2021年11月15日

ことビルオープニング企画トーク(4)

投稿者: nishiogiorg

前回はこちら
https://nishiogi.org/opening03/

ことビルのオープニングイベントとして、9月19日(日)に、まちづくりや都市計画の專門家である饗庭伸さん、中島直人さんをお招きして、「西荻のこと、まちのこと、これからのこと」と題してトークイベントを行いました。メルマガではその様子を4回にわたってご報告します。今回はその4回目で最終回、質疑応答のやりとりです。

国重:そうしましたら、今チャットにもよせていただいているかと思うんですけれども、先生方のレクチャーに対してご質問がありましたら先に受け付けます。おそらく西荻のまちの方が話し出すとすごく盛り上がっちゃうと思いますので、今のうちに疑問を解消していこうかなと思うんですけれども、いかがでしょうかね。石井さんの方に直接届いているチャットもいろいろありますよね。

石井:こんにちは、こと研の石井です。いくつか質問頂きましてありがとうございます。貴重な御意見ありがとうございます。
「都市計画道路整備ですね、再開発事業等は多くの市民の方も関心をひきつけるということになっていると思います。この事は、まちへのインパクトが非常に大きいということは言うまでもなく、かねてからの課題を解消する機会にもなると思います。一方でまちの課題がこの事業だけで解消されることはないと思います。こういう機会を活かして町の特性や課題、現実ですけど方向など幅広く収集分析して、市民や行政の方々と広く共有されていくと素晴らしい展開に広がるのではないかと期待しております」ということです。ご感想という感じでしょうか。
市民や行政がまちづくり会社に依存せずに、自治体の自分達自身の運営の一部、公共事業の部分を民間単位で責任をもって行えるまちづくりが本当にまちづくりかなという気がしています。というようなお話が出ておりました。
僕(石井)から質問いいですか? 饗庭先生に中島先生、楽しいお話ありがとうございました。こと研としてもタイムリーなというか、見えなかったところが開けていくような思いがしてありがたい思いでいっぱいです。まず饗庭先生、ワークショップをして行くとまあ結局言ってること同じじゃんっていうのが見えてくるという、我々の活動でも知見を広げていく中で、僕たちの意見だったりとか思っていることが意外とみんな共有されてきた。何か目的を持って進めてきたわけではないんですけれども、いろんな議論や話し合いの中で、お互い共感できて来るっていうところは非常に納得いくお話でした。つぎに決め時、決め方の話で、これからこと研が課題としていくのはなんだろうなと思って、その中でやっぱり利害をはっきりさせていくっていうことが大事だよという話が非常に心に残っております。どうしても、自分たちの都合のいいように曖昧にしてこっちのほうに引き付けるみたいなところは言い方としてはあると思うので、ちょっと気をつけて考えていきたいなと思っておりました。中島先生の話もとても面白くてパブリックライフサーベイ、今はどうなっているか? 奥秋くんたちが西荻の歴史だったり昔の写真をサーベイしたりするようなこととかも共通するようなことがあるのかなと思ったりしてます。
あと個人的にはこの最後のキルトの話。都市が非常に複層的で複雑で快適だっていうところが魅力になっていくっていうところが非常に楽しいお話でした。
ほかの方どんどん質問いいでしょうか。 もちろんZOOMの方もご質問頂けると嬉しいですけれども。Zoomの方どうぞ。

質問者A:Aと申します。中島直人さん、実はこの地域で小学校の頃、父兄の間では大変な秀才だっていうので評判でした。で何年生かのときにかみさんから聞いたらば、新百合ヶ丘の方に移っちゃったと。今日、初めてお聞きしたあの原点がトイレに貼ってあるっていうのも非常に感激しました。私も実はこと研に興味を持っていて、まちづくりに非常に真摯に取り組んでいるのを陰ながらというか、参加したいなと思いながら聴いておりましたが、やっぱり西荻のいいところをどうやって残すかっていうのはやっぱり本当に調査が大事だなっていうのが話でよくわかりましたし、客観的なデータで示すのが一番説得力があるんじゃないかなっていうので、是非、特にこのこと研はビジュアルが得意だそうですから、是非是非そういう結果をいろんなところに反映させていただきたいなというふうに思いましてこれからの研究といいますか、行動の成果を期待しております。以上です。
国重:ありがとうございます。
中島:今は杉並に戻ってきておりますけども、確かに新百合ヶ丘に引っ越しました。絵のうまさと調査との関係はすごく大事で、調査ってvisualization して示すというところまでやらないと伝わらないとか使われないっていうのがあります。数字の羅列だけど意味がないっていうところが多分に〇〇さんのやったこともすごい大事なところで、ここはあの実はプランニングとかデザインと近いっていうのもあるんじゃないかと思っていますので、こと研の事からするとそういうこともすごく得意なんじゃないかなと思います。
国重:ありがとうございます。そうしましたらチャットの方にご質問が寄せられておりますのでそちらを代読させていただきます。Bさんちょっと自分でお話になりますか。

