2021年6月25日

西荻のこと研究所 メールマガジン 27号 (2021.6.25)

投稿者: nishiogiorg

都議選2021 7月4日

東京都議会議員選挙は6月25日(金)告示、7月4日(日)が投票日です。杉並区の定数は6

前回2017年ふり返り

前回(2017年)の選挙では、都民ファーストの会の鳥居宏右さんと茜ケ久保嘉代子さんが1位2位、それに共産党の原田暁さん、公明党の松葉多美子さんと続き、5位6位は自民党の早坂義弘さん、小宮安里さんで、ここまでが当選、以下、東京・生活者ネットワークの小松久子さん、民進党(当時)の2人、田中朝子さん、西村正美さんと続きました。

2021年の立候補予定者

選挙ドットコムhttps://go2senkyo.com/)によると、「予想される顔ぶれ」として、以下の方の名前が上がっています(6月24日12時現在)。
現職は全員立候補するようです。前回順位順で紹介します。都民ファーストの会の鳥居さんと茜ケ久保さん、共産党の原田さん、公明党の松葉さん、自民の早坂さんと小宮さん。
続いて、新人や元職を順不同で紹介します。前回次点だった東京・生活者ネットワークで元職の小松さん。立憲民主党からは杉並区議の関口健太郎さん。日本維新の会からは元衆議院議員/長野県議の百瀬智之さん。れいわ新選組からはNPO代表理事の山名かなこさん、国民主権党から阿佐ヶ谷レストラン元シェフの中根じゅんさん、庶民と動物の会の市川ヒロシさん。

都議選の争点は……

ひとつは新型コロナウイルス対策の評価、そしてもちろん東京オリンピック・パラリンピックの開催是非も含めた対応の評価、その他小池都政の各政策の評価などが争点としてあげられますが、西荻のこと研究所的には、各候補への都市計画道路への考え方を知りたいところ。補助132号(北銀座通り)拡幅についてどのようにしていくのが望ましいのか、また、善福寺池の東側地下をルートとして通る外環道についても、調布で陥没事故があっただけに、各候補者がここで自身の考えをきちんと述べるべきと考えます。選挙公報や各候補のウェブサイト・SNSなどをチェックしてみましょう。上記の選挙ドットコムにリンクがあります。こと研としても公開質問などしてみようと思ってます。

  (奥秋圭)


杉並区新基本構想と
現基本構想を比べてみる

杉並区新基本構想の答申案が出され、パブリックコメントを募集しています。
基本構想は、杉並区の将来の道筋を指し示すものとして2012年に策定されたもので、それから10年を経て新しい基本構想の策定を目指しています。

https://www.city.suginami.tokyo.jp/news/r0306/1066334.html

上記リンク先PDFでその新答申案の概要を読むことができるのですが、どれもこれもいかにも「いいこと」が書いてあって、いまひとつピンとこないというのが正直なところ。
なのでちょっと考え方を変えて、2012年版の現基本構想と新基本構想を見比べたらば、この10年で改善された課題、新たな課題、そして取り残された課題が見えてくるのではと、本記事を書くことにしました。

現行の基本構想(2012年策定)はこちら
https://www.city.suginami.tokyo.jp/kusei/vision/h24r03/1012265.html

「課題」の比較

基本構想はまず「課題」の提示からはじまります。

2012年版で杉並区の課題として挙げられていたのは以下の点でした。
(1)少子化と高齢化
(2)商店街空家問題等拠点整備
(3)緊縮財政の中で区立施設の更新
(4)地震・洪水等災害対策


2021年答申案ではそれが以下のようになります。
(1)高齢化「人生100年時代」
(2)災害対策
(3)「誰一人取り残さない社会」
(4)脱炭素化
(5)多様性(ダイバーシティ)
(6)柔軟な区政運営(財政強化と施設再編/自治推進/デジタル対応)


 高齢化と災害対策と区施設再編は前回からの継続、少子化と拠点整備がひっそりなくなり、デジタル対応についての文言が追加されています。答申案(3)〜(5)の項目はどれもSDGsに関係するもので、文面のなかに「地域のすべての構成員の参画に基づき」、「すべての区民が主体となり」、などの文言が目に止まることからわかるように、課題解決に個々人の主体的な参加が強調されています。それを受けるように(6)のなかの「自治・協働推進」においては、町会・自治会や地域団体の自主的な活動を推進していくということが盛り込まれています。

