2020年7月9日

西荻のこと研究所 メールマガジン 04号 (2020.07.03)

投稿者: nishiogiorg

3号メルマガに掲載したアンケート調査の結果をふまえ、「西荻のこと研究所」が今後どのように活動していくかを考えるべく、研究所メンバーによる座談会を実施しました。2回に分け掲載します。(2020年6月17日収録)

西荻のこと研究所座談会(前半)

アンケートふりかえり

奥圭 今回の座談会では、3号メルマガ掲載のアンケート結果(←アンケート結果へのリンク)を、西荻のこと研究所メンバーで分析をしていこうと思っています。まずはとりまとめをした平野さんから。
平野 4名の方が「無回答」で返して来て、それを回収率に含めるのかということがあったのですが、これもひとつの意思表示としてとらえ、専門家や行政のみなさんが見ても納得できる書き方で入れました。実施方法なども前段で示し、このアンケート調査結果は信頼性が高いと思われるようにまとめたつもりです。
この「無回答」の方からはわざわざお返事の手紙をいただきました。これはひとつの意思表示なので、きちんと含めようと考え、回収率に含めパーセンテージを増やしました。アンケート調査結果自体は有効回答数という形にしています。それで回収率は4割を越えている。これは結構インパクトのある数かなと思っています。
回答しないことについての意思表示をちゃんとされたということを踏まえ、アンケートに回答されなかったみなさんがどの様な考えをお持ちなのか、その理由を想定で挙げました。中にはタイミングを逃してしまった、みたいな方もいるかもしれませんが、意向があって返事をされなかったこともありますから。調査結果は数字だけではないということを前提としました。
それぞれの設問に対する回答は結果を分り易くするため、表のすぐ下にコメントをつけました。問6の自由記述はありのままに。カテゴリー別に並べ替えようかとも思ったのですが、一つ一つの記述がしっかりまとまりのあるご回答だったので、順番の入れ替えもしていません。こんなにきちっと文章を書いてくるアンケートの返事ってなかなかないですね。思いが伝わってくる。ここが一番肝かもしれません。
それから、最後にアンケート調査結果の分析を添えました。西荻のこと研究所メンバーによる分析メモを、言葉を少し平たくして、あんまりうがった見方とか、憶測に基づいたことは書かないように注意しながら混ぜ込みました。住宅賃借人は一票だったのですが、置いてきぼりにしてはいけないと思い、全て入れています。
報告書としては、課題と今後の進め方みたいなところで締めなきゃいけないんですけど、今日の座談会でこれから先「西荻のこと研究所」が取り組むことを、このアンケートを材料に語るので、あまり深掘りはせず、傾向を総括するところまでにしています。メルマガを受け取ったみなさんも、ここから先を想像していただいて一緒に考えてほしいという思いもあります。このアンケートはいろんな反響があると思いますが、ディスカッションが大事。これが仕事でやっている専門家などに頼んだ場合は、少し違ったものになると思います。語って終わりでもなく、またその先に続いていくっていう感じにしたいですね。
奥圭 ありがとうございました。

都市計画に道はあっても
まち全体のビジョンがない

松本 今回のアンケートを通じて明確になったことは、どの立場の関係者にとっても、相談窓口がないということでしたね。もちろん行政の方では窓口の設定はしてあるのでしょうけれども、実際にはその存在が身近で無いか、知られていないというのが明らかになりましたね。なので私たちこと研としては身近なところで相談窓口機能を設けることは責務なのかなと思います。
奥圭 杉並区が想定する当事者と、こちらで想定している当事者が違う。店舗賃借人や、住宅賃借人はあまり想定されていない。
狩野 西荻の街を評価してくれている人には、住民のほかに来てくれる人もいる。ここにあるお店自体が大きな魅力になっている。とすると、これから先に向かうまちづくりの登場人物で、すごく大事な人たちが欠けちゃってる。
奥亜 土木計画課は道のことしか言いません。今後街がどうなるか、お店がどうなるか、今に至るまでそのビジョンが示されてない。個々の地権者さんや店舗賃借人さんもまだ描けていない。この状態の中で認可が下り、どんどん進んでいってしまうことがやっぱり一番不安。
拡幅が進んだ時、その途中の街がどうなるか、お店がどうなるかっていうところまで含めてのストーリーを聞きたいし、それがあってやっと納得感が出てくると思うんです。だから、区長や行政マンの「ニシオギ空想計画」を聞きたいですね。でも出てくるのは、車道と歩道がどういう配分になるかという図だけ。これは全体の中のごく一部。
松本 今のところは、ビジョンが置き去りになっている感じです。