質問者B:こんにちは。とても興味深いお話ありがとうございました。いろいろ勉強になりまして、地域で川のことで活動している者です。よろしくお願いします。私からの具体的な質問なんですけど、一つはこの饗庭先生のお話の中で、話し合いはとても重要だということをおっしゃってましたけど、その話のきっかけっていうのは、市民団体とか住民の間ではなんとかなるんですけど、やっぱり一 番ネックなのは行政なんですね。行政の方たちとこういうインフォーマルな場で話し合いするということがなかなか難しい。例えばちょっと飲みに行こうよって言っても、なかなかそれができないんですよね。はっきり言って、そういうきっかけづくりからどうすればいいかなっていうヒントがあれば教えていただきたいということが一つ。
あとまあ、ちょっとそれと似てることなんですけれど、社会の弱者ですか、声出せない人たちとか……私は川のこともやってるので生き物とかも含めてなんですけれど、あと子供たち、障がいのある方たちとか、声がなかなか届きにくいような方たちに対して、どういうふうにしてできるだけ巻き込むとかできるかっていうそういうこともちょっと、もし何かいいヒントがあったら教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
饗庭:ご質問ありがとうございました。やる気の無いような役所は何を言っても無駄なのでちょっと難しい質問だなと思ってたんですけれども、普通に例えば杉並都市計画を調べてるんですが、向こうが答えやすいように話しかけるというのは大事ですよね。道路について話し合いましょうと言うと多分びびってこなくなるかもしれないんだけれども、普通に都市計画を教えてくださいとかっていう風に行くとまあ話しやすいんじゃないかなというので、当面今、目の前にある事のもともとはどこにあったんだろうかっていうところを遡っていって、落ち着いた気分で喋るとこの話題になっているっていうまあちょっとそんなことなのかなというふうに思って聞いていました。
で、中島さんがアーバニストの話をしてて思ったんですけど、杉並って結構アーバニストがいると思うんですよね。区の中にもたくさんいらっしゃったし、public life 調査でも杉並って昔「知る区ロード」ってやってたりしてますが……「知る」に「区」の「ロード」って書いてあって、あの研究になぜか報告書があるって知ってるんですけど、要はそんな感じで役所の中にもそういうことをやろうとした人がいるし、それに呼応した市民の人たちもいたはずだと思うのでそこら辺を掘っていくと相当面白いだろうし、それこそpublic life 調査を今からやって、10年後とかだとちょっと気が遠くなっちゃうけど、昔やったことをもう一度やってみると……「知る区ロード」であるところをもう一度再評価してみることをやると結構おもしろいことがわかるんじゃないかなっていうふうに思います。杉並区の職員はどうまきこむかっていうところの質問には答えられないかもしれないけど、都市計画とかまちづくりの実績はちゃんと調べていくっていうところはとても大事なんじゃないかなと思います。
弱者ですよね。ちょっと僕、虫とかは会話ができないというか動物とも会話がうまくできない人なんですけれども……ええとあの、弱者ってかなり想像しなきゃいけないんですよねこちらが。もう全然わからないものだという風に想像しなきゃいけなくてですね、想像して会いに行って話を聞かないと向こうから絶対情報が出てこないというのが弱者で、声を上げることができないとか声の上げ方がわからないとか、そんなことやってる時間がないっていうのが弱い人たちということだというふうに思うので、今のご指摘はすごい大事なことだと思うので、あの普通に気をつけていただき、僕もいろんな街で要はこの場所に来られない人は誰なんだろうかといつも考えながらやっていてですね。どうしようもなければピンポンして聞きに行くわけですよね。「困っていませんか」みたいな事を。だからちょっとそこはね、常に常に気を配らなきゃいけないことなんじゃないかなというふうに思って聞いておりました。以上です。
石井:饗庭先生ありがとうございました。 今ちょうど「障害者です」という当事者の方からメッセージも入ってきました。先ほどの意見ですね、障害者という弱者ということでひとくくりにされるのはちょっと違うんじゃないかっていう声ですね。ひとまとめに弱者ということではなくてもう少し……まあ今、饗庭先生がおっしゃったようにいろんな状況ということがありますからそのことをよく考えてほしいということなんでしょうね 。
饗庭:そのとおりですね。一言で言うと見落としてしまうので、全部違う困り方をしていますし、違うまとまり方をしていますね。おひとりで孤立する方もいらっしゃれば、ある種組織化された人たちもいますし、だから想像すれば難しいことじゃないので、いろいろと大事にコミュニケーションしていくということですね。
石井:何が余計なお世話になって差別になるかっていうのを少しずつ考えていきたいと思います。
国重:ありがとうございます。ええとそうしましたら他にチャットの方ではご質問が挙がっていないようなんですけれども、ズームの方でどなたかいらっしゃいますか? 思いついたら適宜にチャットかリアクションであの主張していただきましたらなるべく気付くようにします。そしたらあのうずうずしていると思われる会場の方から何かご質問がありましたらお願いします。

