2020年8月10日

西荻のこと研究所 メールマガジン 06号 (2020.08.06)

投稿者: nishiogiorg

「西荻のこと」リンク集

西荻のこと研究所ではこれまで、都市計画道路補助132号線の計画線内でお店を構えている方、土地を持っている方、居住している方を対象にしたアンケートの実施をしました(メールマガジン03号参照)。またその結果をもとに座談会を開催し、それぞれのメンバーがどのようなことを考えているかブレインストーミングしてきました(座談会前半メールマガジン04号座談会後半メールマガジン05号)。
今回のメールマガジンでは、杉並区がホームページで公開している各種資料の中から「西荻のこと」に特に関わるものを紹介します。私たちがこれまで「こうだったらいいんじゃないか」などと話し合ってきたことは、杉並区が主催するまちづくりワークショップやアンケートなどで出されてきた課題と重なる部分も多く、今後の「西荻のこと研究」の基礎資料となります。

杉並区まちづくり基本方針 平成25年10月 (PDF)
杉並区の都市計画マスタープラン。総論的な方針説明の次に、地域別方針が解説されているがそのひとつが西荻地域。低密度住宅地の保全と形成、駅周辺の生活拠点としての充実と都市計画道路の整備、青梅街道等の沿道土地利用促進、緑と水の拠点づくり、というようなことが挙げられている。

杉並区の道づくり(道路整備方針)平成29年3月(PDF)
杉並区の道路整備方針について詳しく説明。都市計画道路補助132号線(北銀座通り)のほか、神明通りが主要生活道路の優先整備路線になっていることなど、あまり知られていないことも載っている。

西荻窪駅周辺まちづくりだよりNo.1 令和元年6月(PDF)
まちづくり懇談会開催の報告と、そこで出された課題やキーワードの共有/駅周辺まちづくりアンケート結果の概要など。

西荻窪駅周辺まちづくりだよりNo.2 令和2年3月(PDF)
第3回まちづくり懇談会の実施報告。3つのテーマ「付加価値を生むまちづくり」「暮らしやすいまちづくり」「安心・安全のまちづくり」が決定し、それぞれの部会を開催。

西荻地域まちづくりアンケート調査 平成29年3月(PDF)
西荻地域(善福寺・西荻北・西荻南と、桃井・今川・上荻宮前・南荻窪・松庵の一部)の住民から無作為に抽出した3,000人が対象。西荻窪について、駅周辺について、将来像など。

西荻まちづくりワークショップ 平成29年12月・平成30年1月(PDF)
まちづくりワークショップの実施報告書。駅から半径500メートル在住の区民から無作為抽出した人に打診し応募した人を対象にした2度のワークショップ。あらかじめアンケート結果や補助132号線計画の説明をし、グループワークでまちの安全・安心、「私にとっての西荻」などのキーワードを抽出し共有。参加者によるアンケート結果なども。

西荻窪駅周辺まちづくりアンケート調査 平成30年11月(PDF)
駅周辺住民と店舗を対象に、ポスティングによるアンケート調査を実施。交通環境、安全防災、公園緑地、居住環境等について。回答者の75パーセントが総合的に「住みやすい」と回答。

杉並区における外環の地上部街路に関する話し合いの会
いわゆる「外環の2」と呼ばれる外環道地上部の都市計画道路について、住民と行政の話し合いの会の記録。やりとりの生々しさは各回の議事要旨からも感じることができる。

杉並区まち・ひと・しごと創生総合戦略【平成30年度改定】
「子育て」「にぎわい」「地方連携」の3目標と、具体的な施策を達成状況とともに掲載。人口ビジョンによると、2025〜35年に杉並区の人口がピークを迎え、その後ゆるやかに減少していくと予想されている。

総合計画(10年プラン)・実行計画(3年プログラム)・協働推進計画・行財政改革推進計画
「防災」「暮らし」「環境」「医療福祉」「子育て・教育」の5本柱で、10年プランと3年プログラムのそれぞれの施策と目標値を数値化して説明。2021年が節目の10年となる。


