ニシオギ大調査2022.6 調査結果
2022西荻散歩_6/4(土)・5日(日)
ニシオギ大調査2022.6 調査結果
1.調査の主旨・目的
まちを歩きながら、西荻の良いところ・気になるところを発見しよう!という主旨の調査である。
西荻に住む、働く、通学、買物、飲食など、西荻のまちのことを良く知っていると思っていても、歩きやすさ、滞在のしやすさ、居心地の良さ、賑わいなどの視点で見ると、良さの再確認、問題点の確認、さらに意外な気付きがあると考えられる。
西荻のまちの状況について調査を通して再確認し、居心地のよいまちに育んで行くための基礎情報を得ること、一般の参加者(住民、来街者など)がまち歩き調査を行いながら、まちの状況を自分事として把握し、参加者同士で情報を共有することを目的とする。
2.調査スケジュール
1) ガイド付き調査駅北ルート西荻北銀座商店街の通り | 6/4(土)13-15時 |
2)ガイド付き調査駅南ルート西荻駅南エリア | 6/5(日)13-15時 |
3.調査方法
- ツアーガイド(西荻のこと研究所メンバー)がエリアのポイントを説明しながら参加者を案内し、参加者には調査ホーム(スマホ利用)で10の項目の4段階評価にチェックして貰う。
※スマホが苦手な方のためにチェック用紙も準備(用紙、ペン、クリップボード)
- 調査終了後は参加者全員で西荻シネマ準備室に戻り、調査結果を振り返り、また、シネマ準備室の展示も参考にして貰いながらフリーディスカッションを行う。
※調査結果のグラフはノートPCで見て頂く。
- 集合場所:西荻シネマ準備室(ことビル)
※ここから調査スタート地点まで歩く。
- 調査時間:1時間程度+フリーディスカッション時間:30分程度
※尚、この調査方法については「まちなかの居心地の良さを測る指標(案)」(国土交通省 都市局 まちづくり推進課)を参考にした。
https://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_machi_fr_000009.html
4.参加者数
一般 | 学生 | スタッフ | ||
1)駅北ルート 西荻北銀座商店街の通り | 6/4(土) | 4人 | 2人 | 2人 |
2)駅南ルート 西荻駅南エリア | 6/5(日) | 5人 | 1人 | 3人 |
5.調査結果
□6/4(土) 駅北ルート 西荻北銀座商店街の通り
チェックエリア(1)(2)(3)(4)(5)(6)
□6/5(日) 駅南ルート 西荻駅南エリア
チェックエリア(4)(5)(6)(7)(8)(9)
6.フリーディスカッション
まち歩き調査後、参加者とフリーディスカッションを行い、様々なご意見を頂いた。全般的には今回歩いた西荻窪のエリアは魅力的な店やそこに訪れる人たちが作り出す賑わいが大きな特徴だと感じたようである。一方で古い建物があるエリアについては、防災や安全の観点から手を加える必要性もあると感じたようである。また、通り(道)については、歩きやすさや居心地の良さを得るためには、車・自転車・人との住み分けを充実させることが必要であると述べていた。いずれにせよ、実際に歩きながら自ら評価をしたことで様々な気付きがあったようで活発なディスカッションの場となった。以下、フリーディスカッションの内容をまとめた。
6-1. 6/4(土) 駅北ルート 西荻北銀座商店街の通り
■歩いてみての印象
<魅力的な店>
- 今まで、西荻はバスで通るくらいだったが、歩いてみるとお店がたくさん。
- お店が魅力的。
- 西荻は個性的なお店が魅力的。
- お店だけでなく建物も個性的で所有者の思いを感じた。
- 住宅街の中にあるお店の雰囲気が気に入った。
- 街の雰囲気が気に入って出店する人は昔から居た。
- ガネーシャガル(カレー店)の近くからシャッターが多い印象。
- お店が少なくなって商店街がなくなるのではと危惧している。そうなってほしくない。魅力的な街で居てほしい。
