ことビルオープニング企画トーク(2)
トーク1はこちら。
ことビルのオープニングイベントとして、9月19日(日)に、まちづくりや都市計画の專門家である饗庭伸さん、中島直人さんをお招きして、「西荻のこと、まちのこと、これからのこと」と題してトークイベントを行いました。その様子を4回にわたってご報告します。今回は2回目、饗庭伸さんによるレクチャーです。
これを受けまして、先生方にそれぞれレクチャーをしていただきたいと思います。まずは饗庭先生の方からお願いしてよろしいでしょうか。
饗庭:はい、よろしくお願いいたします。
東京都立大学の饗庭と申します。専門は都市計画です。問題をちゃんと正確に掴んでなかったのでとりあえず今日は、手持ちで役立ちそうなネタを持って来たという感じで、プレゼンとして準備をしてきました。結果的には中島さんと役割分担ができたかなというふうに思うんですけれども。
僕の方はどうやって街の合意形成とか、「納得」を作っていくかなど、ちょっとテクニカルな話と、そもそもね……みたいなことを織り交ぜてお話をさせて頂こうかなと思っているところです。
一つ目はいわゆる「ワークショップ」みたいなやり方がたくさんありますよ、っていう話をしようかと思います。二つ目が個々のワークショップをどうやって組み立てていくかっていう話ですね。用地買収が始まっている道路は、けっこう急がなきゃいけないかもしれないですけど、駅の南側はもうちょっと時間があるかもしれないなと思って、二年なり三年なりっていうふうに時間を想定して、その中でどうプロセスを見られるかなというような考え方。
三つ目はですね、まあちょっとずれたかなっていうふうに思うんですけれども……どこかでものを決めなきゃいけないんですね。で、なぜずれたかなと思ったのかというと、この研究所が「決定」に関われるかどうかがちょっとよく分からなくなっちゃったので、決定の話をしてもしょうがないかもしれないと思うんですけど……区の方も聞いてらっしゃるということで、地元がもめたらこんな感じで決定しましょう、みたいなことを話をさせていただくということで。
あと四つ目は、やりながら組織を作っていくわけですよね。この研究所という組織が出来てきて、で、地域の方々もいろんな自治会があったり町内会があったり、あるいはまちづくり協議会があると思うので、組織の組み方をどういうふうに考えたらいいんだろうか、そんなことをお話しさせて頂こうと思います。
一つ目は、ワークショップにはこんなのがありますよっていう話です。ひとつひとつしゃべるとすごい時間がかかっちゃうんですが、まあいろいろあるっていう話ですね。上の方は、ちょっと固有名詞はやめておきますけれども、最初の段階で市民の人たちの意識付けをするというか、情報を集めたりとか、意識を作ったりするときによく使っているようなワークショップです。真ん中の辺は模型とかを使ってますけど、具体的にかたちを検討するときによく使うようなワークショップです。
この研究所はさっきから見てると、ビジュアルが素晴らしいですね。絵を描ける人がたぶんいっぱいいらっしゃって、すぐ絵にして、外に出して、またフィードバックしたものを絵にしてっていうことができていて、この辺のことはすごく皆さん得意の人たちがいらっしゃると思います。だらだら喋ってるよりはちゃんと絵にして議論した方がいいので、その辺はほぼほぼ合格かなと思います。あと左の二つはやっていることを外に伝えていく方法ですよね。
この場所(西荻シネマ準備室)でワークショップをやったとしても、20人30人来られるわけじゃないと思います。この時代ですから。すごくいい話し合いをしたものをピーアールしていくかというそんなことも大事ですね。
左下はこと研メンバーでもある国重さんと一緒にやったのですが、道端で説明会をしたりしていました。
あとこれは、分かったことをポスターにしてまち中に貼るということをしていて、この辺は色々と組み合わせて使っていくといいんじゃないかなと思っています。