杉並区議会・委員会議事録より

(都市計画道路補助132号線関連のみ抜粋)
杉並区議会・委員会議事録より

杉並区議会・委員会議事録HPはこちら

※詳細なやり取りは上記リンクより該当の議事録をご覧ください。
以下は概要の抜粋です。

平成30年第3回定例会9月12日
富本卓議員(当時)が、都市計画道路のビジョンが見えないことを指摘。

平成30年第4回定例会11月20日
山田耕平議員が、まちづくりの当事者たる住民によって、計画見直しを検討する機会を保証するべきと意見を述べ、見解を求めた。

平成31年第1回定例会2月13日
山田耕平議員が、補助227号線(高円寺純情商店街上に計画されている都市計画道路)のように、補助132号線も計画の再検討を進めるべきではないかと質問。区長は「第四次事業化計画において検証を行っており、計画を見直す予定はない」と答弁。

平成31年第1回定例会2月14日
浅井くにお議員が、拙速に事業を推し進めることは不信感を助長し事業推進に逆行する、きめ細かく寄り添った対応で理解を得る取り組みが必要であると意見を述べた。

令和元年第2回定例会6月3日
山田耕平議員が、道路整備の効果検証がされてないことを指摘。交通量の減少や、防災拠点の東京ガスが移転するなどのことを述べ、住民合意に基づき計画の見直しも含めて検証するべきではないかと質問。また、災害発生時の道路整備後の被害想定について、整備効果が極めて軽微であることを指摘した。

令和元年第3回定例会9月12日
山田耕平議員が、延焼遮断帯の機能を発揮するための沿道の不燃化率について質問。道路整備だけでなく不燃化率を引き上げないと延焼遮断帯機能が発揮されないと指摘。また、地震時の焼失予測が整備によりどう変わるのか区の見解を確認。また東京ガス西部支店跡地について、「防災公園」の整備の住民要望をどのように受けてとめているのか質問。ほか、優先整備路線がボトルネックとなることや、先の計画線がクランク状になっていること、交通量の減少傾向、事業費総額が示されていないことなどについての見解確認。住民との懇談会などの機会を設けるべきではないのかの確認等。それに対してまちづくり担当部長が、不燃化率計算の誤りを訂正したのち、被害想定はあくまで予測と答弁。土木計画課長は東京ガスの動向について注視していくこと、商店街への影響について、発展につながるようまちづくりの検討を進めていくと答弁。

令和2年第1回定例会2月12日
山田耕平議員が代表質問で登壇。事業認可申請を受け、都市計画法16条に定められた公聴会の開催についての見解を問うと、田中区長が条例等には定めがないが住民説明会やオープンハウスなど幅広く適切に実施していると答弁。また、計画見直しを求める声がある中で道路整備を進めることは良好なまちづくりとは言えないとの指摘に対して、区長は「地域の防災力向上や、誰もが安全で快適に通行できる空間の確保が必要なため、重要な事業として計画的に進める考え」で、「引き続きこの事業の必要性を丁寧に説明し、地域住民の意見を踏まえながら、西荻窪の町の発展につながるよう事業を進めていく所存」と答弁した。

令和2年第1回定例会2月17日
奥山たえこ議員が、高円寺を例に、道路幅16メートルにすることの問題点を指摘し、100年後を見据えた時に広い道路が必要なのか区の見解を求めると、田中区長が、安全な移動のためには道路の幅員が大事な要素であると述べた。

令和2年6月8日の都市環境委員会

令和元年6月7日都市環境委員会
奥山たえこ委員が、都市計画道路補助132号線に関する3778名の署名を伴った陳情について、なぜ陳情審査を取り上げないのかを質問。委員長が「非常に重みのある陳情」であるが、「また違ったさまざまな御意見があるということも見聞をして」いるから「見聞を深めた上で審議すべき」と回答。

令和元年9月19日都市環境委員会
土木計画課長が補助132号線について地域住民への周知について説明。その後、大和田伸委員が、賛成反対それぞれの住民意見に対しての見解を求めた。そして事業の実施において丁寧に進めていくことを強く要望した。次に大槻城一委員が、用地買収や移転の時期などについての具体的な説明を求めた。続いて、くすやま美紀委員が、陳情審査の検討について委員長に質問。委員長は陳情審査は行わないと発言。続いて、関口健太郎委員が、周知の足りなさ、告知範囲の狭さを指摘。続いて、奥山たえこ委員が、昭和22年当時の都市計画がベースにあり、計画決定の変更が必要ではないのかと質問。続いてくすやま委員が東京ガス移転について質問。計画ありきで拙速に進めるべきでないと要望。

