2022年5月5日

西荻のこと研究所 メールマガジン 43号 (2022.4.22)

投稿者: nishiogiorg

4/29
映画
ジェイン・ジェイコブズ
:ニューヨーク都市計画革命
上映会
@西荻シネマ準備室

(C)Library of Congress

前回メールマガジン42号でもお知らせしたのですが、4月29日(金・祝)に、西荻シネマ準備室にて映画『ジェイン・ジェイコブズ:ニューヨーク都市計画革命』を上映します。上映後はゲストをお呼びしてのトークイベントを行います(18時からの回はこと研メンバー)。ご検討中の方、座席数に限りがありますので、ぜひ早めにご予約ください! 

【ゲスト発表】
10:30の回のゲスト 岡部明子(東京大学教授)
14:00の回のゲスト 福田 淳(ブランドコンサルタント)

18:00の回は、「こと研」メンバーによる座談会

10時30分からの回のゲストは都市計画・建築まちづくりなどの研究をしている東京大学教授の岡部明子さん。岡部さんは前回42号メルマガに掲載した東大学生提案発表「都市計画と道路の一歩先」の担当教授です。3年生の設計製図の課題エリアを2年連続で西荻窪に設定したことなどからお声がけをしたところ、ご快諾いただきました。
14時からの回のゲストはブランド・コンサルタントの福田淳さん。IT経営、、アートプロデューサー、ブランディング業務、女優ののんさんタレント・エージェントなどなど、多岐にわたる活動をしている福田さんは最近、ジェイン・ジェイコブズの都市論に注目しているとか。そのあたりについてお話を伺います。
18時からの回は「西荻のこと研究所」メンバーによる座談会としました。映画を振り返りながら、都市計画、市民参加、そして西荻のことなど、考えてみたいと思っています。

【映画『ジェイン・ジェイコブズ:ニューヨーク都市計画革命』+トークイベントについて】
ジェイン・ジェイコブズは、映画の中で、道行く人の目線やストリートの賑わいが大切であること、ヒューマンスケールでまちを観察することの大切さを教えてくれます。
ストリートの重要性は、西荻窪とも通じる問題意識です。西荻窪というまちは、映画で扱われたまちのように、路面に個性的なお店が並ぶ、独特の雰囲気をもつ、歩いて楽しい賑わいのあるまちです。その西荻の道が変化することに対して、どのように考え、参加していくかは、ここ数年の課題として抱き続けています。
 現代の日本においては、反対運動を起こし、ジェイコブズの時代のように「中止」を勝ちとるというスタイルをとらずとも、行政との協働の道は開かれていると言えるはずです。
 しかし、北銀座通りの道路計画を考える過程に、市民が参加し、行政と協働で、まちづくり・道づくりを考えるには、まだまだ至っていません。
 今の西荻に生きる私たちができることは一体何か、考えるきっかけとなる上映会+トークイベントにしたいと考えています。

公式サイト
http://janejacobs-movie.com/

2018年4月28日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

↓予告編はこちら↓

『ジェイン・ジェイコブスーニューヨーク都市計画革命』
上映会+トークイベント


2022年4月29日(金・祝)
(1)10:30〜 アフタートーク12:00〜12:30
(2)14:00〜 アフタートーク15:30〜16:00
(3)18:00〜 アフタートーク19:30〜20:00

会場:西荻シネマ準備室 杉並区西荻南3-6-2 ことビル2F
料金:1,500円/1名

主催:株式会社 西荻のこと


幻のアナーキズム杉並区長を想う

杉並区長選を間近に控えて、
『杉並区長日記 地方自治の先駆者・新居格』

緊急ブックレビュー

杉並区長が、公選、つまりは、住民の選挙によって決定されるようになったのは、1947年からのことだと言ったら驚くでしょうか。さらに、初代杉並公選区長、最初に住民によって選ばれた区長が、アナーキズム(無政府主義)に深く関わった文筆家だと知ったら、
更に驚くでしょうか。

『杉並区長日記 地方自治の先駆者・新居格』は、そんなアナーキスト区長・新居格(にいいたる)が区長時代に書いた著作集です。
新居格は東京帝大(現東京大学)の法学部卒業後、満鉄を経て、読売新聞社、毎日新聞社、朝日新聞社とジャーナリズムの仕事を渡り歩きます。しかし、社会主義思想への傾倒から、朝日新聞社を解雇されると、フリーの文筆家として、『新潮』や『明星』などの雑誌への継続的な寄稿を始めます。「モガ」などの造語をいち早く生み出し、一方では、アナーキズム系の雑誌には積極的に協力しました。とりわけ、幸徳秋水の全集の刊行でも知られています。海外文学や思想にも親しみ、コスモポリタンな知識人でありました。
 戦後は、村や区といった小さな単位の地域の民主化が、国家全体の民主化につながるという信念のもと、地方自治やまちづくりに関心を見せました。彼は、行政や政治の素人であったにも関わらず、杉並を、ワイマール憲法で有名なドイツのワイマールのようにしたいと、日本一の文化村をスローガンに掲げ、1947年に最初の公選杉並区長に当選します。
 しかし、彼は病気を理由に、一年でその職を退くこととなり、彼の理想は杉並区において実現されることはほとんどありませんでした。