- マンションを西荻窪に購入し、20年強住んでいる。それまでも中央線沿線に住んでいたが、西荻で下車したことがなかった。マンションを買うにあたっていろいろなまちを回ったが、決め手は、西荻窪には個人店が多く、商店街があること。会話のある街であること。喫茶店や飲食店もある。
<道路に関して>
- 北と南で家並みも人通りも通りの幅も違うと思った。
- ニューヨークのように道が一方通行だと比較的安全に渡れる。
- 自転車が気になった。拡幅するなら解決してほしい問題。
- クランクがなくならないのはなぜか。
<その他>
- 程よい人混みがある。
- まだまだこの街は変化していくのだなと思った。
■調査全体を通して
<道路に関して>
- 自転車が大きな課題。自転車ユーザーにとって道路拡幅は大切なこと。
- 道幅は変えず、歩道・自転車をメインにする
- 信号が少ないと思う。
- 道路の賑わいについて考えてほしい。
- 人に優しい道路になってほしい。
- 下井草在住だが、アクセスが微妙。今日も自転車で行こうと思ったが、駐輪場問題で諦めてバスできた。吉祥寺なら自転車で行く。
- 今は道の向こう側が見えるが、道幅によっては見えるもの、見えないものが変化する。それによって街の雰囲気が変わるから、いろんな視点で考えることも大切なのでは。
- 滋賀県では歩道と車道を分けてよくなくなったので、そういう事例も参考にしてみると良い。
- 区長(田中良さん)が西荻のこととして話していたわけではないが、「カートやキックボードで老人も駅まで行けないといけない。2030年や2050年にはそういう時代が来るから歩道を広げなきゃいけない」と言っていた。彼は彼なりにビジョンがあると思っている。
- 行政の担当者に伝わりきっていないことがあるのではと思う。
<今後の調査について>
- 調査も、時間帯や土日と平日の違いを調べてみると違いがありそう。
- 実際買い物をしている人にアンケートを取るのがいいと思う。
- 買い物でお店を選べる(個人店でも選択肢がたくさんある。西友もある)そういう視点を持っている住民に買い物の視点で調べるのも良さそう。
- 日本人は議論が苦手で、思っていることをなかなか言えないことがある。女性の言葉を社会が聞いてくれないと感じていて、そういうのはおかしいと思う。だからこそ、こうやってデータを持って話すことは大切だと思った。
- アンケート(調査)を使って、いろんな立場の人の意見を取るのはいいなと思った。
<その他>
- 人がいるからいい街だと感じた。
- 若い人が考える、発想に耳を傾けると面白い発見がたくさんあると思った。若い人の意見に耳を傾け、考えていることを理解しようとすることも大切。その過程で発見がありそうである。
- タイムリミットがあり、議論する時間が少ないなら、違う手段を考えるのもありなのではと思う。
6-2.6/5(日) 駅北ルート_ 駅南ルート_西荻駅南エリア
■歩いてみての印象
<道路に関して>
- 自由が丘に住んでいるが、自由が丘のような歩きにくい街にしたくない。
- 北側の道路の開発がかかるので、お店を開かないという雰囲気になってきている。借りる人も借りにくいし、貸す人も貸しにくい。
- 車が通らない道は人が通り、賑わいが出るということを調査という形を通して体感できた。
- 車が通らない道では人と人との交流、コミュニケーションが生まれているというのを目の当たりにできた。この2日間、「茶散歩」が開催されていて、人出が多かったのでそれを実感出来た。
<まちに関して>
- 現在愛知県在住、学生の時に西荻にいた西荻の街並みが変わったと感じている(賑やかになった)
■調査全体を通して
<道路に関して>
- 神明通りは、車・自転車・歩行者との住み分けが出来ていない。長い一方通行で車の人にとっては便利だと良思うが、子どもたちの通学路になっているということを考えると、結構危ないので安全性確保をしてほしい。曲がり角は特に危険が伴うので、安全性について考えた計画にしていただきたい。