で、タイトルが、「納得」と「合意」っていう言葉を使っていてですね。このふたつが違うので大事なお話をしておくと、最後にみんなで手をあげて決めるとか全員が一致するまで話し合うという「合意形成」。結構重たい……でも合意形成をしないと前に進まないという感じでよく使われると思います。
一方で、皆さんが納得するっていうのはあってですね。納得と合意はちょっと違います。納得は、反対、でもまあみんなが良いっていうから俺は最後まで反対だけど黙ってようっていうのが「納得」。
「合意」であまり強引にこだわりすぎずに、いかに「納得」を作っていくかということが大事ですね。道路作ったり再開発したりすると絶対反対する人がいます。嫌な気持ちになる人もたくさんいるしめちゃくちゃおいしい目をみる人がいてですね、確実に人々に差が出るんですね。だから全員ウィンウィンでハッピーな合意形成ということは多分ないというふうに思っているわけです。その中であの人はこうだけど自分がこうだよねっていう感じになるべく納得の数を増やしていくっていうところがとても大事かな。合意と納得をちょっと分けて考えてみるといいんじゃないかなというふうに思うわけです。
じゃあこの手のいろんな手法をどういうふうに合意に繋げているんだっていうプロセスの話をしたいと思います。
全然写真がわかりやすくないんですけど、これ左と右が違うってことを示したいのです。
左側が岩手県の津波の後の災害復興の計画を作ってお手伝いをしたときの写真。下の写真の右側は山形県の鶴岡というところで空き家を使ったまちづくりをしようということでワークショップをやったところ。
このふたつが全然違うということをまずお話をしようと思うんですけれども、左側の場合ですね。何か手伝ってくれっていうふうに呼ばれて行って最初の写真が左下なんですね。
地形が複雑すぎるので、まず模型でも作って持って行くかみたいな感じでポンと置いたところの写真です。置いたらこんな感じで人々がザーっとよってきてですね、ああでもないこうでもないって話をするんですね。
で、上はその1ヵ月後ぐらいですね。大きい地図を敷いてやる「ガリバーマップワークショップ」っていうものなんですけれど、もうこれも、町の人たちがわらわらわらってやって来てですね、地図の上に座って、地図を指さしながら、ここは、この道路はどうだああだという話をする。で、すごくびっくりしたというか、なるほどなと思ったんですけれども、やっぱり災害って大事件。当たり前ですよね、家が流されたりしてる。だからみなさん意識が非常に高い状態になってます。 その時に専門家がいるとですね、みなさんも第三者的な専門家だと思いますけれども、専門家がせいぜいできるっていうのはその皆さんがハイな状態になっているところに、いろんな意見を効率的に求めるためのメディアを持っていくということですね。ですからみなさんそれぞれいろんなことを言ってるんだけど、模型を持って行って話し合いをすると、だいたい言ってることは同じだったので、サクサクってすごくまとまっていきました。すごく意識が高い状態になっていて全員がそこの道がやばいっていうことを考えていて模型を持って行ったらすぐに。震災復興というのは意識が最高に高まった状態でスタートする。だから地図とか模型とか的確に持っていくことによって話がすーっとまとまる。
で、対する普通の街づくりが右側です。鶴岡でやったのは10年以上前なんですけども、今でこそ空き家ってすごく町の財産だみたいに思う人が増えてきたんですけど、当時は空き家なんて誰も振り向かない。上の写真は、お願いしまくって地元の町内会長さんに集まってきてもらってしゃべっているんですね。右下は、地元の人がひとりしかいなくてあと全部専門家のワークショップですね。どういうことかいうと、普通のまちづくりってやっぱり意識がほとんどないところから始めるんですね。だからまち歩きをやったりとかいろんな本を作って配布したりとか絵本を作ったりとか、ワークショップをやったりとか。一年とか二年とかやって意識を作って、なんとなくまちの人の顔が見え始めて、三年目ぐらいからじわじわとまとめていくというのが普通のまちづくりということです。 最初の意識みたいなものがあるかっていうところで全然違うということですね。
