2020年8月25日

西荻のこと研究所 メールマガジン 07号 (2020.08.20)

投稿者: nishiogiorg

カエル×こと研 夏休みスペシャル
善福(寺川を里川に)カエル(会)のこと、聞かせてください! 報告

こと研(←西荻のこと研究所のこと)が活動をはじめて、準備期間も含めると半年ほど経ちました。この間、週一回のミーティングを重ね、132号線の道路拡幅に関するアンケートを行い、地権者やお店を営む方たちの思いをうかがい、住民提案を行政に届けていく足がかりを見出すために関係各課との懇談会などを行ってきています。何とか、132号線の道路拡幅を、道路の問題としてでなく、未来に向けた西荻のまちづくりの機会としてとらえ住民提案を行っていくにはどうすべきか、そんな思いで今回、活動9年目の先輩「善福寺川を里川にカエル会」(通称:善福蛙)の皆さんにお話しを伺いました。

「善福蛙」の活動と善福寺川

「善福蛙」は、善福寺川を、生き物がにぎわい、人々が集う、里川へと再生することを、市民が考え、体験し、行動して実現することを目標に2011年から活動されています。とりわけ、こと研メンバーが注目をしていたのが、「遅野井川親水施設」の実現に至るプロセスです。ここには、井荻小の児童をはじめとする多くの子どもたちの継続的活動と、それをサポートする先生・地域の環境教育の専門家・区議たち、そして善福蛙のメンバーの情熱的なコーディネートがありました。
 そもそも、なぜ善福寺川がこんなに汚れているか、普段は川を身近に感じていない人の生活にも、大きく関わっています。善福寺川流域周辺では、合流式下水道が採用されています。合流式下水道というのは、家庭などからの排水と雨水をいっしょに一本の管で集める方式の下水道のことです。雨が降ると一時的に流れ込む水の量が急激に増え、処理能力を超える量の水は,未処理の状態で河川に放流されるため、川にトイレの汚水が流れ込むことになります。雨が降ると、川が汚れるのです。

井荻小学校の校内に掲げられたタペストリー

杉並区総合計画に市民協働プロセスを入れる

そんな中で「夢のホタル水路設計図」を小学生に書いてもらい、それを区長に提案したところ、2015年の杉並区総合計画に「(仮称)みんなの夢水路」として、市民と行政の協働でのちに「遅野井川親水施設」となる施設の整備を行うことが謳われました。その成果は、偶然のタイミングもあったということですが、学校と地域をつなぐ学校支援本部のコーディネートの力、環境教育に関わったすぎなみ環境ネットワークなど地域の関係者、善福蛙の下支えの活動も大きかったであろうと感じました。
 その後、区の計画に合わせて市民参加のワークショップを行い、善福蛙のメンバーは一参加者として意見を言っていったそうですが、同時に、維持管理を考えるための「遅野井川かっぱの会」を立ち上げ、区との役割分担を明確化し協定書を結ぶことで、“夢”の水路を現実の風景にしていきました。まさに、どうやって維持管理して良い環境を継続させていくかを考えて整備を行ってこその里川ですので、そこは大きなポイントですね。

工事中の遅野井川に貼り出された「ホタル水路設計図」

どうやって住民提案を実現していくか

 この点について、いくつか大切なポイントをいただきました。

 ・まず川に入ることからはじめる(実体験、事実の共有)
 ・小学校等、地域の環境団体との協力関係をつくる
 ・研究者や専門家からアドバイスを受ける
 ・子どもたちの計画参加(子どもの「やりたい」を皆で協力し続ける)
 ・多世代の活動である
 ・行政とは長期的関係としての信頼関係を築く
 ・やりながら試す
 ・様々な人を巻き込むためのイベントやワークショップの開催

 こういうことを大切にしながら「遅野井川親水施設」を実現していったということですね。

雨が降っても川を汚さないようにするには?

