2021年3月10日

西荻のこと研究所 メールマガジン 18号 (2021.2.13)

投稿者: nishiogiorg

西荻のこと研究所の1年

西荻のこと研究所では、活動費の一部に杉並区のまちづくり助成制度(びぎなーコース3万円)を活用しています。年度も終わりに近づいたので、活動実績報告書を提出してくださいと、杉並区でまちづくり団体など市民活動のサポートをする所管である都市整備部管理課から連絡が来ました。

この1年間の活動内容をまとめた紙面の提出をするために、ひとまず過去のメールやslack(チームコミュニケーションツール)でのやりとりをたどっていくと、なかなかのボリュームに。この機会に、この場を借りて1年の活動を振り返ります。

西荻の未来像を空想する公募企画「ニシオギ空想計画」(2019年6月と11月)を実施したメンバーや、その賛同者を中心に、西荻のこと研究所の前身となる「西荻まちづくり勉強会」がスタートしたのが2019年12月末。「ニシオギ空想計画」では駅南口をどうするかという話題が中心となりましたが、「ニシオギ空想新聞」発行(2020年1月末)のころから、事業認可が迫っている北銀座通りの拡幅計画(都市計画道路補助132号線)が議題の中心になり、数度のミーティングを重ねました。そこでまず、私たちが今後の活動の指針としていくためも「住民アンケート」を取り、沿道関係者の実際の声を集めていこう、ということになりました。今後は個人情報を取り扱うことにもなるので、団体としてしっかり形を整えておく必要性があると感じ、現在のメンバーでの「西荻のこと研究所」がスタートしました。

ミーティングは、2月以降のコロナ禍の中においても続けられ、当初は慣れなかったzoom(オンライン会議サービス)も活用しながら、現在に至るまで、毎週水曜日にほぼ休まずやっています。

アンケートを集める一方で、情報発信の必要性も感じ、4月末からは本メールマガジンをスタート。こちらは月2回の配信です。また、下北沢や麻布十番のまちづくり事例の取材・視察や、近隣の事例(井荻まちラボや善福寺川を里川にカエル会)についてのお話を聞く会を開催。善福蛙さんとは9月にまち歩きのワークショップも開催しました。

9月のWS。雨なので水の流れがよくわかる、と参加者。

9月にはアンケート結果を冊子化し、沿道の方に配布。10月31日と11月1日には、北銀座通りの貸スペース・ヒューマンプラザ千代野にて、展示企画「北銀座通り拡幅計画の自由研究発表会」を開催。多くの方に展示を見ていただき、さまざまな意見をいただきました。

「北銀座通り拡幅計画の自由研究発表会」

また、7月と11月には、西荻北銀座商友会との合同で、杉並区都市整備部土木計画課(都市計画道路の担当)、同市街地整備課(駅前整備とまちづくりの担当)、杉並区産業振興センター商業係(商店街担当)の職員を交えた「西荻の未来を考える会議」を開催しています。現在休止していますが、どのようなかたちで継続ができるのか調整しています。

来年度もひきつづき、メルマガでの情報発信、オンラインもありのトーク企画やワークショップの開催、好評だった展示の第2弾などを実施していきながら、さまざまな可能性を探っていきたいと考えています。

参加してみたいという方、ぜひご連絡下さい。

  (奥秋圭/西荻案内所)


キッチンカー「ムシカ号」
コロナに明け暮れた2020年、
そして2021年は……

2020年1月、日本国内で初めてのコロナ患者が確認されて、
4月の緊急事態宣言発令、そして年末までコロナに明け暮れる日々が続いた。

それでも年末になるとなんとなく一区切り~という気になり、
『きっと年が明ければコロナも収まり~~』
な~んて、新年に向け新たな希望と願いを込めた願かけは、
新年早々二回目の緊急事態宣言によってへし折られた。

キッチンカーの出店も、緊急事態宣言に伴う外出自粛で中止となり、
出番が無いままの週に一度、エンジンをかけるだけの状態。

寂しそうな〈ムシカ号〉……
いけない!このままではいけない!営業しなければ!企画書を書いて営業するんだ!
と気持ちばかり焦り、行動が伴わない……いつもの『怠け癖』が顔を出す。

そんな時、羽根木(世田谷区)でのお話をいただいて、
本日 さっそく現場を見に行って来た。

『羽根木食堂』と名付けられたその場所は、
平日の11時~14時に日替わりでキッチンカーが出店し、
周辺オフィスに務める方々のランチを彩っている。
都心とは思えない緑豊かな一角で、とてもステキな場所。

そこで  2月18日(木)ピンチヒッターで出店させてもらえる事になった!
評判良ければ3月から仲間に入れてもらえるかも❣️

羽根木1丁目のおいしいパン屋さん「ブーランジェリーカドー」の隣のスペースに出店します。
11時〜14時 雨天中止

皆様のお越しをお待ちしております ❤︎

またご報告します。

(ガネーシャガル・松岡美由起)


世界の自転車まちづくりの先進事例

諸外国では、90年代から自転車政策として、計画が策定されてきました。
以前このメルマガでご紹介したオランダが一番早く1990年、オーストラリアが1993年、アメリカは1994年と続きます。
 
さて、日本で策定されたのはいつなのでしょうか?
 