このまちの皆さんの意識感はちょっと分からないので何とも言えないんですけれど、震災復興ほどじゃないのは間違いない。道路できんの、知らんわ、みたいな感じですし、駅前の再開発はあの人たちでやってるんでしょうっていう感じですね。地震はね、もう全員体が揺さぶられるので一気に頭が動くんですね。目が覚めた感じになるんですけど、それが西荻の場合は普通のまちづくりに近いかなと思うので、意識形成みたいなことをじわじわやりつつ。
とは言え、道路ができたりビルが建ったりすると結構大きな変化がある。そういう急激な変化に意識が目覚めた人たちとどういう風に意見をすり合わせていくかということが大事なんじゃないかなっていうふうに思います。
あともう一つ。抽象的な図、ふたつの箱があって、右側の下から上に行ってる矢印が、現在から未来に向かう時間軸だと。で、将来的には納得と合意形成が欲しいということですよね。それに向かってこう話し合いを重ねていきましょうということ。 さきほどからワークショップの話をいろいろしていますけれども、よく誤解されているのは、ワークショップを四回やったからみんなが合意形成できるとか、ワークショップを10回やったからみんな納得したでしょう、とか、そういうことはない。これはすごく誤解されてるんですね。この図であえて分けてある左側の点線の枠のところがワークショップとか、路上にベンチなんか置いちゃう社会実験とあるんですけど、分けて書いているのは、やっぱり基本は「話し合い」ですよ、ということなんですね。
話し合いも普通の話し合い、普通の会議ですね。そういうところでじっくり話し合い(1対1のときや10人ぐらいまたは30人ぐらい、とあるかもしれません)、でもそれをしっかり重ねないといけないということです。それでワークショップとか社会実験は、その話し合いと話し合いの間にあるちょっと別の体験みたいなことですね。つまり普通に話をしているとやっぱり煮詰まっちゃったりとか声の大きい人しか発言できなかったりするので、ワークショップなどちがう場を作っているんです。それじゃあちょっと皆さん違う役割を演じてみましょうとか、あるいはちょっと違う目でまちを見回してみませんか、ということで模型を使ってみたりして、現実に対して仮想の世界みたいなのも効果的に入れていく。
また、仮想で話し合ったことを現実にフィードバックをしていくっていう、真ん中の両矢印ですけど、話し合いを基本としつつ、仮想でいろんなことをやっていって必ず全てを話し合いにフィードバックして、前に進んでいくっていうところがポイントなんですね。ワークショップとか、社会実験ってものすごく楽しい感じがしてもつい僕も頑張っちゃうんですけれども、話し合いをおろそかにするといつの間にか誰も納得していない、なんかワークショップやってだまされたような感じでみんな道路計画にサインしたなんてことになりかねないので、この二つの関係は意識をして組み立てて頂けるといいんじゃないかなと思います。
ということでワークショップの組み立て方みたいなところを二つほどスライドを使ってお話をさせて頂きました。
次は決定についての話をしようかと思いますが、こうやって積み重ねていって、どこかで決定をしないといけないわけですよね。西荻のこと研究所がその決定の主要なプレイヤーになるかというとそうではなくて、おそらく横からサポートする立場なんじゃないかと思います。決めるのは土地を持ってる人や商売をやっている人だと思うので、おそらくサポート的な立場があるんじゃないかというふうに思いますけれども、じゃあその決めるというのはどういうことを気をつけた方がいいかということはちょっと違うお話をしたいと思います。