福田:西荻のこと研究所の福田と申します。本日はありがとうございました。饗庭先生にちょっと質問なんですけれども、お話の中で世田谷区の役所の方がちょっと危機感を持って相談されてるってすごい素晴らしい方だなぁと思ったんですけどちょっと僕のイメージは、杉並区の役所の方がそういう危機感が無く、オープンハウスとか懇談会に参加しても一方的にこう伝えてくるだけというか、理論の前提となるとちょっと共有できなかったりして、噛み合わないものもあったなというかいつもなんですけれども……こういう饗庭先生のような方に役所の方から発注してもらうというかファシリテーションの必要性を認識しているのはどうやったらいいのかなっていう事です。答えにくい質問かもしれませんけど
饗庭:中島さんどうですか。
中島:ただ、専門家派遣制度みたいなに使えるのがあったらすごくやりやすいんです。独自予算をたてるのはなかなか他のものを削るので難しいですが、ありますよね、そういう派遣制度みたいの。
饗庭:もしかしたら行政の方聞いてらっしゃると思うんですけれども、専門家派遣で一回3万円とかっていうふざけんなという金額なんです、実はね。
ちゃんとやりたいんだったら本当に500万とか600万とか1000 万とか、そういうお金を準備して専門家を二人三人雇って地域に貼り付けるということをしないと、いい都市計画は絶対できないんですね。ここの方々、皆さんボランティアで半分自分の専門的な技能をただ遣いしているということだと思うんですけど……それは素晴らしいことなんですけれども、ちょっと言い方が悪いけども、責任を取れない可能性があってですね。
世田谷でやった時も結局一軒回った人の方が大事なんです。一軒一軒回って、個人情報だから絶対漏らさないんですけれども、「あの人は建てかえたいと思っている」。とか、「この人は総論では反対してるけど各論では賛成してる」とかも、名前をもった専門家が掴んでいくことをやって、それとワークショップと話し合いとかも、三つぐらいのものを同時に走らせて行って納得を作ってたってことだったので、きちんとやるにはきちんと行政が予算を立ててそういうコミュニケーションの専門家を雇ってかないと動かないと思います。ハードルをあげちゃいましたけども、基本はそうだと思います。
福田:ありがとうございます。行政の方に聴いていただけているといいんですが。
饗庭:やれないことはない、世田谷区でできたので杉並区でも同じように予算を立てて議会を通して説得することができるはずなので、それは実績があるからやっていただければいいと思います。専門家派遣一日三万円で流すのはよくないですね。私の経験上以上です。
福田:ありがとうございました
国重:ありがとうございます。他にあの会場から質問ある方いらっしゃいますでしょうか 。

