維持は、個々人のたゆみなき努力にかかっている。対話の場でもまちづくりでも、それがすごく大切なのだと思いました。
第2セッションは、高円寺北口の商店会の方と、南阿佐ヶ谷の都市計画道路で自宅が全部なくなるという当事者の方と同じグループになりました。これまで西荻のことを前提に話していたのですが、阿佐ヶ谷の場合はそもそも道路はないし、そもそも事業認可も出ていない。だから、いきなりデザインだのまちづくりだのと言われても…と不快感を表明されていました。また、高円寺のケースも事業認可がおりている環七から中野駅方面の線路沿いに設定されている補助221号線と、北口の繁華街のど真ん中に通る実質凍結の補助227号線では、いろいろ前提が違うしそもそも住民の熱量が違う。それぞれのケースがあるから、西荻ではビビッドなテーマでも他地域ではピンとこない、それでも各地域でどんな話し合いがされているのかの情報共有はしていきたいですね、と意見が出ました。他の地域の方の話を聞くことで、ちょっとほぐれたというか、視点に変化が出る感じでなかなかおもしろかったです。
(奥秋圭)
【西荻10】
西荻10の参加者は、ファシリテーター2名に加え西荻エリアの住民5名。うち、これまでにまちづくり懇談会やさとことブレストに参加したことが無い方が3名でした。
街づくりのアイデアブレストのような感覚で参加していることと、これまでの経緯がわからないため、冒頭に道路計画反対の訴えをいる方のお話しを聞き、会の主旨が分からないと少々困惑されていた様子。
ただ、うち2名のかたは他地域で街づくりや行政内でのお仕事にかかわっていることもあり、今回のデザイン会議開催自体は評価できるものの目的や企画自体がぼんやりしすぎていているとの意見が出されました。
印象に残ったのは、多くの方が批判だけではなくこうすれば良いよという別のアイデアを持っていること。限られた時間ではありましたがきっと会を重ねるごとに有益な議論の場になっていくのではないかという可能性を感じました。
参加者全体の雰囲気や参加者の数からみても、それぞれの立場や考え方は違えども、これまでの行政のやり方とは違うスタンスに対して、ある程度の期待を持った方が多かったように思います。
また、具体的な意見や提案も多く、中にはある分野で専門家としての知識や経験をもとに発言されるかたも多いように見受けられました。市民同士が自分たちが暮らすまちのことについて建設的な議論ができる場があることで住民主体の意識も高まり、人任せではなく暮らすまちへの愛着をもって、まちの未来を変えていこうとする人たちがつながり、暮らしを基盤としたコミュニティの中から住み続けたくなるまちが育っていくのではないかと思います。自分たちの住む街に関心をもち、暮らしたくなるまちを自分たちの手で育ててみようか。そう思う人が増えていく。そんな会議の始まりになることを切に願っています。
(松本弘子)
【西荻11】
冒頭で15名の発言者の時間。地権者の発言が多かった。
今回西荻、高円寺、阿佐ヶ谷という3カ所の合同会議となったが、それぞれスタンスがまったく違うと感じた。一方、他地域での問題点などがわかったという側面もあり、良かったのか、悪かったのかはなんとも言えない。
発言者の方々は明日からの生活が一変してしまうのだから、お気持ちは本当に察するにあまりあるという想いになってしまうまちづくりの生々しい現状を感じて、話し合うことの大事さをあらためて感じる。またあらためて、こと研が、調査と話し合いを地域で展開していたことに思い至る。
このグループは4名という少ない人数であり、もともとまちづくりや区長選挙に関わっていた人、まちづくりに意見のある主婦、原発反対運動をやっている人で、いずれも行政とは深く関わり体験も豊富な方々。それらを知らない人が1人というところからはじまったので、「行政対住民」というスタンスで終始はなしあった。
そのせいか、どうしても立場のちがいからくる意見の相違がでてしまうので、相互の意見をかならず表にだして、検討するという意見がよかった。議事録は行政側と住民側の両方で作成し、それを公にしてシェアすること、テーマ別に会議をわけ、参加者ができるだけいろいろなところに出られるような工夫があったほうがいいという意見もあった。いずれにしても80年前の計画をなぜそのまま進めなければならないのか、ここに至るまでの歴史(プロセス)を学びたい、というような意見が出た。このことに疑問をもつのは当たり前だと思う。また、都市計画の成功事例を勉強したいと望んでいる人も多かった。かつての経験から前向きな意見が取り交わされていたと思う。こと研がやっているような現地調査アンケートなども希望している人が多く、このような情報がどうしたら届くのか、そして参加してもらえるのか。今後の課題として、取り組んでいきたいと感じた。
(能登山明美)
【西荻12】
西荻地域から集まった人たちでの第1セッション