 雨が降ると川が汚れるという事実は衝撃ですが、では、一般家庭や道路のつくりでどのような工夫ができるのかを聞いてみました。
 一般家庭などでは、雨樋を一本切って、雨水を溜め、散水などに使って地面に浸透させるだけで、60%ほどの流出を抑制できるそうです。花の水やりや災害時に利用でき、近場ではカフェ・カワセミピプレットさんでもタンクをつけています。その他、ピットを地下に作って溜めている家もありますが、それは新築で費用がかかります。
 また、道路は大きな「集水装置」といえます。今は雨水は全て下水に行ってしまうので、新たに道路を整備する際に、切り欠きを作って植物などを植えて雨水を地面に浸透させる方法(バイオスウェル)や京都の四条堀川交差点でも採用されている雨庭(レインガーデン)など、水の循環にも貢献できる方法があるということで、とても明るい気持ちになりました。一見、関係なさそうな道路整備と川の環境が大きく関わっていることを知ることも、とても大切なことですね。こういった整備には国からの補助金も出ているそうです。

参考1:道路側溝を集水装置に変える浸透貯留植栽ます・バイオスウェル

参考2:四条堀川交差点北西角における「雨庭」

まちづくりとしての「流域治水」

現在、世界中で水災害による被害が増えていますね。もはや、今までの河川の管理では対応できない状況になってきています。「流域治水」というのは、河川管理者等の取組だけでなく、みんなで治水に取り組むという考え方です。日本でも、国交省が主立った河川を「流域治水」する対策に乗り出しました。善福蛙さんは、雨が増え、川だけでは吸収できず、もっとまちづくりの中でこの問題に対処していく必要があるとおっしゃいます。そのためには、わたしたちにもできる先ほどの雨水タンクのことなどは大切で、それを日常の生活に浸透させていくことが重要そうです。雨水タンクは常に溜まった水を使わないと雨が降ったときに水を溜められず、雨水をじわじわと地面に浸透させることができません。そういった意味で、「治水」と「利水」は一体です。
 ニューヨークでは、雨水浸透計画が民地込みで策定されているそうで、道路のデザインガイドラインにも入っているそうです。雨水を溜める公園や香りのする植物を植えるなど楽しい仕掛けが街の中にたくさん見られ、市民も管理に関わっているそうです。

ニューヨークの公園のレインガーデン 写真:滝澤(善福蛙)

環境教育と子どもたちの育ち、そしてまちづくり

 道路計画に子どもの参加というのはあまり結びついていませんでしたが、環境学習は学校で扱いやすいとすると、道路計画づくりに関しても、水害や地域発展など、いくつかの選択肢を学校に提案して選んでもらうような方法がとれるといいですね。もっと先の未来も生きていく子どもたちと、今とこれからのまちを考えていけるなんてステキですね。

行政との連携・協働の可能性について

 こと研としては、行政と市民が対立するのでなく、行政と住民の橋渡しをうまくして地域の公共圏をともにつくり維持管理してきたいと考えていますが、なかなかうまくいきません。遅野井川では時間をかけて地域の関係者が協働を行いながら再生の機運をつくりあげていったそうです。最終的に地域の納得があれば行政はNOとは言わない。また、行政も様々な課が関係してくるので、関係部署は全て巻き込んでいくことが必要とのことです。
 西荻まちづくり方針のワークショップがあと2回開催予定される予定ですので、そういったところでも意見を言っていくことは大切で、またそこに参加している人とのつながりづくりも大切だとのアドバイスをいただきました。

計画中のLIFEについて

 東京ガスの跡地に、LIFE(スーパーマーケット)ができることになりました。もともと防災の拠点づくりという経緯もあったので、是非、今回学んだ雨水のことなども提案していきたいものです。地方のスーパーには調整池を持っているところもあるそうです。しかし、溜めるだけでは市民との関わりも生まれないので、池を作ったりビオトープを作ったり、近くの小学生が観察に来られるような場所になったら面白いのではというアイデアもいただきました。
 その他、日本での雨水利用の事例として、二子玉川ライズの屋上のビオトープや、最近できた立川グリーンスプリングスは、良い感じで参考になりそうです。

善福蛙×こと研のコラボに向けて

 今回、善福蛙さんのお話を伺って、都市の商店街でも、大小の循環型の自然を取り入れる仕組みを組み込むことができるし、私たちの暮らしが少しでも環境に優しい豊かなものになっていくように、前向きな開発の可能性があるのだと思いました。この、毎日の猛暑の中、罪悪感を抱きながらエアコンをつけつづけて過ごすだけでなく、自然と呼応できる環境を自分たちでつくるという新たな視点を与えていただきました。ぜひ、コラボしていきたいと思います!!!