松本:先生方ありがとうございます。西荻のこと研究所の松本です。最初の私たちの投げかけにあったように、ここからどうしていこうというところに参考になるお話がたくさんあって、何もかもやりたいなというふうに思ったんですが、例えばpublic調査とかにしても、私達が今いちばん困っているのは、こういった展示をしていてですね、町の人たちの反応ものすごくいいなと感じるんですね。お声掛けもいただきますし、頑張ってねとか、今日も本当にあのこんなにたくさんzoomで参加していただけると思ってなかったって言ったら申し訳ないんですけども、本当に期待以上に皆さんが関心を持ってくださっているとすごく嬉しく思うんですが、私たちは本当に毎週毎週、何時間も話し合いをしながらこういうことを進めていて、もっとパブリック調査にしてもワークショップにしても、どうやったら皆さんともっとこう一緒に参加する、参加者を増やしていけるかなっていうところ考えているんですが、「あの人たち頑張ってるね」とか「なんかやってるね」とかではなくて、どういう風にしたらまちの中の関心を持っている方たちと関係を増やしていけるかとか、こんなことを具体的にやったらいいかなみたいな事があれば両先生に教えて欲しいです。お願いします。
中島:むしろあの失敗例というと語弊があるんですけど、悩んでいることがあるんですけど、今アーバンデザインセンターっていうのを作っているんですね。アーバンデザインセンターによって上手くいっているところと上手くいってないところがある。具体的にはうまくいろんな人を巻き込めているところと、本当に広がらなくて、端的に言うと専任スタッフのいるかいないかということが大きいというのが実はありまして。先ほどの饗庭さんがおっしゃってた例えば一軒一軒に訪ねて行くとかっていろんなことで必要なんですけど、ちょっとやっぱり専任の人がいないとできないことなんですね。
大学の先生だとちょっと関わっていてパートタイムでやってたりとか、どうしてもボランティアだけでやってたら丁寧な一個一個のつなぎみたいなものができなくて、ひとりの人でも雇えるいうような組織をしているとすごくいろんなことが広がるんだというのは、行政がもちろんそういうことをオーガナイズすることもあるかもしれないけど、そういう意味ではこういった拠点が一つの意味があるんだと思います。そこでちょっと人一人ぐらい雇えるようなことができればそこからていねいなことができるんだというか。最終的にはその丁寧さというか、そこから本当に人を巻き込む重要な部分になるかなというのは感じていて、 私はそういうふうに関わっていくというところができていないというところがあって、まさにその同じ課題を持っているので、そういうふうに思います。いかがでしょうか饗庭先生。
饗庭:そのとおりだと思いますね。まあ、まちの人が結局あの人が好きで話すとかね、同じ研究所でも国重さんに話せないけどとかね、あるわけですよね。だから顔となるような人っていうか、そういう人がしっかりいるということがすごく、それで全然こう進め方が違うということではないかなというふうに思います。あとは重複しますけども、要はワークショップになるとこれはと、わーっと集まるとか、道端でちょっと喋ってくれるみたいなのも大事なんですけれども、この人大事だなって人、いますよね。実はなんか気になっちゃってねってポロッと言ってたって、まあ気になる人がいたら個別でインタビューするのが一番いいですね。半日でも一日でも話を聞いて来てですね、人はいろんなことで困ってるっていうね。例えば空き家持ってるんですよっていう人も空き家の話だけ聞くんじゃなくて、家族の問題でいろんな問題があるかもしれないし、そこにいろんな可能性が隠れているかもしれないですから、やっぱりちゃんと付き合うっていう感じですね、ちゃんと話を聞いて全部のことを一緒に考えるみたいな関係が出来ているっていうのが、とてもいいんじゃないかなっていうふうに思います。そんなとこですかね。ちょっと教科書的な話になっちゃいました。
松本:ありがとうございます。
国重:他にご質問がある方いらっしゃいますか。ちょっと時間が押しているんですけれども、もし先生たちのご都合が許せばもうちょっと延長しつつ、お時間の方よろしいでしょうか? 皆様の方で抜けて頂いても大丈夫です。他にご質問の方いらっしゃいますか?