- 西荻窪は通りを入ると緑が多く、素敵な場所が多い。開発が進んでこの環境が変わってしまうのは考えられない。
- 人と車の住み分けということを考えると人が歩きやすいまちになれるといいなと思った。
- 神明通りからクランクして五日市街道に向かう道が計画道路になっていることにびっくりした。こんな曲がり方をする道路を通すために、北銀座通りの拡張工事をしてまでやことなのかなと思った。
- 地元が自由が丘でもともと歩きにくいまちに慣れていたのかなと実感。
- 同じ西荻でもエリアごとに違いがあるという印象があって、東横線沿線だと明確に歩行者にしてしまうところも多いが、擬似的に歩行者天国的に成立しているところもあれば、神明通りのように交通ルールが曖昧になっているところもあった。
<まちに関して>
- 南口の三角地帯などは、保存した方が良いかと感じた。あの雰囲気が出来上がるまでには時間がかかるもので、その時間が作り上げるものには価値があるのだと思った。
- 再開発されるとしたら、お店が移る先がいくつか散らばっていくといいなと思った。(住んでいたことがあった)武蔵小山のようにごちゃごちゃした飲み屋街があるようなエリアだったが、タワーマンションになり、飲み屋街は西小山方面に散っていった。このようなまちの事例も参考になる。
- 南口の三角地帯にはかつて映画館があった。時代のニーズに合わせて少しずつは変わっていくとは思うが、雰囲気はとてもよいので貴重だとは思った。
- 南口の三角地帯は魅力的なお店がたくさんあってみんなが好きな場所なのだなと実感した。ここがもしも再開発されたらどうなるのだろうと考えた。人で賑わっているから魅力があり、魅力があるから人が集まると思った。
- 今回歩いてみた6つのエリアごとに特徴があり、それぞれに課題もあるように思えた。ひとまとめに「西荻」でこうであるとは言えないと思った。そこも「西荻」の良さではないかと感じた。
- 世田谷区の三軒茶屋にも同じような三角地帯がある。雰囲気があっていいお店があるが、正直行きたくない。なぜかと言うと、あそこで火事があったら絶対に逃げられず助からないと思うから。それに比べると西荻の方がまだ道路もそれなりの幅があるし、まだいいかなと思った。ただ、建物の老朽化が進んでいることは間違いなく、道路の安全性も含め、来街者が安心して楽しめるということは考えなければならないと思った。
- 過ごしやすいとか、雰囲気が良いということは、安全が確保されることが前提であると思う。それらの観点も忘れずに考えて行かなければならないと思った。
- 西荻でどんなまちにして行きたいのかという意思統一が必要だと感じた。
<今後の調査について>
- 他のまちとの比較をしてみるのも良いかもしれない。
- 歩いてみると、まだまだやれることが色々とあることが見えてきた。
- この調査をまち全体に広げて貰って、何となくの情報でまちのことを知っているつもりで、再開発等に反対と行っている人が多い気がする。今のまちの現況をしっかり見た上でどうなのかということを考えてほしいと思った。
7.調査結果の分析
今回の調査の10項目・4段階の評価内容は以下の通りである。参加者による評価を集約した結果、それぞれのエリアでの特徴が見受けられた。
<評価項目>
質問(1):歩きやすいと思いますか?
質問(2):滞在しやすいと思いますか?
質問(3):雰囲気の良い建物が多いと思いますか?
質問(4):雰囲気の良い人が集まっていると思いますか?
質問(5):交流が盛んに行われていると思いますか?”
質問(6):居心地が良いと思いますか?
質問(7):賑わいがあると思いますか?
質問(8):人との新しい出会いがありそうだと思いますか?
質問(9):家族や友達などと楽しく過ごせると思いますか?
質問(10):また来たいと思いますか?