(狩野三枝)

「LIFE西荻窪店」説明会に
参加しました

前号でもお知らせした通り、補助132号線沿いにあった東京ガスの跡地には、スーパーマーケットの「LIFE」が出店することが決まりました。
 8月8日に開催された、近隣にお住まいの方向け説明会の様子をレポートします。

 集まった住民は約50名。会場の西荻南区民集会所の会議室がいっぱいになり、立見の方も。関心の高さがうかがえます。
 工事着工予定は2021年の2月で、2022年8月完了予定。開店は秋くらいになりそうです。
 地下1階地上3階建で、地下と1階が店舗、2階と3階が駐車場に。
 食品をメインに扱うことは決まっているようですが、それ以外に衣料品なども販売するか、他のテナントが入るかなどはまだ決まっていないそうです。正式に決まるのは開店の半年前くらいとのこと。営業時間も未定だそうです。

 住民の方の最大の関心事は、車の交通量が増えて危険なのではないかということ。補助132号線は片道1車線ずつの狭い道路のため、駐車場入口での交通渋滞を心配する方も。また、駐車場に入るには歩道を横切らなければならないため、ここでの事故も懸念されます。後半の質疑応答では、この点について多くの質問が出ました。
 LIFE側の回答は、駐車場入口には警備員を置き安全を確保し、道路で入店待ちはさせないとのこと。また、青梅街道側からの右折での駐車場への入庫もおそらく禁止になるようです。
来店者数は1日4000人を見込み、車で来る方もかなり多そうなので、本当に危険がないのかは疑問が付きます。渋滞対策や車の通行量についてのシュミレーションは、来年春ころ開催の「大規模小売店立地法に基づく説明会」で詳細を説明してくれるそうです。ご興味ある方はそちらにぜひご参加を。このメルマガでもレポートします。

 他にも日照や騒音についてを心配している参加者の方が多くいました。ただおおむね、スーパーができること自体は歓迎している雰囲気があったように思えます。
 西荻のこと研究所として気になるのは、店舗が補助132号線に接する部分の使い方。現案では駐輪場兼歩道状空地になるとのこと。ただ、道路拡張が決まればこの部分は撤去して、歩道と店舗が接するようになるようです(善福寺のサミットのようなイメージでしょうか)。
 この部分を緑地化するとか、地域のためのスペースとするとか、西荻らしい使い方にできないかと現在妄想中。他の地域の方に自慢できるような素敵なスーパーになるといいですね。

(福田倫和)

西荻未来の羅針盤 第5回
スーパーと商店街

「こうだったらいいな」という夢のスーパーを描いてみました。(鈴木)

 前途のレポートにもありましたように北銀座通りの東京ガスの跡地にはスーパーができます。説明会や資料を見て感じたことや願いを書こうと思います。まず、地域住民にとってスーパーができることは食品の買い物の利便性が向上するので交通量の問題もありますが、ほとんどの方が歓迎しているようです。また、近隣商店においては競合となり得る可能性があり心配もあると思いますが、他地域でのLIFE既存店では、パン屋(個人店)に配慮して?なのか、LIFEの特徴である、焼き立てパンを展開していない店舗もあるよう。LIFEの配慮と地域に合わせた工夫にも期待!上手に共存共栄できると良いですね!(LIFEで良かった)

 このようにソフトとしてのLIFEの出店は自然な出来事かなと捉えることができる一方でハードとしていくつか気になる点があります。

1)駐輪場のレイアウト
駐輪場が北銀座通りの歩道に沿って約70m計画されています。駐輪場用地をきちんと計画すること自体は問題ないのですが想像してください、自転車が70m延々と連なる様子を…。街のオモテになる場所にあまり美しい姿ではないですよね?