桃三小で開催されたオープンハウスの様子(2019年9月)

「プレイヤーに選ばれるまち」の条件

野田 先日のミーティングで僕が一番なるほどって腑に落ちたのは「プレイヤー」という言葉です。僕はどっちかっていうと、地権者の立場に近いので、その立場でこの問題を考えてます。地権者は、自分が何を建てるかによってその地域が変わることを考えなきゃいけない。でもその時に、プレイヤーがどういうものを望んでいるのか、もしくは、建てたものでどういうプレイヤーが集まってくるのか、その視点を持っている人はまだまだ少ないです。
地権者が土地を売るのは、何かの理由がある時なので、その時一番高く買ってくれるところに売ることになる。ただそれだけではなく、何になるのか考えないといけない。ビルを建てても、そこに入ってくれる人がいなければゴーストタウンになる。そういったことは西荻のこと研究所のような立場のところがちゃんと言わないといけない。
狩野 何をもって良いビルなのか。立派なもの建てたとしてもね。
野田 今までは、なるべく高さがあって、中にいっぱい人が入ることができてっていう、重厚長大なものが「良いビル」だったんだけど、プレイヤーたちのコストはどのぐらいかとか、そういったことも含めて考えていかないといけない。
福田 野田さんはかなり理解のある地主さんだと思うのですが、そこまで理解してない方にそういうことをわかっていただくには、どういうアプローチが有効なのでしょうか。
野田 やっぱりその人たちに僕らを信じてもらい、お話をしていくことだと思います。地主が土地を売る時って基本的には相続だったり、もしくは今回のように公共団体から売ってくれって言われて売ることが多い。だからそれで建替になった時に、よくあることとして、銀行が「これを建てておけば安心ですよ」ってマンションだったり商業ビルだったりを勧めてくる。その時業者さんがコスト計算してそれで銀行からOKが出るというのがよくある流れ。
その時に、なぜここに人が集まっているのかっていうことをもう一回考えないといけないです。大半の地主の心の中はまだ高度成長期。土地神話を信じていて、建てておけば人が入ると思っている。中央線だし、荻窪・西荻・吉祥寺は大丈夫だ、と。でもそうじゃない。それを言い続けるしかない。
奥亜 アンケートを返してくれた地権者さんには、お店をやってる方もいて、その方は賃借人の考えに近いんですね。この街の価値をちゃんとわかっていて、お店を構えている。だけど、偶然ここに土地を持っていてお店を貸しているという人だと、店子さんとの意識のズレがある。アンケートの返答がなかった地権者の中にも、西荻というまちの価値をそこまでは把握してない人がいる気がします。
あとアンケートで感じたのは、店子さんの考え方がある意味ドライなこと。補償よりも、西荻エリアでの代替地があれば立ち退きは受け入れますっていう店が多い。何年も西荻で頑張ってる店は、誰にも頼らず、自分で道を切り開いてきた人たちばかり。お店がどうやって生き延びていくかを考えるとき、ここで粘るより、ほかの西荻エリアに移ってと考えている人もいる。
福田 お店を経営する立場からいうと、交渉事にエネルギーを使うより、たとえば神明通りや伏見通りに場所があって、移転の費用を出してくれるのなら、早く移転しちゃいたいなというのが本音だと思います。八百屋さんやお肉屋さんなど日常生活とつながる店はそれなりの影響があるだろうけど、カフェや雑貨屋ならそれぐらいの移転では変わらない。
平野 今回のアンケートでは自由記述がとてもよく書かれていました。地権者の方より店舗賃借人の方のほうが文章量も多く、より具体的です。まちのビジョンもその人なりにきちっとある人が多い。不安だということもすごく伝わってくる。地権者の方にもいろいろな考えがあると思うのですが、少しふわっとしているかな。
この自由記述部分をもっと分析して、方向性を決めてもいいくらいのものが書かれている。これだけの自由記述でその想いを頂き、そしてアンケートを出さなかった方の考えも想像できる。そこで、じゃあ何ができるか、そして何を伝えなきゃいけないか。メルマガでこのアンケートを見たみなさんには、ただの数字ではない回答がこれだけあることで、気持ちが伝わるはず。
今後の道路の拡幅計画について、どういうふうな気持ちの人がいて、どういうふうに進められるのか。この不安材料を少しでも解消するためにどういうことをするべきなのか。研究所の方向性がある程度見え始めたんじゃないかと。
店舗のみなさんは、西荻のまちがいいからお店を出している、こういう状況に置かれて不安だけど冷静に理解している、だから条件が良ければそっちに行ってしまうかもしれないという、ちょっとホップ・ステップ・ジャンプ的な、簡単に言うとそういうところかもしれません。ただここで、条件がよければどこへでも行くのではなくて、「西荻」であることが大事。
石田 賃貸で借りてる人は、出て行くしかないんです。どんどん動かないと商売が成り立たないから。それに、建物は建て直すことになるから残りたくても残れない。建て替えをした何年か後に戻ってくるのも難しい。
今回のように用地に関連する人たちだけでなく、もう少し範囲を広げてアンケートをとったら別の回答が出てくると思います。「あんな素敵なお店がなくなっちゃうのが嫌だ」とか。でもその希望はたぶん叶えられない。それが現実。野田さんが言われるように、新しく建て直す建物がどういう建物になるかというのがすごく重要なんだろうな。
狩野 新しいものを作れば誰でも入るだろうとか、西荻のまち自体に価値があるから、ここでやればなんでも大丈夫だ、っていう考えでいると、結果的にどのプレイヤーからも選ばれなくなってまちが空洞化する。それが十年続いたらどうなるのか。かなり恐ろしいことですよね。
自分の商売に精一杯で道路拡幅のことまで考える余裕がない方たちの不安を拭い去って、このまちを選んでもらえるようにどうするかが重要なのでしょうね。今のまちの魅力をつくっているプレイヤーが残り、新たなプレイヤーにその魅力を引き継いでもらえるように。道路拡幅の準備から工事終了の間のまちの雰囲気作りが、これからどんな人が入ってくるのかということと大きく関わってくるでしょう。
奥亜 いつどうなるかのスケジュールが全然見えないところが一番問題。不安定な通りでいつまでやれるかわからない。補償のことも曖昧で、それならばと移転したお店ややめたお店が北銀座通りにはある。こういうケースが一番残念だし、そういうふうに閉店していくお店が増えることによって、ほかのお店にも影響があるかもしれない。そうならないためには、明確なビジョンが示される必要がある。道路が変化する中でもちゃんと商売ができますよということを、誰かが責任を持って言わなきゃいけない。そうじゃないと、新しくここでやりたい人も、自分の予定が立てられないから敬遠することになる。どんどん通りが死んでしまう。どうやったらそれを回避できるのか。