 しかし多くの町会・自治会は、担い手の高齢化が進む一方、賃貸住宅に居住する人にとっては参加するきっかけがないことも多く、存続が危うい状況にあります。どのようにここから脱していくかが真の課題といえるでしょう。

3つの基本理念

3つの基本理念

続いて、2012年版も2021年答申案も、「3つの理念」が登場します。
まずは2012年版から。
(1)安全・安心を確保する(災害対策、犯罪対策)
(2)住宅都市杉並の価値を高める(杉並らしさを育てまちの魅力を高める)
(3)支えあい共につくる(区民の主体性を育み、地域人材の育成による地域社会構築)


そして2021年案。
(1)認め合い 支え合う(多様性の尊重)
(2)安全・安心のまち つながりで築く(災害対策に区民・団体・企業・行政すべてが主体となり取り組む)
(3)次世代を育み 引き継ぐ(自然環境保護・歴史文化の継承)

  (カッコ内は筆者が補助的に入れたもの)
2012年の(1)と2021年案の(2)は同様の理念ですが、新案では地域連携がより強調されています。2012年の(3)と2021年案の(1)も地域社会の構築という点で似ていますが、2021年案はSDGsを踏まえた文言が盛り込まれています。2012年の(2)と2021年案の(3)は、シビックプライドの醸成という点で似ていますが、2012年版にあった「質の高い住宅都市」は、自然環境・歴史・文化遺産・自治の歴史の継承、という具体的な文言に置き換えられているのが特徴的です。いずれもやはり、住民自治・区民の主体性などがより強調されているように見えます。

将来像

続いて、3つの基本理念を踏まえた将来像のスローガンが掲げられます。

2012年版「支えあい共につくる 安全で活力あるみどりの住宅都市 杉並」
2021年案「みどり豊かな 住まいのみやこ」

新答申案では「住宅都市」という言葉をあえて避けたように感じます。それに変わる言葉が「みやこ」。この言葉に注釈がついています。「何らかの特徴を持ち、人が集まり楽しく暮らせる土地」が「みやこ」であるとのこと。「住みやすい」だけではシビックプライド醸成に足りないので、「独自の文化を持つ」という視点が新たに盛り込まれています。

ちなみに、手元資料の1968年杉並区広報によると、当時の長期基本計画スローガンは「緑の豊かな福祉文化都市」でした。50年以上前から骨格が変わってないですね。この長期基本計画では、「区がいかなる行政サービスを提供できるのか」ということが中心になっていました。近年の基本構想では、区民の主体的な参加や協働などが随所で強調されていて、基本構想(基本計画)そのもののスタンスの変化が感じられます。

分野ごとの目標

次に分野ごとの目標が掲げられます。2012年では5つの分野の目標、2021年は8つの分野の目標が定められています。

2012年版は、
(1)災害に強く安全・安心に暮らせるまち
(2)暮らしやすく快適で魅力あるまち
(3)みどり豊かな環境にやさしいまち
(4)健康長寿と支えあいのまち
(5)人を育み共につながる心豊かなまち


2021年案は、
(1)【防災防犯】みんなでつくる、災害に強く、犯罪を生まないまち
(2)【まちづくり・地域産業】多様な魅力と交流が生まれ、にぎわいのある快適なまち
(3)【環境・みどり】気候危機に立ち向かい、みどりあふれる良好な環境を将来につなぐまち
(4)【健康・医療】「人生100年時代」を自分らしく健やかに生きることができるまち
(5)【福祉・地域共生】すべての人が認め合い、支え・支えられながら共生するまち
(6)【子ども】すべての子どもが、自分らしく行きていくことができるまち
(7)【学び】共に認め合い、みんなでつくる学びのまち
(8)【文化・スポーツ】文化を育み継承し、スポーツに親しむことのできるまち