会の冒頭に3地域から抽選された方たちの意見表明があり、立ち退き当事者の悲痛な叫びとも取れる意見も聞き、直後のグループセッションには自然と緊張感が漂っていました。
私の参加したグループは、当事者たる、132号沿道で長年個人商店を営んできた商店主が2名含まれるグループで、その方たちの受け止めが道路拡幅に賛成ではないとわかっていて、さて「デザイン会議」なる軽い名称の会が何をできるのか、さあ話し合ってくださいと言われても口火を切るのがためらわれるほど。
また、7年前から開催されたまちづくりワークショップ、まちづくり懇談会、さとことブレストと、ずっと参加してきたが、ほぼ同じ形でくりかえされるこのワークショップが一体なんの成果となるのか、ただ行政施策を追認するため、またはアリバイづくりではないかとの意見を持つ参加者もいました。
これからのまちづくりに関われるということに興味を持って参加していた方たちは、予想よりもずいぶん事態はシリアスなのだ、と発言が控えめになってしまったような感じがしました。
そのために、これからのより良いまちへ、提案できるチャンスだ!とアイデアを持って参加していたと思しき参加者の方の意見をじゅうぶんに聞くことができなかったのがすこし残念でした。(道路のことだけではない、まち全体のことをテーマにすると思っていたのにあまりにも道路のことのみに集中して進んで行く会に、「募集のときにそんなこと書いてました?」との疑問を呈する方も。)
しかし、いろいろな不安や疑念を解消していくことも仮称デザイン会議の機能にしたいですよね、ということから、
・計画自体の情報
・これまでに行われたワークショップ等の意見の集積
・今現在の状況
などがまとめてあっていつでも誰でも参照できること。またそこに対しての新しい情報や意見などがどんどん加えられたらいいね、それが公民連携プラットフォームでできたらいいですね、求めているのは情報の透明性とアクセスの良さ、などと意見交換がありました。
また、拡幅ありきではない、都市計画を覆す方法や変更する方法の研究部会もやったらいいし、知ることが不安の解消につながるということで、都市計画について都に直接説明を聞く機会を作りたい、また用地買収が進む中で不当に権利を侵害されるようなことが起こっていないか、見守り提言する機能も仮称デザイン会議にあればなどの意見が出ました。 そして限られた一部だけではなく、広く子育て中の人や障害のある人、また時間のない人にも参加することのできる会議になればいいですね……とお話が進んできたところで、ふせんを見直すとあらら?……これまで出された意見がほとんどふせんに反映されていない。これがグループワークの成果物として提示されるのはちょっとつらいなあ、というボードがありました。
このグループのファシリテーターは地域のことも道路計画のこともなにも知らずに呼ばれてきたとのことで、だから「中立ですので」自由に話を進めてください、とふせんを書き起こしてくださったのですが、やはり事情をまったく知らないとこんなにまとめるのは大変なんだな、ファシリテーターの質や準備状況(どういう情報が与えられているか)によっても対話の質やそのあとにつなげていく動きが変わってくるだろうな、と実感。フォローの動きができなかったのは個人的に悔やまれるところ。自分の発言のあとしっかりふせんを書けばよかった!(情報の透明性ということでいくと、こういったファシリテーター役がどうやって選定されているか、その情報もほしいですね、などと話にあがりましたが、その意見はふせんに起こされませんでした。)
地域をシャッフルしての第2セッションでは、足に装具をつけた障がいをお持ちの方が移動して来られました。この移動がちょっと大変だったようで、しきりに、このワークショップは思っていたのと違う、障がいのある立場からまちに対する提言ができると思って来たのに、道路のことばかり、そして参加した地域もちょっと違っていたとおっしゃっていました。
このデザイン会議というものがどういうものか、理解がすすむにはまだまだ時間がかかりそうで、相当手間もかかることだろうけれど、だからこそこのような方こそ参加したらよいと思ったので、どうやったら参加できるか?ということを意見交換。
対面の会議だと、区の施設でもこの日の中学校の3階などだと来るだけで本当に大変だということ。
またもうひとりの参加者はパソコンも携帯もなく、ネットベースのプラットフォームができてもそこにアクセスすることができないから、どんな話が進んでいるのかわからないよね、という話もありました。
望む人を取りこぼさないように情報を共有して対話を続けていくだけでもどれほど大変か、ちょっと考え込む回となりました。
やはり紙の媒体を定期的に出していくことか、それはどういうふうに届けられる、または取ってこられるか?壁新聞のようなものが結局広く届きやすかったりするのか?