令和元年11月27日都市環境委員会
くすやま委員が、決定から70年経っている状況で、住民の声を聞いて見直すのが筋ではないかと質問。続いて奥山委員が、用地測量と収用について、強制があるのかどうかを質問。それから残地にも補償金が出るのかなど、補償についての質問。

令和2年2月21日都市環境委員会
陳情の追加署名があり計5574名となったことをうけ、くすやま委員が川原口委員長に、陳情審査をしない方針に変わりはないか質問。そののち土木計画課長より補助132号線について事業認可申請を行ったとの報告あり。続いて、大和田委員が、整備区間を2つに分けた理由と、残り区間の申請がいつになるかを質問。続いて、大槻委員が、今後の周知方法や、用地取得に伴う調査や補償説明の業者選定についての質問。続いて関口委員が受託事業者のプロポーザル選定結果で「社会的責任」が0点であったことに関係して、そもそもの選定基準に意味がないのではと意見を述べた。続いて、奥山委員が、都市計画決定された当時の書類を所管が持っているか質問。保管なしと回答あり。くすやま委員が、いつごろ用地取得の見通しなのかを質問。土木計画課長が5〜6年をめどに取得すると答弁。また、2期工事は状況次第で進め、工期が重なることもあるとし、予算については認可取得まで公表できないと答弁した。東京ガスについては動向を注視していくとのこと。くすやま委員は住民合意のない道路整備の強行は撤回するよう改めて求めた。奥山委員は、用地の取得率について質問。第1期区間について約60%が合意見込みとのこと。

令和2年6月8日都市環境委員会
4月7日に一部区間の事業認可を取得したと都市計画道路担当課長が報告。今後の事業施行予定について説明。野垣あきこ委員が冒頭、陳情審査についての要望を出したのち、第2期区間も含めた事業費見通しを聞く。都市計画道路担当課長が、認可が降りた第1工区で85億を試算、駅よりの第2期は倍近くにはなると答弁。また第2期の事業認可については、第1期の進捗次第との見解を述べた。かねてより「注視する」としてきた東京ガスの跡地については、区の方で用地取得をすることはないが、今後もいろいろ相談があればうかがっていきたいと考えていると説明。また事業実施におけるコロナウイルスへの対応については、説明会の見送りなどをしていること、また整備費の財源は国や東京都の補助金が当てられていることも説明した。続いて山本あけみ議員は、今後のスケジュールに書かれた「関係権利者及び地域住民へ」の「地域住民」の範囲について説明を求めた。都市計画道路担当課長は、範囲を決めているわけではなく「西荻に住んでいる方」と説明した。その後山本委員は、一人一人事情が違うし考え方も違うので、公の事業を進めていく上で、丁寧に進めていただきたいと要望した。


キッチンカープロジェクト第2回
そうだ!キッチンカーを作ろう!

今まで町の小さなイベントに参加した時も、
保健所のルールに阻まれ、特にカレーは厳しくメニューに苦労したけれど
キッチンカーさえあれば自由だ!
タンドールを搭載すれば本格的な焼き立てナンでインドカレーを召し上がっていただける。

そう、かわいい軽トラのキッチンカーにタンドールを積んで……
いろんな所に出没し、インドカレーの美味しさを手軽に味わっていただける、

早速タンドール製作会社に電話したところ、
社長いわく『コロナで工事が全てストップしているので、
見本の現物持って製作現場まで行きますよ~』との事、
(いや、別に行かなくても……製作場所は千葉一宮で遠いし~)と思ったが

百聞は一見に如かず!行って良かった。

タンドールの重さは120キロ、
軽に積むのは無理!ということが分かった、
タンドールの他、業務用冷蔵庫、100リットルの水、ガスボンベ、荷台の箱、
私がどんなに減量しても軽トラの最大積載量350Kgを超えてしまうのだ!