2) 緑化計画
 一般的に大きな建物を建築する場合には、敷地面積に対しての割合で緑化が求められます。またその緑化は道路際へ計画することを薦められています。今回の計画では緑化の殆どが住宅地側となっており、北銀座通り側からは緑化を感じることができません。サミット善福寺店の青梅街道沿い部分のように街に開かれた緑地部分も欲しいところです。

また、規模は違いますが、二子玉川ライズ立川グリーンスプリングスなど、新しくできる商業施設は、緑を中心とした環境への配慮を唄っています。

立川グリーンスプリングスのウェブサイト
https://greensprings.jp/
二子玉川ライズのウェブサイト「環境への取り組み」より
http://www.rise.sc/whatsrise/environment/

3)広場状空地及び歩道状空地について
平面計画として売り場面積を非常に効率的に確保しています。しかし、地震や火災があった際に買い物客等が一時的に避難する場所として、また、住民と商店街とLIFEの交流の場所として、お買い物の休憩や地域イベントに使える広場やピロティのような屋外スペースの計画を願いたいところです。ただ買い物をする箱としてではなく、立地を活かしwithコロナとしてのコミュニケーションスペースがあったら良いと思いませんか?

東京ガスの跡地はあくまで民有地であり、法律に則っていれば、土地の所有者や事業者は自由に使用する権利があります。しかし住民の一部からは防災公園にしてほしいという声もあがり検討された土地でもあります。これらの感じたことや願いは魅力ある西荻づくりの要素です。新しくなる補助132号線に面した敷地に建つ、新しいスーパーは、西荻の魅力の目玉になってほしいと思います。LIFEさんの今後の詳細設計に期待します。

(鈴木貢成)


キッチンカープロジェクト第3回
オンライン申請にチャレンジ!の巻

東京都の助成金「業態転換支援事業」の申し込みが殺到しているらしい、
予算に達したら打ち切りになる助成金だけに一刻も早い申し込みをしたいところだが、
登記簿謄本には実家の千葉の住所だけで杉並の店舗が登記されてない、
これでは受け付けてもらえないと知り、急いで杉並の店の支店登記の申し込みをすることにした。

税金はしっかり杉並区にも支払ってるのに、こういう時は別だなんて・・・
とにかく一刻を争うので、苦手なパソコンでのオンライン申請にチャレンジ!
苦手を克服すべくMacBookを買ったばかりじゃないか!

が、できない!なぜ?どうして?落ち着け、落ち着け、と四日ぐらい法務局のホームページとにらめっこ、
がどうしても出来ない、仕方なく千葉法務局に質問の電話をすると逆質問をくらうことに、
で相手の対応があまりに感じ悪いので、私まで移ってしまい・・・

〈私〉   「じゃー結局どうすればいいんですか?」
〈局員〉『だからさっきから言ってるように、決済権限のある人がいないと虚偽の申請になりますよ』
〈私〉   「いや、さっきから答えになっていない!ちゃんとお店は存在しますよ!!」

もうここは諦め、ネットで見つけた〈サポートデスク〉に電話することに、
これまた繋がらない、もうほんと~にしつこく時間をかけ、でやっと繋がって
いろいろいろいろ話した後
結果『こちらはマックには対応していないので、その後どうするかは担当局に直接電話して聞いて下さい』とのこと、
(ズゴーーーッ、私の四日間を返して~)←心の声

そして気乗りしない千葉法務局に電話、
なんと言ったと思います?
『サポートデスクで分からないことこっちに回されても・・・』
ともう本当に感じ悪いったらない!(そんなこと私に言うな!そっちでやれ)←心の声

結局アナログ式に書類を持って千葉法務局本局に行き、杉並の店の支店登記の申請をした。
記載されるまでに2週間、手数料が6万9千円、、、あいたたた~~~

つづく

(ガネーシャガル・松岡美由起)

次回はいよいよキッチンカーお目見得です。

読みやすい杉並区議会議事録

平成30年9月から令和2年6月までの杉並区議会より、都市計画道路補助132号線に関するやり取りの部分だけを抜粋したPDFを作成しました。
どんなやりとりが行われているのか、ぜひチェックを。
読みやすいように縦書きでレイアウトしてみました。

以下よりダウンロードしてください。
https://nishiogi.org/wp-content/uploads/2020/08/gijiroku132.pdf


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次号 9月3日(木) 予定


キッチンカープロジェクト 4
ほか


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