わざわざ行く区の施設よりも、日々使っている地元の大きめのスーパーや駅などに情報があるととても取りやすいなど、生活実感にもとづいた意見も出ました。
話したりない、まとめもできなかった、なんだか消化不良を抱えた「はじまりの会」でしたが、それでもやはりいろいろな人と話してみて気づきもあり、発見もあり、これを広げ、続けながらなにができるのか探っていくということなんだろうな、とあらためて感じた次第でした。
(奥秋亜矢)
【西荻13】
■第1セッション
第1セッションでは、たくさんの疑問が出てきました。
—
・「デザイン会議」のデザインってなに?
・なにを目指して話し合うの?
・この話し合いを経て、区政は変わるの?
・他の区の活動と、どう結び付けられるの?
・なぜこの道路をつくるの?
・道路をつくっても通過交通が増えるばかりなのでは?
・道路計画の全貌と、現状は、どうなっているの?
—
このような疑問は、私たちのグループだけでなく、多くの参加者が感じていたことではないでしょうか。
これらの疑問と、もう一つ私たちの共通点は「いまの西荻が大好き」ということでした。
なぜこの道路が必要なのか疑問を持ちながら、道路計画が進むにつれて起こる、まちの変化に不安を持っていたのです。
そこで、私たちは、その疑問や不安を、これから始まる話し合いの場で、少しでも解消していくためのアイデアを話し合いました。
—
①会議の進め方
・ デザイン会議という名称がわかりづらいので変えよう
・ たくさんの疑問は、勉強会で深めていこう
・ 参加していない区民にも話し合いの内容を共有しよう(区発信・参加者発信)
・ なぜこの道路をつくるのか、歴史を紐解き、計画の全貌を知って考えよう
・ 話し合いの結果を、区政に反映させる仕組みをつくろう ・ よい案が出たら、区役所の担当部署と調整したり、議会にかけられるような仕組みにしよう
・ 道路だけでなく、環境(みどり)や、福祉なども含めた「まちづくり」をベースにして考えよう
—
②扱いたいテーマは、増えゆく空き地・残地の活用、みどり・環境のこと、防災のこと、まちの魅力を継承したい、若者が遊びに来たいまちであり続けたい、ハード整備だけではない防災計画や訓練、など、それぞれの想いが込められたものがあげられました。
いまある西荻らしさが好きで、まちの雰囲気を変えたくないメンバーが集まり、この会議の場がどうあるとよいのか、雰囲気を継承しつつ安全性などをアップデートするにはどうしたらいいのかを中心に話し合ったセッションになりました。
■第2セッション
第2セッションは、他の班で地権者の方の大変さを聞いたばかりの方、普段から仲間と勉強会をされている方、7年間杉並区の区民対話の場に参加し続けた方など、第1セッションとは違う地域、想いの方が集まり、視野が広がりました。
「第1セッションではずいぶんポジティブに話し合ったんですね」という、シャッフルしたメンバーの感想から始まったので、早速、気づきを得るところからスタートです。
具体的な疑問は、第1セッションと共通するものが多かったのですが、話し合いの中心は、この「(仮称)デザイン会議」の政策的な位置づけに対する、疑問と不安、になりました。
—
・ ガス抜きに使われるのでは?
・ この会議が終わったとき、どんな結末でも区民が道路計画を承認したことにされてしまうのでは?
・ 道路づくりがどんどん進んでしまうなかで急いで話し合うべきことがあるのでは?
・ 道路に関する計画にどこまで参加できるの?