今日のお客さんの奥村さんと一緒にやったプロジェクトなので、奥村さんはニヤニヤしながら聞いてていただければと思いますけども、世田谷の、まあ杉並も半分入ってますけども、明大前という駅があって、京王線の本線と井の頭線がぶつかる所にある駅なのですけれども、左側の地図は簡単ですが、緑の点線が京王線でこれが高架化、「連続立体交差事業」というのですが、高くなるという都市計画と、駅前に広場を作るという、図で言うと、オレンジ色の都市計画の事業と、赤線が道路を作りますという、組み合わせは違いますけども、西荻と同じようなことが起きているということなんですね。
僕たちもずいぶん前のことなんですけれども、最初にご相談いただいたときは、言葉を端折りますけれども、世田谷区の職員の方が、なんかこのまま決めるとまずい気がする、みたいな、漠然とした相談をされました。要は町の人たちがあんまりわかってない状態で決めてしまうというのはもしかしたら問題じゃないか、とか、そんな感じの相談をうけたのですね。ですので、二年間ぐらいちょっと時間を作ってですね、最初はまちづくり学校をやろうよということで、まちづくり学校を二年間やりました。
私と、もうひとかたの先生が交通の講座、みたいなことで2年間ぐらい地域の人たちに月にいっぺん、何らかの形で講義だったりワークショップだったり、まちの問題を深めていただくっていうことをやりました。さらにそれと並行して、地元にまちづくり懇談会みたいなものを立ち上げてですね、道路が来てめちゃくちゃ反対してる人とか、広場に土地を取られて途方にくれてる人とか、土地を取られそうになって途方にくれてる人がいらっしゃるので、そういう方々を交えて話し合いをする。でさらに、これが奥村さんたちの仕事だったのだけれども、一軒一軒の方を回ってですね、土地を持っている方、利害関係が厳しい方々、ひとりひとりからお話を聞くっていうこと、それを二年間ぐらいやった。僕も、世田谷のこの手の仕事ははじめてだったので、いろいろ勉強しながらやってたんですけども、すごくざっくりした最初の感想は、本当にみんなバラバラだなってことでした。 全員が違うことを言う。
同時並行でたまたま、大船渡の震災復興をしていたんです。震災復興は同じ方向に行くんですよね、頑張るぞみたいな感じで、意識が最初に揃ってる。もう、こういうところに行くと、全然バラバラなんですね。田舎に行くと町内会とかそういうのがちゃんと機能してて、町内会のボスみたいな人がもうこれで行こうよって言って決まることも結構あるんですけども、全く決まらないんですよ。
そういう人もいないし、そういうことを言ったら嫌われるみたいな感じのところもあるので、都会ってなかなか面白いっていうのか、やっぱ違うんだなって思いました。
とにかく丁寧に情報を出すとか、話をちゃんと伺っていって、まとめていく、ということをやっていくといいですね。それぞれの人がバラバラだったんですけれども、最終的にだんだんまとまってくるんですね。 ですが、一つにまとまらなくてですね、四つぐらいにまとまっていきました。
どうしても再開発したい人たち、どうしても止めたい人たちとかっていうふうに、それぞれが何か自分のイメージや理念みたいなものとご自身の財産の利害の組み合わせで態度が決まってくるので、それが四つか五つぐらいに分かれてくるみたいなことになってきました。
ここを二つ目に書いてますけど、利害関係者の利害がずいぶんはっきり、くっきりしてくる。さきほど意識を作らなきゃダメだという話をしましたけれども、二年ぐらいやると、だんだん利害がはっきりしてきます。
それでそれは、一つには絶対にまとまることはない。おそらくここ(西荻)も同じ状況だと思います。ひとつに絶対まとまらない。全員でひとつの計画案に行こうということにはならない。とは言え、二年間いろいろやったよねとか、あるいは、この計画は納得しないから、いつか自分ではこういう事をやろうとかいう感じで、大多数の納得はつくれる、ということなんですね。
