2025年1月13日

西荻のこと研究所 メールマガジン88号 (2024.12.14)

投稿者: nishiogiorg

トークイベント
「自治体まちづくりの仕事」

報告

著書『失敗に学ぶ 自治体まちづくりの仕事』

鳥山千尋さんは長年杉並区で行政職員としてまちづくりを行ってきた方です。本書には鳥山さんが現場で学んできたこと(工夫、心構え、熱意)が事例を交えて記されており、普段知ることの出来ない行政の実態を知ることが出来ます。市民と行政の協働の場において、まちづくりを行う行政職員(まちづくり職員)がどのような仕事をしているのか、それを踏まえて私たちにできることはどんなことなのでしょうか。そこに焦点をあて、ここでは本のまとめを行ってみようと思います。

まず、鳥山さんはまちづくり職員の仕事を難しく、そして魅力的にするのは、「現場における総合的な解決」が求められることだと言います。「総合的な」というのがどういうことかを示したのが以下の図です。

以上のような図の中で全てを繋ぎ、ゴールまで誘導するのがまちづくり職員の仕事というわけです。そして、地域の特性に合わせて上記の関係性と制度・事業・資源を組み合わせていく必要があるのです。

本書において、現在西荻窪で起きているデザイン会議に重なる部分を持つ箇所を挙げるならば、第1章の「参加・協働の場で立ちすくむ」です。そこではある「揉めた」説明会で急遽助っ人として駆り出されたは良いものの説明会の内容が共有されておらず反省した話や、オープンな説明会で必要なものが根性論ではなく運営原則、傍聴原則など関連するルールの勘所を職員たちと共有することなどが挙げられています。また、日産自動車荻窪事業所をオープンスペース(現・桃井原っぱ公園のこと!)にする際に、一人の市民の発言が行政に対して理解をしようとする場の雰囲気へと一変させたことも挙げられていました。

このように、まちづくり職員は現場で学んでいく必要があるし、市民も全てのプレイヤーとつながりを持つまちづくり職員と連携していく必要があるのです。そして、まちづくりは現場により一つ一つ異なるため、西荻窪のまちづくりにおいても職員も市民も一から共に学んでいく必要があるのだなと感じました。

以上は本の一部の紹介ですが、全体を通して鳥山さんが行政職員に求められることとして挙げていたのは「地域の専門家になること」と、「まちづくりの現場に赴くこと」のふたつであるように感じます。本書を読むことで、以上の図で示したそれぞれの関係性に関して鳥山さんの具体的な学びを知ることが出来るので、気になる方は是非読んでみてください。

トークイベントの感想

11月20日の水曜日にトークイベント「『自治体まちづくりの仕事』元杉並区まちづくり担当部長 鳥山千尋さんを迎えて」を開催しました。当日はこと研メンバー含め40名が参加し、私は大学院生として座談会の質問者を務めさせていただきました。当日は(1)鳥山さんの講演(2)座談会(3)質疑応答の三部構成であり、イベント後は懇談会も行われました。

イベント内では、まちづくりにおける行政とコンサルタントの役割や、住民との関わり方についての考えが本を踏まえて改めて話し合われました。鳥山さんが居た頃と現在の杉並区では状況が違うため話し合いが難しい箇所もありましたが、鳥山さんが以下のように述べていたことが印象的でした。

「まちとの関わりの中の、1つの手掛かりになればっていうのは私の希望ですから。必ずしも1つにまとめようとかいうんじゃなくて、本当に始まりだっていう風に捉えて受け止めていただければ結構だと思うんですね。それぞれやり方の個性もあるでしょうし。ただ、本質的なことっていうの、やっぱり基本的に関連の人たちと真摯にじっくり話し合うことね。地区のまちづくりなんかでは特に大切なことだと思いますので、それの一助になればということですね。」

