西荻のこと研究所 メールマガジン64号 (2023.4.1)
統一地方選挙2023
杉並区議選「ボートマッチ」中止で
私たちが失ったもの
2月15日、杉並区選挙管理委員会(以下、杉並区選管)より、杉並区議会議員選挙の「ボートマッチ事業」の中止が発表されました。そんなことを杉並区選管がやっていたのかと、ニュースを見て驚かれた方も多かったのではないでしょうか。
ボートマッチとは、有権者がネット上で選択式の質問に答えると、自分の考えに近い候補者や政党が示されるしくみのことで、国政選挙では新聞各社が実施しているため利用したことがある方もいると思います。しかし、地方選挙でしかも選挙管理委員会が主体となって実施した例は今までになく、様々な議論が巻き起こっています。
■杉並区選管のボートマッチ企画から中止までの経緯
杉並区選管は、4月23日に行われる統一地方選挙に向けて、1月中旬に「投票率アップ企画委員会」を発足させ、若年層の投票率を上げるための啓発活動としてボートマッチ事業実施のための企画会議を重ねてきていました。企画委員は10代~70代の全世代計12名で、そのうち5名が20代という、まさに若年層が当事者として参加していることだけでも大変意義深く元気の出る話です。ボートマッチの質問項目などもその企画委員会で検討・決定されました。
そうした中、2月7日に杉並区議会自由民主党から「ボートマッチ事業」延期の要望書が出され、2月14日付けで総務省から各都道府県選挙管理委員会事務局宛に発出された連絡事項「第20回統一地方選挙における啓発活動に係る留意事項について」において、選挙管理委員会が主体となって「ボートマッチ事業」を行うことに対して、以下の理由で、公職選挙法に抵触する恐れがあるという見解が示されました。
・公職選挙法第6条の規定による啓発・周知活動の域を超えるものと考えられる。
・すべての候補者の平等公正な取り扱いを担保することが困難であることから選挙運動と認められる恐れがあり、同法136条に抵触する可能性がある。
杉並区選管では、総務省の見解を受けて「ボートマッチ事業」の中止を決めました。これは、杉並区情報管理課に行けば、選挙管理委員会の議事録ファイルでだれでも見ることができる情報です。
■ボートマッチの質問20項目を情報公開請求
杉並区議会の議員定数は48人ですが、今回の統一地方選では立候補者数が80人を超えると見込まれています。私たちは、ボートマッチ事業の中止によって、一週間という短い選挙期間で80人もの立候補者の政策を知り、区民が納得づくで投票できる情報を得る機会を奪われてしまいました。今のままだと、結果として投票率は低いままになりかねません。総務省は、民間団体が主体となって「ボートマッチ事業」を行うことは直ちに規制されるものではないとの見解なので、住民で「ボートマッチ事業」を引き継げないか検討しようと、ボートマッチの質問20問を選管に公開請求し、入手しました。
※2019年4月に行われた区議選は立候補者70名、投票率39.47%
■そもそもがおかしな選挙システム
総務省は、選管が主体でボートマッチ事業を行うことは公職選挙法に抵触し、民間が実行する分には問題ないというが、地方選挙は公示から一週間しか選挙期間がないため、事実上、80人もの立候補者の連絡先を民間で把握してボートマッチの参加を呼びかけ実行することはほぼ不可能だと思います。
そもそも「区政報告会」のような政治活動の手法が使い難い無名の新人立候補予定者は、選挙前に自分の考えを住民に対して周知でし難く、そのことで現職有利な状況を作り出していないか? 女性や若手の新人議員を生み出したくても、このような短い選挙活動期間で多くの人に政策を知ってもらうことは難しく、ましてや期日前投票の増加によってさらに選挙期間は短くなっていて、これが本当に民主主義の元での選挙と言えるのか甚だ疑問です。ボートマッチの意味は、そういった不平等を埋めるためのツールの一つでもあることを考えると、私たち市民の問題ではなく、区議会そのものの問題でもあるとも言えます。
今回の総務省の通知によって、国内での選挙管理委員会によるボートマッチは事実上認められないこととなりました。私たちは、選挙システム自体を現代に合わせて変えていかなければ、ボートマッチすらできないということになります。
■他国の地方選挙はどうなっている?
