麻布十番
2020年9月16日

気になるまちに行ってみよう1 麻布十番編

投稿者: nishiogiorg

 最近は様々な地域で街が変化しています。西荻窪も変わりつつある今、他のまちを見て理想の街を考えるのも楽しいと思いませんか?

 ということで、今回は麻布十番に行ってきました。麻布十番、どんなイメージがありますか?私は新しいお洒落なまちだと思っています。

麻布十番

1 概要

 麻布十番は港区の六本木ヒルズのほど近くに位置し、大使館が立ち並ぶ街です。2000年に麻布十番駅が開通したことで盛り上がりを見せる一方でその商店街は300年以上の歴史を持ち、新旧それぞれの良さを併せ持っています。

 もともとは麻布山善福寺の門前町であると同時に交通の要所や大名の家臣の住まいなど庶民の町として発展してきた地区でした。

 坂道の多いすり鉢状のまちである麻布十番は駅が開通するまで陸の孤島とされてきたが、現在では赤坂・青山と並ぶ都心のブランドエリアと呼ばれ、住む街としても遊びにいく街としても人気のスポットになっています。そんな麻布十番はどのようにまちづくりが行われているのか。探っていきたいと思います!

港区のまちづくり

 麻布十番が所属する港区では「地域の発意、合意に基づくまちづくりを推進」しており、港区のホームページではまちづくりの仕組みをステップごとにわかりやすく示されています。麻布十番商店街一帯も区からの支援を受けながら、麻布十番商店街地区まちづくり協議会という組織によって取り組まれています。
 麻布十番商店街のまちづくりにおいて特徴的なものが「麻布十番商店街の十番ルール」です。

麻布十番商店街の十番ルール

一 麻布十番商店街振興組合に加盟します。
二 商店街の事業に協力します。
三 麻布十番のブランドを保ちます。
四 健康・健全な商店街づくりを進めます。
五 街並みにあった店舗づくりに協力します。
六 歩道上の看板を自粛します。
七 交通安全に協力します。
八 きれいで清潔な商店街づくりを進めます。
九 家庭的な温かな雰囲気づくりを進めます。
十 魅力ある商店街づくりを進めます。  

(参考1:麻布十番商店街ホームページより作成)

 上記は麻布十番商店街振興組合が港区の協力を受けて作成した商店街への新規出店時の基本ルールです。麻布十番の商店街ではこのルールが守られることによって、商店街の雰囲気にあったまちづくりが続けられています。

2 特徴

 麻布十番に関する基本的な情報はこのぐらいにして、ここからは実際にまちを見て感じたことをまとめていきたいと思います!

老舗率

 まず一つ目に注目したいことは歴史ある店舗が商店街の中に残っていることです。再開発によってまちの店舗が入れ替わり、歴史ある店舗がなくなってチェーン店やどこか見たことのあるような店舗ばかりになってしまう…よく聞く話です。しかし麻布十番を歩いていると新しいお店もある一方で昔ながらのお店も見つけることができます。

 それもそのはず、慶應義塾大学商学部の研究によると麻布十番商店街における老舗率は6%(※)。この数字は全国が1%、さらに東京で見ると0.53%であることと比べると驚異的な数字であることがわかります。まちが変わっていく中でもなじみのお店がずっとそこにあるということには安心感を覚えます。

※ 慶應義塾大学商学部牛島利明研究会第10期生,(2010),「商店街における店舗増加の要因分析~麻布十番商店街の特異性とその影響~」

一方通行

 麻布十番商店街の道路は一車線で一方通行です。片側に駐車された車やタクシーが並び、反対側を車が通行していくのが見受けられます。

 一車線だけの道路のため道路を挟んだ店舗の距離感が近く感じられ、対面に気になる店があったときに気軽に道路を渡って入店できることが魅力的です。あっちにふらふらこっちへふらふら、街歩きの醍醐味といっていいウィンドウショッピングが楽しめました。

 一方で歩道もやや狭く整備されています。麻布十番商店街では自転車が少ないためにその狭さも快適に歩くことのできる要因となっているように感じます。それでは自転車が多い西荻窪ではどのように自転車や街歩きを共存できるでしょうか。良さを残しつつ西荻窪風にアレンジを考えてみるのも楽しいかもしれません。

パティオ十番

 麻布十番商店会の象徴的な場所であるパティオ十番。商店街のほかの場所とは異なり、開けて見通しの良いスペースになっている。

 戦後の区画整理の時から存在するスペースで、1986年に今の形に整えられました(参考:脇本敬治(2015)「愛される広場と少女の像」森記念財団)。『赤い靴』のモデルである「きみちゃん」の像も設置されています。ロケ地として使用されることも多く、見覚えのある人もいるかもしれません。

 ここは多目的広場として利用することができ、ベンチなどは少ないものの段差に腰掛けてゆっくりとした時間を過ごすことができます。コーヒーを片手に腰かけながら友人とおしゃべりをすれば外国気分を味わえるのではないでしょうか。

駐車場

 一方で商店街から少し外れると駐車場が多くみられるようになります。おしゃれな雰囲気のまちのそばに味気ない駐車場が立ち並んでいるのは少し悲しいですよね。まだまだまちづくりは発展途上のためこれからも変化していくのでしょうが、その過程で駐車場以外にも利用できるとよいと思いませんか。

 麻布十番に限らず、まちづくりが行われている地域で計画が進むまでの空き地の活用方法として駐車場が採用されることは多いです。駐車場だけでなく、まちのよさが現れるような活用の仕方を考えられるともっとまちづくりの過程においても魅力的なまちになるかもしれません。

3 まとめ

 今回は一つのまちの形として麻布十番についてまとめてみました。ご存知の通り、西荻窪では現在まちが変化する時期を迎えています。ほかのまちの姿を見て「西荻窪にもこういうものがあったらな」「ここは西荻窪でも活かせるのではないか」そう考えるだけでもまちの見方が変わってくるのではないでしょうか。まちを歩いて、そうして思ったことを友人や知り合いたちと共有するなど、まちを楽しんでいくことができるといいと思いませんか?

(文 西澤)