石田:もうちょっと行ったところに住んでいます、石田と申します。私たちは、行政の方といろいろお話をしていて、住民みんなで、行政の方を含めて、賛成・反対っていう方達も含めた話し合いの場を作ってくださいということを、ずっと区の方には申し上げているのですけれども、その話し合いの場っていうのは、私たちとしては単純に道路計画のことを一つ申し上げると、区の方は「街路樹の種類をどういうものにしましょう」とか、「舗装の色をどういうものにしましょう」とか、そういう提案だったら聞きますけど、もっと根本的な歩道の使い方とか、どういう風にいろんなアクティビティとか、歩道の幅とかもいろいろ提案はしているのですけども、その様なもう少し根本的なというか、なぜ歩道が広がったらいいのか、この幅でいいのだろうか、そういうところから議論したいっていう様な、そういう現実的に形に反映できるような場を作ってほしいということを、お願いしているのですが、やっぱり土木課の方とか、いろんな課があるので、まちづくり課の方はそういう場を設けるのは、やぶさかではないけれども、それが実際には計画には反映できるものではないということを、はっきり言われちゃう訳ですね。そういった場合はどうしたらいいでしょうか? すみません最後なので 。……なんか区の方も困っちゃうかもしれないですけれども、どういう展開がありますでしょうか?
饗庭:中島さんが最後にいいこと言ってくれると期待して。若干相手してくれる区の人がいるってことですね今の話は? 部署によって塩対応のところと、一緒にやりますっていう部署があると思うんですね。話し合ってくれる人と話し合いを始めるのが良いと思うんですね。まずはですね。
例えばさっきの世田谷の話で、もう一つ隣の地区でも同じようなことやったんですけれども、役所の人たちはみんなこう自分の仕事が小間切れにされて持っているので、「そんなこと言われても困ります」って言うような感じで、その場に出席しないとかっていうことが起きるんですけれども、一応その時にとにかくお話をして納得してもらったのは、一応とりあえず全部設計してみましょうよって話なんですね。道路・歩道の使い方とか街路樹のやり方とか、両側の建物とかっていうのを。そこではですね、両側の土地をどうするかという話の場を作れたので、道路も一応設計してみないとイメージできないんだから設計し切った上で議論しましょうと。で、決めるのは両側の用途地域でいいですからって。議論の素材はもう全部集めてしまっていて、決めはこれだよねっていうことだけを合意しておけば、議論することができるということなんですよね。それでおそらくなんですけれども、ちゃんと検討しといたらですね、要は地域の人たちが集まってこんな感じの道路だねっていうことを前提として両側の土地を決めたのであれば、その場で決定されなくても、道路の計画が後で真似されることも結構あります。
僕も検討のために具体的に絵を描いて、決まったこと以外の絵っていうのは、その地域に投げた状態になってるんですけれど、5年後になぜかその通りの道が出来ていたということが何回かあるんですよね。だから、いいものを作っておくと後でちゃんとパクってくれる人がいるという風に、そういう若干楽観的な、そんなことも思ったりしてますし、逆に嫌われたら、あいつがやったら絶対どんな素晴らしい提案でもアウトなので、嫌われないというか、そういう感情的な状態にはならないことは、とても大事かなと思います。はい、以上です。
中島:私は追加することは無いような感じなんですけど、一般論としては、相手にとってこの議論に応じることのメリットを主張することですね。こちらから、こうしてくれって言っても、多分相手は基本的には拒絶だと思います。なぜ、こうしてくれということがあるのかと言うことを説得するしかないかな?っていうのがその場では思いますが、ただこれ根本問題としては、やっぱり区の中の組織の問題だと思うんですよね。本当にさっきの話じゃないけど、区が本気でこの西荻のことを大事だと思ったら、横割のちゃんとしたスケールでのまちづくりの課を作ると思うんですよね。