杉並区ボートマッチ事業の受託事業者である選挙ドットコムの運営会社「イチニ株式会社」によると、ボートマッチ発祥の地であるオランダや、ドイツでは公的機関がボートマッチのサービスを提供しており、80%前後の投票率を長年維持しているオランダでは、ボートマッチの使用回数が2021年に780万回に上ったとのデータもあり、国民の間に広く浸透したシステムとなっているとのことです。
そして、同社がこれまで国内で実施してきた「投票マッチング」において、主な利用者層は20代〜40代で、オランダの先行事例からも、ボートマッチは若い世代の投票率低下を食い止める有効なシステムになる可能性がありそうです。
■区の政策課題がよく分かる20の質問
今回、杉並区選管が本気になってボートマッチ事業に取り組んでくださったことを、一区民として誇りに思います。質問20項目は、私たち区民の生活に密接に関わるテーマが取り上げられており、構成としては
(1)テーマに対して賛成か反対かを問う質問
(2)テーマに関する現況解説
(3)テーマに関する背景
が書かれており、どれも簡潔で読んでいてとても勉強になります。これは、とても我々では簡単にできることではなく、選管から関係各課に問い合わせ、事実に基づいて背景を整理し作成したものとみれば容易に想像できます。
残念ながら、情報公開請求によって開示された20問の質問には、東京都選挙管理委員会の見解で公職選挙法に抵触する可能性があるため、選挙が終わるまで内容を公表をしないようにという杉並区選管からの依頼文が添えられていました。杉並区選管に対して敬意を払うべくまだ公開をしませんが、今後の取り扱いについては、法律の専門家と相談しつつ有効に活用していきたいと考えています。引き続きメルマガでお伝えしていきますのでご注目ください。
(狩野)
統一地方選挙2023
杉並区議会議員選挙
4月23日(日)
杉並区議会議員選挙は令和5(2023)年4月23日(日)です。翌日24日(月)が開票日。期日前投票期間は4月17日(月)~22日(土)です。
統一地方選挙をおもしろがってみよう!
~はじめての選挙活動
4月8日18時スタート@西荻のことカフェ
2022年6月、187票差で新区長が誕生した瞬間、多くの人が選挙そのものに興味を持ったのではないでしょうか。選挙や選挙活動は「公職選挙法」という法律に則って行わなければならず、裏方の皆さんに支えられて行われる選挙活動は、知ると不思議がいっぱいで、「そういうことだったのか!」ということが沢山あります。
今回のトークイベントは、統一地方選挙を目前にして、以前の杉並区内で行われた選挙の記録を振り返りながら、選挙運動を行う上で基礎となるような知識を専門家から教えていただき、それを受けて、様々な政党や新旧候補の選挙運動員さんから、選挙の準備段階から当日までの裏方話をあれこれお聞きし意見を交わし合いながら、選挙をおもしろがってみようという企画です。聞いたことはあるけど実は意味が分からないなど、今更聞けない選挙のいろはも、どしどし聞いちゃってください。選挙や選挙運動に興味をお持ちの皆さん、是非お気軽にご参加ください。
開催日時:4月8日(土)18:00~20:00
はじめに ~選挙の基本のおはなし 30分
選挙運動の運動員さんに聞いてみよう! 60分
選挙に関する情報もちより 20分
参加費:ワンドリンクを頼んでください。
(フードの販売はないので、持ち寄りでお願いします)
場所:西荻のことカフェ(ことビル1階)
大好評発売中!!!
「ニシオギ空想新聞Vol.2」
(全16ページ/フルカラー)
発行日 2023年3月15日
販売価格 330円(税込)
西荻の道路や開発のことを扱った「ニシオギ空想新聞2」。ぜひ多くの方に読んでいただいて、西荻の人自身で西荻のことを考える機運となればと願っています。
販売店(3/31現在・順不同)
西荻のことカフェ/信愛書店/古書音羽館/村田商會/カフェインザラフ/暮らしのいろいろ ていねいに、/三つ枝商店/インド料理ガネーシャガル/カフェカワセミピプレット/今野書店/Loupe/Dawner/やきとり戎/アトリエハコ/サロン+アトリエポルカ/Title/BREWBOOKS/ランチハウス
目次:
◯抄録 ことビルオープニングトーク 「西荻のこと、まちのこと、これからのこと」 饗庭伸・中島直人
◯報告 ニシオギ大調査 コース紹介・参加方法・分析座談会
◯分析 さとことブレスト
◯インタビュー 都市計画道路担当課長・星野剛志さん
◯4つの疑問と6つの提案
◯インタビュー 西荻の人に聞きました2
やきとり戎/JR西荻窪駅/関東バス株式会社 信愛書店/あなたの公差転/杉並区長/中野書店 区議会議員(1)/区議会議員(2)
◯ニシオギ空想新聞図書室
お問い合わせメール
info@nishiogi.org
なお、3年前の2020年1月に西荻案内所から発売されたVol.1はこちらから無料でダウンロードできます。そちらも合わせてぜひチェックを。
西荻のことカフェ
再プレオープン 4月1日
西荻のことカフェ、4月1日より、再プレオープン!