道路づくりに欠けているまちづくりの視点

奥圭 道路が拡幅すると実際に沿道の建替が進むのでしょうか。杉並区は道路用地以外の場所は原則買い取らないことにしています。「ニシオギ空想計画」では建物が建たない場所を例えばポケットパークにするという案もありましたが、後ろにある家あるいは別人が後ろの家ごと買い取って新しく建物を建てるというようなことが本当に進むのでしょうか。
野田 順番からいくとまず、地権者さんと行政が話し合いをするのが最初のステップです。残地は行政側は買わないのが原則。ただ、そうは言っても実際は、5平米しか残らない場合もあるので、個々のケースで対応するはずです。その5平米を後ろの家の人が買ってくれればいいのですが、行政がそれを斡旋することはないんですよ。相対でやってくださいとは言うと思います。
それで言うと、「西荻のこと研究所にやってほしいこと」で一番大きかったのが、「情報収集と公開」でしたが、行政はこれを大いに考えてほしいですよね。できて間もない何の法人格を持っていない「西荻のこと研究所」という素人集団に、返事のあった4割の人たちのうち、複数回答ですけど80%以上の人たちが「情報提供・公開」を求めている。行政もやっているんだとは思いますが、いかにそれが伝わってないのかということではないか。
狩野 本当に必要な情報を提供してもらっていないっていうことですね。
平野 してくれないんじゃなくて、本当に伝えるべき情報自体、彼らもわかってないのかもしれません。なにかがぽっかりと情報に穴が空いちゃってる気がします。実は誰もわかっていないのかもしれない。それに、区の担当部署は今まで通りのフォーマットでやっていて、そもそも発想がないのかもしれない。情報はもう全部出してると疑ってもいないかもしれない。でも、当事者のみなさんがほしい情報というのはもっときめの細かいこと、えーそこですか?っていうような情報である気がします。
狩野 道路を作ることをまちづくりとして考えていないからじゃないか。
石田 地主で商売をしてる方にとっては、建て替える時にいくらかかって、行政からいくら入って、その先のコスト計算がどうなるかというときに、必要な情報が足りないのかもしれない。そういう地主さんにとっては、まちづくりとかよりも、もっと個人的なレベルで、何年後に家を建て直し、商売ができるのか、老後に上に住みながら人に貸せるのか、そういうことが心配なんじゃないかと思うんです。
狩野 その話も道路単体の話じゃないという意味では、まちづくりに含まれる。でも現在は道路のことしか情報提供されてない。まちづくりの視点がない。
野田 土地を持っていてそこに自分で上モノを建てて商売してる人は、計画線にかかってるから、計画が動くと土地が今の3分の2になっちゃうけどその時はどうしようか、という話は必ずしているはず。行政側はそういうところは、それぞれの人がやってくださいねというスタンス。ただ問題なのは、行政が、じゃあこの町をどうしたいのかっていう、まちづくりの視点が全く抜けちゃってること。それが本質のような気がします。
石田 普通のまちの人はそれで納得するんですよ。歩道が広くなってよかったねなんて。
奥亜 行政が出している説明資料に「拡幅でよくなった街」の例が写真で紹介されていましたが、お店が並んでにぎわいがある道には見えません。
奥圭 現状の歩道は狭くて危険、大型車のすれ違いが困難、と説明がある写真は、賑わってて活気があるようにも見える(笑)