タンドールを諦めるか、1.5t車のいかついトラックにするか……

結果、かわいさ諦めタンドールを入れる事に……
たくましく生きる事に決めたのだ!

おかげで私の減量も先延ばしに……

タンドールの社長とのドライブは社長の波乱万丈人生のお話付きで
忘れられない一日となりました、ありがとうございました。

つづく

(ガネーシャガル・松岡美由起)


NEWS 東京ガス跡地はスーパーLIFEに

都市計画道路補助132号線に接していた東京ガス西部支店の広大な跡地がどうなるのか、西荻のこと研究所としても注目していましたが、近隣店舗からの情報によると、スーパーマーケットの「LIFE」が入ることとなったそうです。8月8日(土)18:30〜西荻南区民集会所にて、住民向けの説明会が開催されるとのこと。

追記:8月8日の説明会に行ってきました。次号メルマガにてご報告予定。


コロナ対策関連まとめ

1)家賃給付金・店舗家賃負担助成制度
■東京都から【家賃支援給付金】が3か月分上乗せされます。
新型コロナウイルス影響による経済対策の一環として国から家賃支援給付金が支給されましたが、これに加えて東京都が独自に上乗せ給付を行うことが決まりました。

下記に当てはまる方は、給付対象となります。
□ 国の家賃支援給付金の給付決定を受けていること
□ 都内に本店又は支店等のある中小企業等【注1】又は個人事業主であること
□ 都内の土地又は建物において、家賃等【注2】の支払いを行っていること
※個人事業主・会社法人だけでなく、NPOや、医療関係、農業法人も含まれます。
※広い範囲でカバーされる内容となっています。

8月中旬から申請受付開始の予定です。詳細については都のホームページに掲載されますが、西荻のこと研究所でも最新情報をお知らせいたしますね。
給付条件に「国の家賃支援給付決定を受けていること」があります。

まだ申請していない方は↓↓コチラから

家賃支援給付金
■店舗物件オーナーさんへの【店舗家賃負担助成制度】は、まもなく締切です!
杉並区内にある店舗家賃の4月・5月分を減額したオーナー様に対して減額分の1/2を助成する制度です。今後返金する場合や家賃から相殺する場合でも対象になります。
□4月・5月分家賃を減額した
□今後、返金また相殺でもOK 申込期限は8月31日です。該当する方は、お早めに~!

2)杉並区中小事業者環境整備支援事業
杉並区内の店舗で使用する飛沫防止対策・衛生用品を購入した中小事業者に対し、助成金を交付。税抜3万円上限。

3)まとめ
杉並区では「新型コロナウイルス感染症の影響に対する支援の一覧」リストを、個人向けと事業者向けの2種作成。給付・貸与・猶予申請などがある。


夏休みを西荻周辺で楽しむ

学校も夏休みに入りましたが新型コロナの事もあり、今年の夏休みは近場で過そうという方も多いと思います。
ということで近場で安く旅行気分で過ごせるスポットを幾つか紹介します。

1 善福寺公園下池 遅野井川親水施設
この施設は、井荻小学校の児童たちの環境教育プログラムから『夢水路』という親水施設案を杉並区に提出したのをきっかけに平成30年に完成しました。完成から2年が経過して土手の植物も大きくなり、最近ではスッポンの赤ちゃんなども確認されています。この施設の建設時から関わり現在は管理団体として活躍している「遅野井川かっぱの会」の方たちによると、「水に親しむ施設と同時に多くの生物の大切な場所なので人と生物が共生する場所として大切にしてあげてください。」とのことです。また、善福寺公園の下池ゲートボール場の横の広場で8月8日(土) 26日(水)、13時〜16時善福寺プレーパークも開催されます。こちらも楽しい遊びがいっぱいです。是非お越しください。