ぜひお茶しにいらしてください。
営業時間 11時から17時
定休日 なし
授乳&オムツ替えスペースも完成!
お子様連れの方もお待ちしています。
引き続き、出店者の方も募集しています。
見学は上記営業時間内でしたら随時可能です。
ご不明な点がありましたらスタッフにお聞きください。
選挙割すぎなみ
参加店募集中
杉並区議会議員選挙でも、おなじみ「選挙割」企画をするそうです。投票所で投票済証をもらって、いろんなお店のサービスが受けられます。ただいま参加店を募集中とのこと。
お店として参加するにはこちらのフォームからご登録を
※登録すると選挙割のウェブサイトやSNSでお店の告知をしてくれます。
「まちづくりから道路整備を考える」
シンポジウム&オープンハウス報告は次回以降に
3月26日(日)、都市計画道路事業の始まった高円寺と西荻窪地域にて去年の10月から実施されていた、区長との対話集会「さとことブレスト」の報告会とシンポジウムが西荻地域区民センターのホールで行われました。報告記事は今号に間に合わなかったので、次号以降のメルマガに掲載します。
西荻シネマ準備室
と
西荻のことカフェ
の予定
西荻シネマ準備室の貸出について
西荻シネマ準備室は、西荻窪からなくなって久しい「映画館」の復活を目標に、その実現に向けての調査研究・準備をするために設けられたスペースです!……が、ふだんは多目的スペースとして以下のようなご利用が可能です。
展示会○販売会○新製品発表会○ワークショップ会場○トークイベント会場○ミーティング・会議○撮影スタジオ○習い事○読書会○学習会○お教室○記者会見○オンライン配信会場 などなど
1時間1,500円 または1日15,000円(9-21時)
(上記コロナ自粛期間特別料金は4月末まで。
5月から1H2,000円+税/1日20,000円+税です)
ご利用のお問い合わせ kabu@nishiogi.org
西荻のこと研究所
メルマガアンケート
メルマガ読者の皆様からの叱咤激励をいただきたく、アンケートを作ってみました。何度でも構いませんので、新しいご意見を思いつきましたら、ぜひ投稿してください
アンケートはこちらから
読みやすい杉並区議会議事録
平成30年9月から令和2年6月までの杉並区議会より、都市計画道路補助132号線に関するやり取りの部分だけを抜粋したPDFを作成しました。
どんなやりとりが行われているのか、ぜひチェックを。
読みやすいように縦書きでレイアウトしてみました。
以下よりダウンロードしてください。
https://nishiogi.org/wp-content/uploads/2020/08/gijiroku132.pdf
西荻窪の未来を考える会議 議事録
2020年7月17日と11月20日、西荻北銀座商友会の樋代会長と、杉並区の道路と都市計画と商店街関係部署(都市整備部土木計画課・市街地整備課・産業振興センター)の担当者と、西荻のこと研究所メンバーで会合を持ちました。その際の議事録をHPにアップしました。
この「西荻窪の未来を考える会議」は、将来的には西荻窪エリアに住む住民にもっと開かれたまちづくり会合の場を実現するべく、その準備として行っています。
西荻窪の未来を考える会議第1回
西荻窪の未来を考える会議第2回
研究所員をいっしょにやりませんか?
参加希望の方、まずはメールをお送りください。
info@nishiogi.org
西荻のこと研究所 メールマガジン配信
次号 2023年4月14日(金) 予定
西荻のこと研究所では、みなさんが気になっていることなどを取り上げてまいります。感想やご意見、取り上げてほしいことや疑問質問などお寄せください。また、「西荻のこと」についての投稿などもお待ちしています!
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