右の写真は、納得を作り出すワークショップの、二年間やって最後ぐらいのワークショップなんですけれども、結局大開発をしたいという人と、今のままがいいというのと、ちょっとぐらいしてもいいんじゃないのっていう人たちに分かれたので、口で喋ってるだけだと、平行線になってしまうので、その話は別として、模型をちょっと使って、皆さん理想の街を作ってみましょうということで、派閥ごとにテーブル分かれてもらってですね、自分の理想とする街を作ってみました。で今度はそれを「ワールドカフェ」でわかりますかね、五つぐらい案ができたら五つのテーブルを作って、参加者半分に分かれてもらって、作った人が半分残って説明し、別の派の人たちがその机に回ってきて質疑応答する。ぐるぐる回していくと、一応お互いが考えている事が、模型を通じてわかるというような状態になっていくんですね。
この時は、その場で決はとらなかったんですね。でもなんとなく、あれは違うねっていう雰囲気が全体的に見えてきました。なんとなくあれは違うねっていうのを、このワークショップの場で僕が「ああこれでしたね」って言っちゃうと傷つくので、だから納得ができたかなっていうふうに見ながらこのワークショップの場を閉じました。
地域でも結局決められないんですね、地域に議会があるわけじゃないので。都市計画って地域に決定機能とか全くないんです。まちづくり協議会も、あの長い時間の中で、この中では 一つのグループなんです。なので最終的にはこの都市計画は、世田谷区が心を決め、東京都が決定権者だったりするので、東京都と一緒に都市計画として決めていくということをやっていきました。
ですから、納得ができてきたから、世田谷区も、課長さんたちは踏み出せたってことなので。 まあこんな感じで決めていくということにはなるんじゃないか。すごく誠実にやったらこういうことかなと思います。
タイトルが「決め時と決め方」って書きましたけども、皆さんがだいぶ納得したなーっていうのは、「決め時」ですよね。でそれはやっぱり二年ぐらいやって読み取らないとなかなか見えてこない。 で「決め方」っていうのはやっぱ、この辺のワークショップなどを積み重ねていって、なんとなく最後の形に収斂させていったわけで、そういう決め方のデザインもとても大事なことだと思ってるところでございます。
最後の仕上げですけれども、組織の話を少ししておこうと思います。まちづくり会社を作ろうという話を伺ってたので、地域の組織ってどういうのがあるのだろうって、20年くらい前に研究したことがあって、まあ、そんなにずれてないので、ちょっと思い出しながら持ってきました。
この丸に囲まれてるのが組織の類型、パターンだと思って下さい。ネットワーク的な組織もあるし、フォーラム的な組織もあるし、アリーナ的な組織もあるし、プラットフォーム的な組織もあるよねっていうふうに、読み替えていただければと思います。組織がどういう機能を果たすのかというのが、この左側に書いてあります。まあ、これがうまく揃わないとよい地域経営ができませんよ、みたいなことが申し上げたいことです。
下から説明して行くと、まず「ネットワーク的な組織」ってありますよね。それほど壁がないと言うか、ここからここまでがこの組織だというはっきりしていなくて、日常的に話し合いをしたり情報交換をしたりっていう関係。で、都市部だとこれが弱くてネットワークもなかったりするので、意識的に作らなきゃいけないんですけど、例えば今日zoomで聞いてらっしゃる方々、なんとなくこの街で起きてることは知っている。そこに発生するのがネットワーク。別にはっきりとした組織じゃないので、ネットワーク的なものがあります、っていうことだけを示しています。
それだけだと全然街が変わっていかないというか、まちを動かす力になっていかないので、組織化をしていく、存在感を作っていくということになるわけなんですけれども、そのちょっと進んだ版はですね、日常の関係よりは少し「論点を共有した状態」ですね。街の問題こんな感じとか、こういう事ちょっと話し合わなきゃいけないんじゃないか、というような、論点を共有する状態というタイプの組織というのがあります。
英語にしなくても別に良かったんですけれども、フォーラムって呼んでいました。で、おそらくなんですけど、西荻の皆さんが作ろうとしているのはフォーラムだと思います。要は反対とか賛成とかあんまり強く言わなくて、問題を共有しましょう。あとどんな事やらなきゃいけないかとか考えましょうって、いうそこで絶妙に止めてますよね。活動を抑制しているということですね。これもとても大事な活動だと思います。これができてないまちもたくさんあります。