杉並区作成の計画イメージ

平野 そもそもの視点が全然違うんですよ。あえてそういう写真を選んで作る、一つのテクニックですね。
奥亜 132号線はこの写真のような道になっちゃうのか。だったらこの道路計画は、防災や安全のためならにぎわいは二の次なのかと、二者択一を迫るようなものなのでしょうか。
野田 例えば下北沢は、こういう賑わいの創生が、って出てましたよね。
平野 下北沢は道路だけでなく「再開発」なので、「まちづくり」の視点が入っている。けれど西荻は道路だけ。今回は残念なことにまちづくりの視点も部署も一切入っていない、フォーマットどおりの作業だと考えられます。

住民主体のまちづくり、
行政とはどう関わるのか

奥亜 杉並区が行っている西荻窪周辺のまちづくり懇談会からまちづくり方針ができても、実際この132号線エリアにどのように誰が反映させていくのでしょうか。行政各部署での連携はどの程度あるのでしょうか。(参考:西荻窪駅周辺まちづくりだより2号PDF)
松本 そうするとこのアンケートで担当部署に求められている期待と役割が明確になったのですから、関係住民からの声として、それが示されていないことが最大の不安であること、その不安を解消するためにこんなことができるのではないかと私たち「こと研」は提案していく。協働してやっていくとが街にとってもベストですよね。西荻の人たちは、行政にやってよという丸投げでは無く、ちゃんと自分たちで汗をかいて関わっていこうとおもっていますからね。
土木計画課は道づくりの専門なので、街づくりが置き去りにならないよう、専門部署と別のプロセスを作っていく必要がありますよね。
石田 先進事例を見ると、一番最初はやっぱり住民団体なんですよ。住民団体が立ち上がったところに今度は行政が委託したまちづくりコンサルタントが入る。そういうチームができてから、まちづくりが始まる。まちづくりというのは漠然とした言葉なんだけれども、例えば道路計画に対応する具体的な計画を作っていくっていうやり方です。たぶんどちらにしても住民団体みたいなものが声を上げていかないと。
松本 相談窓口をちゃんとケアすると計画がスムーズになります、だからやった方がいいと説明して、例えば相談会を定期的に開くとか、代替地の広報フェアみたいなことをするとか、そういった土木計画課ではできないことをやる。そういう提案はどうですか。具体的な提案を持っていって、当然行政ができないから、そこで私たちはできるんですけれど、区としてはそれをバックアップしてください、と承認してもらうのはどうでしょう。
野田 例えば不動産業界で店舗情報を持ち寄ってもらって、相談会などを区が声をかけてやってくれないかと思うのです。でもOKが出せるのは区長だけじゃないかなあ。
松本 例えば相談会を開くのであれば、課の担当者レベルで承認できるのでしょうか。
野田 それであれば、この「西荻のこと研究所」がやっていいことだと思うんです。だって別に何の問題もないじゃないですか。しかも不動産の専門家もいて法律的にも問題がない。
松本 ただ、都市整備が行われる中では、誰がやるにせよ、身近なところに本当の意味で機能された相談場所が必要だということは、再認識していただきたいですね。
平野 道路ではなく、まちづくりで予算をつけてもらう。粘り強く話を持って行って、じゃあちょっと予算をつけてやってみるかとなれば突破口ができる。正式に事業として発注されることがあれば、(西荻のこと研究所も)それに関われるチャンスが巡ってくるかもしれない。もしかしたら「いいよ、あの人たちに任せてみる?」ということも夢ではないかも。道路だけではいろいろ難しいので、まちづくりという観点で、どうにか予算を確保して貰えるようにアクションしていけば何か新しい方向性が見えてくるかもしれないですね。