2 井の頭公園・井の頭動物園
紹介するまでもないメジャーな場所です。私も久しぶりに井の頭動物園に行って来ました。新型コロナ対策でイベントや触れ合いコーナーなどは閉まっていましたが園内の子どもたちは楽しそうに遊んでいました。今回は井の頭池側にある分園を紹介します。分園は、井の頭池のボートのりばの近くから入れます。鳥類と水生物を中心に展示されていて、井の頭池周辺の水辺に生息する魚やカエルのほかに外来生物のカミツキカメなどもいて子どもたちと一緒に大人も大興奮でした。井の頭公園はとても広く池に沿って東側に行き京王線の「井の頭公園駅」のガードをくぐると川に降りて遊べる親水エリアがあります。芝生の広場もありいつもと違った井の頭を楽しめます。

3  石神井公園三宝寺池
石神井公園といえば「ザリガニ釣り」です。ボート池北側と三宝寺池側のひょうたん池ではザリガニ釣りがOKです。それ以外の場所、特に、三宝寺池では絶対にやらないで!
仕掛けは棒にタコ糸を結びつけて先端にダブルクリップ(書類挟む黒いやつ)をつけ、餌(サキイカやスルメ)を交換するのが楽です。ザリガニは護岸の石の間に隠れています。隙間から出ているザリガニを探して鼻先にそっと餌を落とします。ザリガニが餌を掴んだらそっと引き上げて網を使ってキャッチしましょう。ただし、石神井公園のザリガニは「プロ」です。少しでも振動が伝わると餌を離してしまいます。頑張って釣ってみてください。

この三つの公園には、湧水があり、池があり、川の源流(石神井は水源)、それに弁天様が祀られているなど共通点も多いのです。普段はなにげなく使っている場所をじっくりと訪ねてみるのも楽しいのではないでしょうか?

井の頭公園の弁天様
善福寺公園の弁天様
石神井公園(三宝寺池)の弁天様

(野田栄一)


護りと攻めの街づくり
住民主体のエリアマネージメント

高度成長期・人口増加の日本においてそのスピードに合わせるように都心を中心に街が形成されてきた時代を経て、日本経済は成熟期を迎え・人口減少・少子高齢化という新たな課題を抱える現代においてはどのような街づくりが必要なのか?

西荻の人にとってとても身近で、緑豊かな善福寺川にそのヒントが見つかりました。
川という水辺が与えてくれる自然と調和する景色が織りなす日常風景を護ろうと動き出した3つの取り組みを紹介します。
そこには、ここにしかないものを【護り】たいという想いと主体的に動きマネージメントしていく【攻め】両方のスタンスが見えてきました。

1

歴史をさかのぼること、およそ90年前。
1920年代後半の日本では、郷土の自然景観や歴史的景観の保護を目的とした保勝会という取り組みに重ね風致地区が設定され、風致の維持のみでなく、利用開発に関する事業を行うための民間団体「風致協会」が多数誕生しました。

善福寺も当時東京府内に指定された8つの風致地区の一つで、1933年(昭和8年)善福寺川周辺の風景を住民の手で守ろうと、当時の町長内田氏によって善福寺風致協会が設立されました。

土地は地元からの寄付で、都と風致協会が協働して上池をつくり、ボート場を開き協会がその運営を始めました。収益は、下池や公園の整備に充てられて、市民の憩いの場としての役割を推進していきました。戦後、1961年に都立公園として開園した後も風致協会はボート経営や苗木の販売また、盆踊りイベントなどを行い行政に頼らない自立的事業を発展させ公園事業を確立させていきました。まさに、民間主体のエリアマネージメントです。

そう、誰もが一度は利用したことのあるあの公園のボートは、公園を保全・維持するための民間による民間のための公益事業だったのです。80年ほど続いた風致協会でしたが、2013年時代の変化と共にその役割を終えました。

一方、善福寺川の風景を護る動きををめぐっては、同じ年に大学研究者や知己の人が集まって【善福寺川を里川にカエル会「善福蛙」】が結成されました。
コンクリート護岸で固められた川と街の境。その境界部分を里川、自然護岸のような緩やかな繋がりに変えることで人と自然につながりが生まれるような「空間のつながり」を生み出すことを目的としています。その活動は、川を知るためのワークショップから河川再生事業並みの源流周辺の生態を調べたり清掃をするイベントまで幅広く行われています。