<評価レベル> 4段階評価
4思う 3 2 1思わない
7-1.駅北ルート_西荻北銀座商店街の通りについて
- 駅から遠いエリアの方が、全体的にバランスが良く、高評価となっている。また、“雰囲気の良い人や建物”に対する評価も高めの傾向がある。“歩きやすさ”も同様の傾向がある。
- “賑わい”については、この日は「茶散歩」イベントがあったため、全般的に高い評価が得られている。
- 一方、“滞在のしやすさ”についてはどのエリアも低い傾向にあり、“交流が盛んに行われている”とも連動しているように考えられる。各通りに共通して不足している要素であると考えられる。
- (4)駅北口周辺と高架下については、全般的に評価が低い。参加者のコメントから、駅広に滞在する場所(椅子やベンチ)がないことや、高架下の店舗が閉まっているところが多いことによると推察される。
7-2. 駅南ルート_西荻駅南エリアについて
- (4)駅北口周辺と高架下については、前日の評価と違っていた。特に“歩きやすさ”については、この日は高評価であったが、前日は低評価の方に寄っていた。全般的に低めの評価であることは変わらないが、その日の人出や歩き方の違いで評価が変わると考えられる。
- 西荻のまちを象徴するエリアである(7)ピンクの象の道、(8)飲み屋で賑わう三角地帯はバランス良く高評価である。特に(8)飲み屋で賑わう三角地帯については、前日のエリアも含め、圧倒的な高評価を得ており、西荻の象徴的エリアであると考えられる。
- (9)サミットストアの道についても、雰囲気の良い店が多いことから全般的に高評価である。自動車があまり通らないことから“歩きやすさ”の評価につながり、賑わいや交流にも影響が出ていると考えられる。
- (6)クランクまでの神明通りについては、(4)と同様、前日とほぼ同じルートを歩いているが、“歩きやすさ”や“居心地の良さ”を中心に前日よりも全般的に評価が低くなっている。こちらも、その日の人出や歩き方の違いで評価が変わると考えられる。
8.今後の課題・調査の進め方
今回の「ニシオギ大調査」は「西荻散歩」イベントが開催された土日両日で実施し、天候に恵まれ、人出もあり賑わいのある状況での調査となった。参加人数は各日6人(+スタッフ2、3人)で大人数ではないコンパクトな調査になったが、人出の多いまち中の調査としては適当な人数であった。6/4(土)は西荻窪駅北側の通りを中心に道沿いを歩き、6/5(日)は西荻窪駅南側にあるスポットエリアを中心に歩き、それぞれ特徴のあるエリアの調査を行った。
□調査方法について
今までならば紙の調査票にペンでチェックする方法を取っていたが、今回は参加者全員がスマホを持っているという条件から、スマホで調査項目をチェックする方法を実施した。この方法では、想定以上にスムーズにチェック作業を行うことができた。また、手慣れた参加者はエリアごとに簡単なコメントも入力していたので、4段階評価の根拠として参考になった。調査エリアの中のどの地点で評価チェックをして貰うかなど、参加者が評価し易いようもう少し詳細なルール決めも必要と感じた。それから、今回のようにスタッフのガイド付きの場合、同じエリアでも説明する内容によっては評価が変わる場合もあるので、説明内容を詳細に決めた方が良いかもしれない。今後、調査の回数を重ねて行くにあたっては、ガイド無しでの調査も想定しており、その場合の調査ルールの検討も必要である。また、年代の入力項目の追加、調査エリアの写真添付など、調査フォームのバージョンアップの検討も進めて行きたい。
□調査回数・調査日、時間帯等について
今回の調査ではスタッフも含め、7~8人がエリアの評価を行ったが、同じエリアでも曜日や人が変わると評価が変わる場合もあることがわかったため、今回の調査だけでは確定的な評価とはし難い。今後は調査回数を重ね、より多くの票数を得ることで評価をより確からしいものにして行きたいと考える。また、曜日や時間帯、昼夜によっても評価は変わると想定されるため、多様な条件下での調査を行うことも必要である。
□情報発信について
今回に限らず、今後実施する調査とその結果についてはメールマガジンで配信するが、より多く人に調査に参加して貰い、常に調査結果の集積を共有できる方法も検討し、関心度を高めたいと考える。
□「ニシオギ大調査」の今後
「調査して、結果を出して、それをどう活用するのか。」という問いもあるが、この調査の主旨は「西荻のまちの状況について調査を通して再確認し、居心地のよいまちに育んで行くための基礎情報を得ること、一般の参加者(住民、来街者など)がまち歩き調査を行いながら、まちの状況を自分事として把握し、参加者同士で情報を共有すること」である。しかし、数値で示された評価は、まち中の特徴や改善点を示す材料の一つとして、活用できる可能性は大きいと考えられる。
今後は調査回数を増やし、より多くのデータを集積し、まさに「ニシオギ大調査」となるようこの取り組みを進めて行きたい。
(調査総括 平野)