新案では、2012年版の(4)【健康・医療】【福祉・地域共生】にわかれ、(5)【子ども】【学び】【文化・スポーツ】にわかれて、8分野になっています。

以下、どちらも個々の目標についての取組の方向性・重点的な取組の紹介と続きますが、あまりに長くなるのでごく一部だけ紹介するにとどめます。

たとえば2012年版の(3)で重点的な取組とされていた再生可能エネルギーの活用は、2021年案では小さくなり、「温室効果ガス削減」がより大きく扱われていたり、2012年版(2)においての「住環境と調和したまちづくり」は2021年版では「居心地の良い、出かけたくなるまちづくり」になっていたり。ここでもやはり「住宅都市」からの脱却が模索されているように感じます。また「人生100年時代」というキーワードは2012年版にはなかったもので、複数回この答申案に登場します。このように、個々の項目で少しずつ変化があり、どちらも見比べることで、区がめざす将来像が垣間見えてきます。

まとめ

 以上紹介してきたように、新しい基本構想答申案は、「住民自治」の発展や、区民個々人の主体的な取組といったことが、現構想よりさらに強調されているのが特徴であるように思いました。

 「西荻のこと研究所」でもこれまで、まさにそのような取組をしてきたので、その点でこの基本構想答申案を支持しますが、私たちがこれまで取り組んできた道路拡幅(都市計画道路補助132号線)の問題に即して言えば、必ずしもそれが実現していないことは、やはり指摘しておかなければなりません。

 魅力や価値(文化・観光資源・景観)を無視した道路拡幅が行われるのではないかとの懸念に、住民の声が反映される余地もないのは、住民自治の観点とはほど遠いものです。まさにこれこそ、行政のみで解決できない高度な地域課題なのではないでしょうか。この基本構想案の理念である「様々な価値観を互いに認め合い、」「地域で暮らす人たちが、誰一人として取り残されない社会」がふみにじられることのない、「柔軟な行政運営」を望みます。


杉並区基本構想答申案パブリックコメントの提出は7月21日(水)まで、メールフォーム・郵送・メール・ファクスにて受付。
https://www.city.suginami.tokyo.jp/news/r0306/1066334.html

  (奥秋圭)


ことビル、始動します!

これまでのメルマガでもお知らせしてきた通り、南口神明通りのカントリーキルトマーケットさんが営業してきた建物(西荻南3−6−2)が「ことビル」という名前で再スタートします。

 運営するのは、「西荻のこと研究所」が母体となって設立したまちづくり会社「株式会社 西荻のこと」。
 1階はカフェと展示スペース、2階はお店とイベントスペース、3階は事務所になる予定です。また屋上は緑化して青空ヨガやマルシェなどに使おうと計画中。
 2階のイベントスペースでは、まちづくりに関するお話会を開催したり、いろいろな教室をやりたい方向けにレンタルすることを想定しています。ゆくゆくは、映画館にしようという妄想もありますので、お楽しみに!

 また、1階のカフェや2階のお店、3階の事務所はテナントさんに入っていただきます。
 7月から少しずつ動き出しますが、グランドオープンは9月になると思います。内装の工事の様子やテナントさんのことなど、SNSなどで随時発信していきますので、ぜひフォローをお願いします!

ことビル
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(福田倫和)


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読みやすい杉並区議会議事録

平成30年9月から令和2年6月までの杉並区議会より、都市計画道路補助132号線に関するやり取りの部分だけを抜粋したPDFを作成しました。
どんなやりとりが行われているのか、ぜひチェックを。
読みやすいように縦書きでレイアウトしてみました。

以下よりダウンロードしてください。
https://nishiogi.org/wp-content/uploads/2020/08/gijiroku132.pdf


西荻窪の未来を考える会 議事録

2020年7月17日と11月20日、西荻北銀座商友会の樋代会長と、杉並区の道路と都市計画と商店街関係部署(都市整備部土木計画課・市街地整備課・産業振興センター)の担当者と、西荻のこと研究所メンバーで会合を持ちました。その際の議事録をHPにアップしました。
この「西荻窪の未来を考える会」は、将来的には西荻窪エリアに住む住民にもっと開かれたまちづくり会合の場を実現するべく、その準備として行っています。

西荻窪の未来を考える会議第1回

西荻窪の未来を考える会議第2回


本メールマガジンに掲載したアンケートと座談会を収録した冊子ができました。300部限定で配布をしていますので、必要な方は西荻のこと研究所までご連絡ください。

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西荻エリアにて(主にカフェインザラフ)

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