彼が杉並区長としてどのような理想を抱いたのか、彼の理想が実現されていたら、杉並区は今どんな姿になっていたのか、そんな有り得たかもしれない杉並区の姿を想像するには、彼の著作を読むほかないところが残念です。
 彼の日記を読んでいると、戦争によって荒廃した東京に新しい街並みを作ろうと再開発が進みゆく当時の杉並の姿とそこで戸惑う人々を、現在の杉並やここ西荻窪と重ねずにはいられません。

現在、間もなく杉並区長選を迎える、西荻の人々が読むべき彼の著作は少なくとも二つあります。
一つが「民主化は小地域からというわたしの持論/政治的蜃気楼」という連続したテクストです。モンテーニュの随想録から始まり、皆が幸せに暮らせるようなユートピアには、大小上下の既成概念を捨てて、小さなものへの関心が必要であるといいます。彼にとって小さきものとは、村という自治単位と、そこに住む住民との直接的な対話であり、もしこの区を担う政治家であるならば、都市計画道路補助132号線を含めた各地域の問題ひとつひとつと向き合う態度、そこに関わる住民ひとりひとりに関わる姿勢は、必ず求められるものでしょう。

もう一つが「世界の杉並区―わたしの文化設計」というテクストです。彼はドイツのワイマールを理想に、杉並区を世界一の文化都市にしようと、社会実験的に理想の都市計画を掲げるのですが、その内容は、今杉並区に住む私たちにどのように映るでしょうか。
音楽堂や画廊、映画館や劇場といった文化施設の拡充、農場や牧場といった農村風景と都市的風景の調和、大宮公園の名前も出てきます。杉並区が、文化人が集まる都市であるというイメージはこの頃からあるようです。
そして彼は同時に、駅前空間の美化にも言及します。行路樹を使った駅前空間の緑化を行い、噴水や彫刻を広場に置く。晴れた日にはベンチに腰掛けて、人々が気軽に討論が出来るような、美しい憩いの場を作るという話は、今の西荻駅前の空間を考える上で、どう思われるでしょうか。
また、一方で「文化は雪のごとく白し」という、ヨーロッパの舗装された近代道路を理想とする新居にとって、駅前に並ぶ小さな露店や狭く入り組んだ道は必要なく、道幅の拡幅と整備を述べます。この主張は、都市計画道路補助132号線の拡幅をめぐって戸惑う、私たちにとって、どう考えられるでしょうか。

4月29日(金・祝)には、ことビルで、ニューヨークの都市運動家、ジェイン・ジェイコブズの映画の上映会が行われます。
新居格とは異なり、ジェイン・ジェイコブズは近代的な都市計画に反対し、入り組んだ街路や、整備されない都市のカオスが果たす共同体的役割の重要性を強調します。
新居が主張する街の理想像、ジェイコブズが主張する街の理想像、どちらとも、そのまま理想として受け取る必要はありません。
しかし、これからの杉並の街の未来を左右する区長を選ぶ選挙の前、それを選択する一投票者として、これから自分たちが住む街がどのようになっていくのか、どのようになったらいいのか、街の未来像を、立ち止まって考えてみるいい機会なのではないでしょうか。

  (原田遠)

西荻シネマ準備室の貸出について

西荻シネマ準備室は、西荻窪からなくなって久しい「映画館」の復活を目標に、その実現に向けての調査研究・準備をするために設けられたスペースです!……が、ふだんは多目的スペースとして以下のようなご利用が可能です。

展示会○販売会○新製品発表会○ワークショップ会場○トークイベント会場○ミーティング・会議○撮影スタジオ○習い事○読書会○学習会○お教室○記者会見○オンライン配信会場 などなど

1時間1,500円 または1日15,000円(9-21時)

(コロナ自粛期間特別料金です)

ご利用のお問い合わせ kabu@nishiogi.org

「ことみせ」の貸出について

ことビル1Fのカフェ「nof coffee」店内入ってすぐの小さな展示スペースが「ことみせ」です。販売も可能です。出展を検討している方は、「(株)西荻のこと」までお問合せください。

展示会○販売会○作品展○研究発表 などなど

平日2,000円 土日祝4,000円
(11‐19時/木休 ※nof coffeeのラストオーダー時間まで)

ご利用のお問い合わせ kabu@nishiogi.org


西荻のこと研究所
メルマガアンケート

メルマガ読者の皆様からの叱咤激励をいただきたく、アンケートを作ってみました。何度でも構いませんので、新しいご意見を思いつきましたら、ぜひ投稿してください
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読みやすい杉並区議会議事録

平成30年9月から令和2年6月までの杉並区議会より、都市計画道路補助132号線に関するやり取りの部分だけを抜粋したPDFを作成しました。
どんなやりとりが行われているのか、ぜひチェックを。
読みやすいように縦書きでレイアウトしてみました。

以下よりダウンロードしてください。
https://nishiogi.org/wp-content/uploads/2020/08/gijiroku132.pdf


西荻窪の未来を考える会 議事録

2020年7月17日と11月20日、西荻北銀座商友会の樋代会長と、杉並区の道路と都市計画と商店街関係部署(都市整備部土木計画課・市街地整備課・産業振興センター)の担当者と、西荻のこと研究所メンバーで会合を持ちました。その際の議事録をHPにアップしました。
この「西荻窪の未来を考える会」は、将来的には西荻窪エリアに住む住民にもっと開かれたまちづくり会合の場を実現するべく、その準備として行っています。

西荻窪の未来を考える会議第1回

西荻窪の未来を考える会議第2回


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次号 2022年5月13日(金) 予定


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