状況も人も違うからこそ、一つ一つ手探りで進まなければならないのは今の西荻窪にも当てはまります。だからこそ、真摯に話し合うことが重要なんだと改めて自覚しました。

また、今回のイベントでもう一つ見えてきたことは、現在のまち(例えば桃井原っぱ公園など)を作ってきた鳥山さんをはじめとするまちづくり職員の努力から恩恵を得ているということです。作られた後は徐々に記憶が薄れていくものですが、当然のように利用している場所がどのような経緯で出来上がったのか、そういったことを思い返す良い機会となりました。ふと、黒澤明の「生きる」を思い出しましたが、デザイン会議がこれまで杉並区が整備して出来上がったまちを良い意味でも振り返る機会にもなるのではないでしょうか。そういった努力の記憶を一部の人の胸にしまうのではなく、皆で共有することが出来たら良いと思います。

また、個人的な話ですが、鳥山さんが挨拶をするときに「本当にこういうことができるっていうのは素晴らしいことだと思って。……色々役所で声かかったり、大学でちょっと話してくれたっていうのはあるんですけれど、こういうのはあんまりないので、本当に敬服しております。」と仰っていたことを思い出して、鳥山さん、参加者、こと研の三者にとって良いイベントだったなと勝手に嬉しくなりました。


杉並区総合計画」等の一部修正案について
ご意見をお寄せください

杉並区では「杉並区総合計画」等の一部修正案についての意見募集をしています。

以下 杉並区HPより(元リンク切れ)

基本構想が目指すまちの姿「みどり豊かな 住まいのみやこ」を実現するための具体的な道筋である「杉並区総合計画」「杉並区実行計画」「杉並区区政経営改革推進計画」「杉並区協働推進計画」「杉並区デジタル化推進計画」「杉並区区立施設マネジメント計画」は3年ごとの改定に加え、必要に応じて年度ごとに修正を行うこととしています。

今年度は今後の施策の方向性や基本的な考え方を示す新たな基本方針の策定などを予定しているため、これに伴って必要となる修正や、昨年度の改定時には想定できなかった状況の変化に対応するための修正を行います。各計画の修正案をまとめましたので、皆さんのご意見を伺います。

意見の提出期限は 12月3日(火曜日)から7年1月6日(月曜日)まで。
詳細は、上記のリンクのページに設置された、それぞれの計画のPDFや、全戸配布された「広報すぎなみ」12月5日臨時号をチェックのこと。

新たな自転車ネットワーク路線案に関する
意見を募集します

杉並区では「自転車ネットワーク路線」をさらに整備すべく、意見募集をしています。

詳細はこちらのページです。(元リンク切れ)

これまであった「自転車ネットワーク路線」を再構築した案が掲載されています。

意見はアンケートフォームから出すことができます。

提出期限2024年12月20日
アンケートフォームは以下(リンク切れ)


杉並建築会大会
住民が担い手になった
杉並のまちづくり・公共施設づくりから学ぶ
第4回

日時:2025年1月11日土曜 14:30〜18:00
会場:阿佐ヶ谷地域区民センター
料金:500円

パネリスト
岸本聡子
讃岐亮
比嘉武彦
村上美奈子・石井祐樹・林美樹(杉並建築会)
モデレーター
豊川士朗


杉並には過去に住民が担い手になった、先進的なまちづくりや施設づくりがありました。どれも魅力のある現在を生きている「場」です。それがどのようなプロセスを経てできてきたかについては、これまで評価のないまま今日に至ります。

杉並建築会ではこの一年いくつかの事例について、それら事柄を紐解いてまいりました。どれも学びの多い市民と行政や専門家たちの実践を垣間見ることができました。

今回はこれまでの三回を踏まえつつ、岸本区長にもご登壇頂きながら、今後に活かせるヒントを探っていこうという会です。ご参加お待ちしております。

(こと研/杉並建築会 石井祐樹)


いつでもできます
ニシオギ大調査

  「西荻のこと研究所」で実施している「ニシオギ大調査」は、当初はイベント開催でしたが、現在では恒常的にできるようになっています。コースはAコースとBコースの2種類。
スタート地点から歩きながら、チェックポイントにてスマホで入力フォームにアクセス。それを繰り返すだけの簡単調査です。
コースガイドは「西荻のことカフェ」はじめ、西荻のいろんなお店のチラシラックなどにありますので探してみてください。こちらからPDFのダウンロードも可能です。