我々の手掛けたところでも、例えば高島平が正に高島平推進課という課ができ、そこで全部窓口を行う、予算としてはそれぞれの課が持っているから、なかなか事業的には厳しいとかありますけど、でも全体を見るという機能がある。
確かヒアリングの結果のところで、道路から見ていないでもっとまちのことを見た方が良いって、あれは東京都の発言でしたっけ? こと研がヒアリングの際にに言われたっていうのは? 国交省ですか。その内容を区に上げるってことになりますかね。本当にそれが大事だと思うので、区としても体制を本当に作るっていうことぐらいやらないと 本当にバラバラと動いているっていう、それはもうひとりひとりのその目の前にいる人の問題じゃない訳ですよ。それぞれで正解だと思って絶対その方がいいと思ってるけど、どうしても組織的な問題でできないんだっていうから、そこはやっぱり変えるのは、もうある種のトップダウン的なところがあるんでしょうね。
高島平は、板橋区長さんが非常に力を入れている。御出身だからというのもあるんでしょうけども、そういうものをちゃんと作っている。それが大事だと思うんですね。ちょっと政治的な話になっちゃって、ショボいって感じなんですけど、すみません。
でも、取り扱っている課とかありますかね? 地区別に担当課みたいのが? 杉並どうかな……。
ずっとやってますよね、あの蚕糸試験場周りとか。僕、学生の時に勉強しましたけど、だから経験がないわけじゃないと思うんですね。ちょっと最近のことはわかんないですけどね。あの多分、道路貫けちゃいますよね。一般論しか言えないですけども、あの貫けると、とにかく必ず両方の土地は、ぶった切られたりするので動くんですよ。建て替えは絶対起きるので皮一枚は必ず街が変わりますよね。おそらくいくつか懸念されているように、いろんな人がいるので地元に愛着がある地権者の方だったら、そこを立て直してなんかいい感じの古着屋さんとか入れてくれたりする。あの下北でも同じようなことが起きていて、地元を愛してる人が立て替えた分にはすごく下北らしいものが入っているんですね。そうじゃない人は、その辺のものを、いろんなコンビニチェーンとか、そういうのが入ってしまうということが起きるということがあり、かつ、おそらく細いマンションとかいっぱいできてくるんじゃないかなっていうふうに思います。それをひとりひとりを説得してやるのは結構大変なので、まずは地権者100人ぐらいいたら、一割ぐらいは自分の気が合う人がいるというくらいの感じで、10人ぐらいは多分仲良くなれると思います。だから、そういう人たちにすごく西荻らしいもの、作るその人たちが西荻らしいものを作る手助けをするということですね。あともう九割の人たちは、もうまあしょうがないというか、世の常みたいな感じなので、そこはもう目くじらを立てても難しいかなという風に言ってですね、でもおそらく住宅が建たないってことはないと思う、新しく住宅が建ったらそこに入ってく人たちは新しいプレーヤーになってくれるということですよね。だからあの道路ができたらきっとそういう変化が起きるんだなあっていうことを前提に、100人の地権者の10人とどう刺さっているのかというふうに作戦を立てていると、わりとやることが明確になるかなと思います。あとは、ここの魅力は裏通りっていうか、西荻って皮一枚やられたから街が壊れるってことはたぶんなくて、後ろになんか妙に生命力がある変なアパート、大量にありますよね、ちょっとウロウロしたんですけども、こんなところに変なお惣菜屋さんがあるとか、そういう感じがあると思う。お友達になったりしながらうまくそこの新陳代謝ですよね、それをこう助けて行くみたいなことをやると、すごい面白い街ができるかなというふうに思いました。