もう一つの取り組みは、2014年9月 杉並区総合計画の中で記された【善福寺公園内水路3カ年再生計画】にまつわるもの。実はこの再生計画は、井荻小学校の生徒の発案により実現したものだったのです。
きっかけは、5年生児童が授業で京都鴨川の環境について学んでいた時に、小学校の敷地内を流れる善福寺川に着目したこと。

自分たちの身近にある川。水源のある善福寺公園では自然な水辺でザリガニや生き物を見つけて遊ぶこともできるのに、少し離れた通学路近くの川は、コンクリートで囲まれ様子が違って、暑い日や水の量が多い時などは嫌な臭いもする。同じ川なのになぜだろう…。
小学生たちは、東京23区内の下水道は合流式といって雨水と下水が同じ管で処理されていて、降水量が多くなると雨水に交じって汚水が河川に流れ込むため、匂いや水質低下の原因となっていることを知ります。
川をきれいにしたいとの思いからゴミ拾いを始めた小学生たちが、暮らしの中で川にどのような役割があるのかを学ぶ中でみんなの思いを集め「夢のホタル水路設計図」という形で区長に提言しました。
その後、杉並区の事業計画に生徒たちが描いた「夢のホタル水路設計図」をもとに、「(仮称)みんなの夢水路」として、3年かけて再生することが総合計画の中に組み込まれたのでした。
この総合計画には小学生、地域と協働して整備事業を行うと記され、まさにこれは官民共同事業となりました。こうしてできたのが「遅野井川親水施設」です。
どの取り組みも住民が当事者となって動き出した結果です。

官民連携の街づくりで成功しているアメリカ西海岸のポートランド。そこには、「ネイバーフッドアソシエーション」という仕組みがあります。
日本でいう「町内会」のような組織のをイメージしますが、基本的に異なる点はエリアや学校単位で決められている枠ではなく、また世帯単位でなく個人として希望する人が自らお金を払って参加していることです。
自分の住む地域で関心のある事柄や課題に自らの意思で参加する。そうまさに【自分ごと】の集まりになっているそうです。
また行政は、そこからの意見やアイデアを吸い上げ、街づくりのパートナーとなる機関や企業などと計画を練り、実行に移していくそう。

「ネイバーフッドアソシエーション」ではイベントなど何かを実施する際に、資金集めも自分たちで行うことで、普段から市に対して言いたいことを発信できる立場にあるんだとか。

まさに、ここ西荻でもそのような取り組みが先達たちによって進められていました。

時代と共に変化する私たちの暮らしの中で、街の風景や街並みを「護る」ことと主体的に動き関わっていく「攻め」を両立させることがこれからの時代に求められる住民主体の街づくりにつながるのではないかと改めて感じました。

街の主役は「人」人が主役と書いて「住」。行政任せにしないで、【自分ごと】としてとらえる。自分たちの欲しい未来を描き、自主的に街を護ることに関わる。
その姿勢が均質化された街づくりから一歩進んで自分たちらしい街を作るカギかもしれません。

ここ西荻で脈々と続くその文化のすそ野をこれからも広げていきたいですね。

(松本弘子)

善福蛙メンバーによるニシオギ空想計画「ニシオギ・マザーリバー」

西荻のこと研究所では、8月12日(水)19時より、善福寺川を里川にカエル会[善福蛙]メンバーで、雑誌『武蔵野樹林』の編集者、風土と人の営みのつながりを紹介する『ハビタランドスケープ』著者の滝澤恭平さんをはじめ、善福蛙のメンバーにお話を聞く会を開催します。

zoomを利用したオンラインでの参加を希望の方は info@nishiogi.org までご連絡ください。

カエル×こと研 夏休みスペシャル
善福(寺川を里川に)カエル(会)のこと、聞かせてください!
8月12日(水) 19時〜21時終了予定


参加者
滝澤恭平さんほか 善福蛙メンバー
西荻のこと研究所メンバー

zoomにてオンライン参加できます。
お申込み・問合せ
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研究所員をいっしょにやりませんか?
参加希望の方、まずはメールをお送りください。
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次号 8月19日(水) 予定


夏休みスペシャル企画の報告
キッチンカープロジェクト 3
ほか


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