でそれで、今日の悩み事はですね、そこからどう意思決定に関わって行くかっていうことですね。道路の意志決定であったり、駅前の再開発だったりということです。
ここで二つに分かれちゃうのですが、一つは、アリーナって言葉が……ローマ字ばっかり嫌なんですけども……これ、「公共事業に対する決定の場」。議会であったり、あんまり機能してないかもしれないけど、都市計画審議会とか、そういうやつですね。
で、例えば、まだまちづくり協議会というのがうまくできてないのであれば、まずまちづくり協議会というのを杉並区が作って、そこで決めましょうと決めたら、それがアリーナになります。 それで、フォーラムの人たちが、どんどん情報を出してって、ここで質の高い議論をしてもらえるとアリーナで物事が決定されていって、それが 一つは公共事業ですね、道路をどうするかっていうことに反映していくし、であるいは再開発事業みたいな官民連携の事業にも反映していくということになると思います。
一方でですね、プラットフォームっていうのがもう一つの類型としてはあってですね、これどういうものかって言うと、行政の議会のような決定の仕方をしなくて、自分たちでやることをここで決定していくというタイプの決定の場です。……分かりにくい事、言っちゃいましたね。
例えば杉並区議会ってありますよね。議会っていうのはアリーナ型の組織で、議員たちはいろんなことを決めますけれども、自分でやりませんよね。掃除を月に三回しようとかいうことにしたけれど、自分たちが掃除をするわけじゃない。それがこのアリーナ的な決定です。代表だから決めるってことですね。
プラットフォームというのは、駅前にビルを作ろうっていうふうに、自分の建物ビルにしようとか自分の店はこういう感じにしようという、自分がやることを決定して行くわけです。で、それは一人でやることもあるんですけれども、お互い顔を見合わせてですね、中島さんとこのビルどうするの?自分のところはこう考えてるんだけどとか、あるいは国重さんの会社はどうしていくのみたいなことをやっていってですね、お互いのやりたい事を読み取りながら、自分の決定をしていくという決定の場があるわけですよね。
でもこれも、よくできていないことが、結構あったりするので、こういうものができてくるといいんじゃないかなというふうに思っております。これを下支えにしていろんなものが決定されているっていうことかなぁと思っています。
ですから、どうやって組織を組んでいこうかなぁって時の、ひとつのチャートみたいなものだと理解してください。
なにかアリーナ的なのが要るよね、というふうに話に使って頂けると、とても僕としては嬉しいです。
「組みたい人が簡単に仕組めるのがよい地域」というふうに書いておきました。
今回は、道路と駅前の開発みたいなところに、少し集中してこういう体制を組んでいる(こと研の事)ということだと思うんですけれど、それが終わった後のことをいつも考えていてですね。それが終わっても、この街にはさまざまな問題が降りかかる可能性もあるんですね。
地震が来ちゃったとか、あるいはすごく品の悪いデベロッパーが、すごいビル建てちゃったっていうことがあると思うので、だから、こういうものを一回作ってしまうと、次に問題がきた時に、すぐにフォーラムが立ち上がり、すぐにアリーナが立ち上って、いろんなことを言うことができる、というふうになっているといいなと思っているので、作ったものがちょっと崩れすぎないような感じでずっと維持されていくことも、とても大事なんじゃないかなと思っているところです。
はい、ということでだいたい30分経ちました。情報量が多すぎて早口だったので申し訳ない気持ちでいっぱいですけども、まあ後ほど少し細かく議論していければいいな思っております。
はい、どうもご清聴ありがとうございました。
(第3回に続く)