国重:ありがとうございます。
ちょっとお時間もいい感じにはなってきたんですけれども、先ほど補足させていただきたいなと思ったんですけれども、区と話し合いながら上手くいってないと言って、非常に申し訳なかったが、二回くらいお呼び立てして、昨日でしたっけ? 一昨日もこちらに足を運んでいただいて、西荻の未来を考える会議っていう場を設けさせていただいております。次にいつやりましょうかって言ったまま、年を越して年度を越してしまったので、今になってしまったというところもあるんですけれども、道路の担当の方とまちづくり担当の方とあと商店街・産業振興の方たちの三者と話をさせていただいて、こちらが勝手に、こういう先ほどお見せした資料をお示ししてどうやったら一緒に考えられるかなみたいなところの、問題提起をさせていただいているところにまでは至っていて、つい先日の金曜日にあの話したところですかね、石井さんがわかるかな? これから再開しようかということになったんですね? 区の方との話し合いをまた再開しようかって話になったですね? 区の行政の方も今日見ていただけているんですけれども、どうでしょう、声をいただいたりすることは可能でしょうか?……なので、コミュニケーションを継続的に撮っていて行きたいなと思っています。向こうも市民と協働してやっていきたいという姿勢などはある様です。すみません。杉並区の方へも急にふっちゃってすみません。
今、饗庭先生がいい感じに締めてくれたっぽいことを言ってくださったんですけれども、Zoomの皆さんも会場の皆さんもなんとなく宜しいですか? そうしましたら、最後にちょっと先生に教えていただいた感じにはなったんですが、先ほど私たちが疑問に先生たちに聞いてみたいことみたいな、だいぶお答えいただいたかなと思いますけれども、こちらを踏まえまして私たちのやり方がちょっと甘いんじゃないのとか、もうちょっとこうやったら良かったのにみたいなところは大分いただいたんですが、最後にもうひと言ずついただけたらなと思うんですけれども、いかがでしょうか?
今日のお互いの話を聞きつつも、私たちに宿題みたいなものでも残して頂けたら励みになりますので ……。
中島:私は大変尊敬している。今日、最初に示してくれた、この活動は二年くらい前からですよね? 始まってから。それでこれだけの人が集まって、しかもこういう場を作って、 行政との関係もこれだけにやって、それはもう間違いない、ちょっとすごいことだなあと、そこはなんか杉並の皆さんの愛なのかどうか分からないけど、それがあるんだっていう。自信もっていいんじゃないかなというのを、私は単純に思います。この中から学びたいこともある。誰かが修論で学んでるっていうのもありましたけど、本当そういうものだと思います。その中で面白いと思ったのが、不動産屋さんもメンバーにいらっしゃって、いろんな店がこれから動いていく時とかに、実はうまくそのまちづくりの観点で、配置とかはちょっと上からになるけど、いろんなマッチングですかね、いわゆる地方都市だとよくある、空き家のバンク、マッチングしているような取り組みをこういう感じの企業、まちづくり会社がやってますけど、都心じゃないですね、なんでしょうか、東京都内版みたいな形で、うまくそのシステムというかですね、この取り組みが西荻に浸透していくと、直接こういうことつながらなくて、出ていっちゃう人の何割かが残ってくるだけで、街の魅力というのは継続していくし、さらに発展すると思うので、その辺の事業というのも、今いっぱいだと思いますけども、次の展開とかっていうのがあると、本当の意味でのまちづくり会社になるかなっていう気がしました。
道路も駅前広場も大事な事業で、これからまだ何年も何年もかかるけど、ある意味ではこの10年、特別な話なんですけど、街の日常的なマネジメントとも同時に何かあるというか、道路とか駅前広場はかなり特別な今すぐやらないといけない事業だけどでも、日常的にある訳ではないんですよ、それはそれででもちゃんと対応する一方で、日常の普通のお店の動きとか人のコミュニティとか、そういうものに対しても上手く、日常的なものと特別なものがやっていけると、本当にまちづくり会社になるのかなと思いました。
ちょっとエールになったか分かりませんが。
饗庭:なんか同じようなことになっちゃうんですけど、西荻に来たのは何年ぶりかな、20年か25年ぶりぐらいに来たんですね。大学が早稲田だったので、この辺に友達が住んでたからその頃はよく来てたんですけれども、今は大学が京王線沿いになったので中央線にあんまりこなくなっちゃったんですけども、やっぱり西荻の「西荻力」みたいなのが凄いなって思いました。特にちっちゃい店がたくさん、そして、ちっちゃい建物がたくさんあるので、そこに新しい面白い人がどんどん入ってきてるっていうのがありますよね、だから、あれって本当におもしろかったので、この程度の道路じゃ多分この西荻力はなくならないんじゃないかなとは思いました。ですから今、中島さんがおっしゃったように、道路と駅前の開発で本当に大多数の人にとって実はほとんど関係ないんですね。一日一回行くか行かないかぐらいのところになってしまうと思って、そうじゃない西荻の街っていうか、住宅地全体の力を高めていくか、今の能力をどういうふうに次に繋げていくかっていうところは、すごく大事なことかなと思っているところです。すごくポテンシャルはありますのでそれを言語化できている感じがするんですけれども、下北沢でも吉祥寺でもない西荻らしさって言うとちょっとハードル上がりますよね。だからそこら辺をちょっとぐっと見極めていただいて、このまちの生命力っていうかね、このまちでは新陳代謝をしているところが源ってどこにあるのかというあたりは一度ぐらい議論していただくといいのかなっていうふうに思った次第です。ありがとうございました。

国重:先生ありがとうございました これにてトークイベントを終了させていただきます。皆さんどうもありがとうございました。