—
どれも、切実で、もっともな疑問ばかりです。
私は、西荻のこと研究所の日々の話し合いで、このような疑問に常に触れてきましたが、多くの方が、このデザイン会議に向けて、同じように大きな不安を抱えているのだと実感することができました。
この「(仮称)デザイン会議」を対話だけで終わらせず、区民と行政が協働で、納得のいく政策・取り組みをつくる場のひとつになっていくことを、切に願います。
(国重あさ)
いつでもできます
ニシオギ大調査
「西荻のこと研究所」で実施している「ニシオギ大調査」は、当初はイベント開催でしたが、現在では恒常的にできるようになっています。コースはAコースとBコースの2種類。
スタート地点から歩きながら、チェックポイントにてスマホで入力フォームにアクセス。それを繰り返すだけの簡単調査です。
コースガイドは「西荻のことカフェ」はじめ、西荻のいろんなお店のチラシラックなどにありますので探してみてください。こちらからPDFのダウンロードも可能です。
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西荻の道路や開発のことを扱った「ニシオギ空想新聞2」。ぜひ多くの方に読んでいただいて、西荻の人自身で西荻のことを考える機運となればと願っています。
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西荻のことカフェ/信愛書店/古書音羽館/村田商會/カフェインザラフ/暮らしのいろいろ ていねいに、/三つ枝商店/インド料理ガネーシャガル/カフェカワセミピプレット/今野書店/Loupe/Dawner/やきとり戎/アトリエハコ/サロン+アトリエポルカ/Title/BREWBOOKS/ランチハウス/数寄和
目次:
◯抄録 ことビルオープニングトーク 「西荻のこと、まちのこと、これからのこと」 饗庭伸・中島直人
◯報告 ニシオギ大調査 コース紹介・参加方法・分析座談会
◯分析 さとことブレスト
◯インタビュー 都市計画道路担当課長・星野剛志さん
◯4つの疑問と6つの提案
◯インタビュー 西荻の人に聞きました2
やきとり戎/JR西荻窪駅/関東バス株式会社 信愛書店/あなたの公差転/杉並区長/中野書店 区議会議員(1)/区議会議員(2)
◯ニシオギ空想新聞図書室
お問い合わせメール
info@nishiogi.org
なお、3年前の2020年1月に西荻案内所から発売されたVol.1はこちらから無料でダウンロードできます。そちらも合わせてぜひチェックを。
西荻シネマ準備室の貸出について
西荻シネマ準備室は、西荻窪からなくなって久しい「映画館」の復活を目標に、その実現に向けての調査研究・準備をするために設けられたスペースです!……が、ふだんは多目的スペースとして以下のようなご利用が可能です。
展示会○販売会○新製品発表会○ワークショップ会場○トークイベント会場○ミーティング・会議○撮影スタジオ○習い事○読書会○学習会○お教室○記者会見○オンライン配信会場 などなど
1時間2,200円 または1日22,000円(9-21時)
ご利用のお問い合わせ kabu@nishiogi.org
西荻のこと研究所
メルマガアンケート
メルマガ読者の皆様からの叱咤激励をいただきたく、アンケートを作ってみました。何度でも構いませんので、新しいご意見を思いつきましたら、ぜひ投稿してください
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読みやすい杉並区議会議事録
平成30年9月から令和2年6月までの杉並区議会より、都市計画道路補助132号線に関するやり取りの部分だけを抜粋したPDFを作成しました。
どんなやりとりが行われているのか、ぜひチェックを。
読みやすいように縦書きでレイアウトしてみました。
以下よりダウンロードしてください。
https://nishiogi.org/wp-content/uploads/2020/08/gijiroku132.pdf
西荻窪の未来を考える会議 議事録
2020年7月17日と11月20日、西荻北銀座商友会の樋代会長と、杉並区の道路と都市計画と商店街関係部署(都市整備部土木計画課・市街地整備課・産業振興センター)の担当者と、西荻のこと研究所メンバーで会合を持ちました。その際の議事録をHPにアップしました。
この「西荻窪の未来を考える会議」は、将来的には西荻窪エリアに住む住民にもっと開かれたまちづくり会合の場を実現するべく、その準備として行っています。
西荻窪の未来を考える会議第1回
西荻窪の未来を考える会議第2回
研究所員をいっしょにやりませんか?
参加希望の方、まずはメールをお送りください。
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次号 2024年7月12日(金) 予定
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