西荻窪駅周辺まちづくりだよりNo.2

反対する人の論理

野田 そうなった時、いわゆる反対派の人たちから、僕らはもう賛成派だと見られると思うんです。是非は問わないわけだから。それも含めて、腹を括らなきゃいけない気がします。
松本 いずれはもしかしたら強制的に道路で土地を取られるかもしれないけれども、それが納得いかないから反対。ただ、後ろの土地を買い、そこを代替地としてそのままいられる可能性があるとしたら、その方が納得できるところまで話を続ければいい。
狩野 一つ一つの個別案件を、私たちを信頼してもらって付き合っていくみたいなことですね。
松本 特に絶対反対という立場の声がただ闇雲に道路拡幅事業のスケジュールの中で、スルーされてしまうことが無いように、これから私たちができることかなという気がします。
奥圭 反対の立場の人たちの根拠って、自分たちのことじゃない。たとえば憲法29条に違反しているとか、そもそも都市計画道路の決定自体が戦前の法を採用しているから有効ではないというような、そういう論理で進めている。だから自分の家がセットバックできるから解決っていうようなことではないです。そもそも道が広がってほしくない、必要ないのになぜ広げるんだ、みたいなところから発信している。
奥亜 今は譲歩のラインを作らない姿勢を表明されているわけです。憲法に反してるから、都市計画道路自体がダメだということなら、差し止め訴訟や住民投票、都知事や区長を変えるか、リコールするとか、そういう選択肢だってある。もし挑戦するんだったら応援します。
奥圭 でも、効力のある動き方は難しい。直近でできることは、都市計画道路の見直しを公約にしている宇都宮けんじさんに投票するように呼びかけるくらいでしょうか。私たちとしては賛成とか反対とかでなく、認可がおりた道路計画は進んでしまうから、それをよりよい方向に修正するためにはどうしたらいいのかという前提で動かないといけない。
石田 残りたい人が残れる計画にしたいですね。
奥圭 何十年も前に引かれた計画線が一ミリも動かせないのが問題。宇都宮さんが見直しを表明し、もし彼が当選してそれが実現するのだとしたら、今の人たちがこのラインを動かすチャンスが生まれる。そういう柔軟性が、あちこちの都市計画道路の問題を解決するかもしれない。だから今度の都知事選は注視したいです。

「情報公開」「相談窓口」など、アンケート調査の結果から、西荻のこと研究所の今後の活動が見えてきました。座談会は次号につづきます。


東京都知事選直前情報

告示日を過ぎて、各候補者の公約を記した選挙公報が配布されています。もしお手元にない方はインターネット上で閲覧することができます。

東京都知事選挙 選挙公報

公報で道路政策について言及しているのは宇都宮さんのみ。「地域住民の意見に耳を傾け、道路政策を見直す」との記述があります。
また、6月28日に東京青年会議所の主催により、7名の候補者によるネット上での公開討論会が実施されました。その様子はyoutubeでも見ることができます。
ここでも宇都宮さんは、コロナ対策への財源として外環道など不要不急の道路計画は見直すべきと発言。他の候補者からは道路政策についての発言はありませんでした。

東京都知事選挙討論会 主催:東京JC

もちろん、都知事を選ぶに当たっては、道路政策以外にも重要なことはたくさんあります。上記のページなどを参考にして、各候補者の政策や人柄をしっかり見極めたいですね。


都市計画道路補助132号ニュースNo.2 発行

都市計画道路補助132号線(北銀座通り)拡幅の事業認可を4月7日に取得して以降初の「ニュース」が発行されました。内容は、事業認可取得の報告、事業認可の範囲の説明、事業認可による地権者にかかる制限の説明、早期売却の相談、土地取得を中心とした今後の流れの説明、等となります。

以下よりPDFで閲覧できます。

都市計画道路補助132号線ニュースNo.2

西荻のこと研究所 メールマガジン
次号 7月15日(水) 予定

西荻のこと研究所座談会(後半)
キッチンカープロジェクト始動

ほか

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