NEW!! 読みやすい杉並区議会議事録
内容をアップデートしました

杉並区議会・委員会の議事録より、「都市計画道路補助132号線」に関するやり取りの部分だけを抜粋した、読みやすい縦書きPDFを以前から公開しておりましたが、このたびバージョンアップしました。

収録の期間がぐぐっと増えて、

平成30年9月〜令和4年5月

となります。

令和4年5月を区切りとしているのは、令和4年6月19日に杉並区長選挙があり、ここで区長が交代しているためです。区長交代後の議事録も現在作業中。
どんなやりとりが行われてきたのか、ぜひチェックを。

以下よりダウンロードしてください。

https://nishiogi.org/wp-content/uploads/2024/09/240922gijiroku132_01.pdf


大好評発売中!!!
「ニシオギ空想新聞Vol.2」

(全16ページ/フルカラー)
発行日 2023年3月15日
販売価格 330円(税込)

西荻の道路や開発のことを扱った「ニシオギ空想新聞2」。ぜひ多くの方に読んでいただいて、西荻の人自身で西荻のことを考える機運となればと願っています。

販売店(5/31現在・順不同)
西荻のことカフェ/信愛書店/古書音羽館/村田商會/カフェインザラフ/暮らしのいろいろ ていねいに、/三つ枝商店/インド料理ガネーシャガル/カフェカワセミピプレット/今野書店/Loupe/Dawner/やきとり戎/アトリエハコ/サロン+アトリエポルカ/Title/BREWBOOKS/ランチハウス/数寄和


目次:
◯抄録 ことビルオープニングトーク 「西荻のこと、まちのこと、これからのこと」     饗庭伸・中島直人
◯報告 ニシオギ大調査     コース紹介・参加方法・分析座談会
◯分析 さとことブレスト
◯インタビュー 都市計画道路担当課長・星野剛志さん
◯4つの疑問と6つの提案
◯インタビュー 西荻の人に聞きました2
やきとり戎/JR西荻窪駅/関東バス株式会社     信愛書店/あなたの公差転/杉並区長/中野書店     区議会議員(1)/区議会議員(2)
◯ニシオギ空想新聞図書室


お問い合わせメール
info@nishiogi.org

なお、3年前の2020年1月に西荻案内所から発売されたVol.1はこちらから無料でダウンロードできます。そちらも合わせてぜひチェックを。


西荻シネマ準備室の貸出について

西荻シネマ準備室は、西荻窪からなくなって久しい「映画館」の復活を目標に、その実現に向けての調査研究・準備をするために設けられたスペースです!……が、ふだんは多目的スペースとして以下のようなご利用が可能です。

展示会○販売会○新製品発表会○ワークショップ会場○トークイベント会場○ミーティング・会議○撮影スタジオ○習い事○読書会○学習会○お教室○記者会見○オンライン配信会場 などなど

1時間2,200円 または1日22,000円(9-21時)


ご利用のお問い合わせ kabu@nishiogi.org

西荻のこと研究所
メルマガアンケート

メルマガ読者の皆様からの叱咤激励をいただきたく、アンケートを作ってみました。何度でも構いませんので、新しいご意見を思いつきましたら、ぜひ投稿してください
アンケートはこちらから

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西荻窪の未来を考える会議 議事録

2020年7月17日と11月20日、西荻北銀座商友会の樋代会長と、杉並区の道路と都市計画と商店街関係部署(都市整備部土木計画課・市街地整備課・産業振興センター)の担当者と、西荻のこと研究所メンバーで会合を持ちました。その際の議事録をHPにアップしました。
この「西荻窪の未来を考える会議」は、将来的には西荻窪エリアに住む住民にもっと開かれたまちづくり会合の場を実現するべく、その準備として行っています。

西荻窪の未来を考える会議第1回

西荻窪の未来を考える会議第2回


研究所員をいっしょにやりませんか?
参加希望の方、まずはメールをお送りください。
info@nishiogi.org


西荻のこと研究所 メールマガジン配信
次号 2024年12月19日(木) 予定


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