日本で自転車活用推進計画が策定されたのは、2018年のことでした。そこで、後発は後発なりに、スタートが早かった諸外国の、この20年ほど経験をぜひ参考にしてみよう!ということで、今回はニューヨークを参考にしてみたいと思います。

■ニューヨーク市の自転車事情
ニューヨークで自転車に関心が寄せられるようになったのは、90年代に入ってからのことでした。主な取り組みを簡単にまとめてご紹介します。
 
・自転車レーンの整備-反発と住民参加の末に-
ニューヨークでは、1,000マイル(1,609km)を超える自転車の走行空間が整備されています。しかし、2007年までは、整備に連続性がなかったため無駄に見える空間でした。そこで「廃止」とならなかったのが素晴らしいところで、その後、交差点の安全確保や、空間特性を考慮し、自転車道、自転車専用レーン、共用レーンの整備がされました。
 このときニューヨーク市は、徹底した住民参加で、自転車走行空間を拡張しました。一部の市民やメディアは、この自転車レーンの整備に激しく反発し、争いは何年も続いたのですが、住民と意見交換を繰り返し、住民参加で得られた提案を積極的に生かした計画が功を奏し、政策は支持され、自転車レーン同士をつなぐことができ、いまの自転車ネットワークができました。
 
まちをよく知るメインユーザーである住民が自分事として、計画づくりに参加する機会があったことで、結果的に都市整備がうまく進められたというこの話は、大変興味深いものがあります。

・駐輪スペースの配置
ニューヨーク市総合計画にある「15,000個の駐輪ラック設置」を実現させるため、設置ペースは2013年から急加速します。設置場所は、需要の多いところに重点的に配置するとともに、まち中に分散型で配置しています。屋根付きであったり、歩道を拡張したり、場所や需要に応じたスタイルの駐輪場ができ、自転車と公共交通機関を併用した移動ができるよう、電車やバスへのアクセスも配慮されました。
City Rackプログラムという、駐輪ラックを設置するプログラムを実施したり、建物内への自転車の持ち込みにルールを設けたりと、様々な工夫がされています。
 
・自転車教育と広報活動
自転車空間の整備が取り組みの中心でしたが、2010年以降、注力されてきたのが自転車教育です。写真のポストカードのほかに、法律も記載した自転車マップを作成し、毎年37万5千部ほど無料配布しています。(ニューヨーク市運輸局 自転車マップ )
まちの情報のマッピングは、西荻でも素晴らしい取り組みがされていますが、交通に関する情報も、よりカジュアルにわかりやすく発信できるといいですよね。

この写真のポストカードに記載されているのは、この4つの法律のことです。ほかにも決まりはあるのですが、わかりやすさ優先でイラスト化されています。

  • 赤信号と止まれの標識で、必ず止まること
  • 逆走しない
  • 白いヘッドライトと、赤いテールライトをつけること
  • 歩行者優先

また、ニューヨークではBIKE NEW YORKなどで無料の自転車教育プログラムを受けることもでき、いまは、オンラインの講座もあるようです。日本でも、都市やまちごとに、このようなプログラムがあれば、減らせる交通事故や、減らせる歩行者と自転車のトラブル未満の「危ないこと」があるのではないでしょうか。  
自転車教育について調べてみて、2020年秋の西荻のこと研究所による展示で、来場者の方にうかがったご意見の中に「自転車は危ない。もっとルールを教えないと!!」というご意見があったことを思い出しました。
日本でもヘッドライトは義務として広く知られていますが、テールライトをつけている人は少ないですよね。ヘッドライトの位置に赤いライトをつけてしまっている人も見かけます。ヘッドライトの色や明るさに決まりがあることも、あまり知られていないのかもしれません。
さらに、ヘルメットの情報や、自転車保険加入の義務化など、まだまだ広く知られていない自転車のルールがたくさんあるので、このような教室があれば、面倒かもしれませんが「命を守る」ことにつながります。

・シェアサイクルの普及
自転車の所有率が26%と低く、自動車ユーザーが多いニューヨーク市ですが、今では80万人のサイクリストが、サイクリングを楽しんでいるといわれています。その需要を支えているのは、空間整備のほかに、シェアサイクルの普及があります。ドッグレス、ポートレスと呼ばれる、貸出場所と返却場所が決まっていない方式も導入され、電動キックボードと合わせて人気が高いサービスです。

前回のメルマガで社会実験のお知らせを掲載しましたが、西荻のまちに合ったシェアサイクルがあるように思いました。重量のあるいわゆる電動ママチャリは、乗っている人も、すれ違う歩行者も、どこか安全面に不安を抱いていると思うので、駅やお買い物、送り迎えの拠点からのアクセスについて、住民の意見や、使えるデータをフル活用し、よく検討すると利便性や安全性が向上しますね。

■おわりに
 ニューヨークは大都市なので、空間整備の規模はそのまま西荻のまちの参考にすることは難しいと思われたかもしれません。しかし、自動車との関係をうまく配置できなければ安全性が損なわれること、道路の使い方に対して、様々な意見が対立して存在していたこと、駐輪スペースが足りなくならないような工夫、自転車教育のプログラムがとても充実していることなど、細かく見ていくと参考になりそうなことがいくつもありました。
 せっかく、後発なのだから、先人の知恵と経験から学び、これからのまちづくりに活かしていきたいですね。

(国重安沙)

—参考—
・New York City Department of Transportation(NYC DOT/ニューヨーク市運輸局):
https://www1.nyc.gov/html/dot/html/bicyclists/biketips.shtml
・BIKE NEW YORK:https://www.bike.nyc/education/classes/
・進化する自転車まちづくり/古倉宗治/大成出版社
・ストリートファイト 人間の街路を取り戻したニューヨーク市交通局長の闘い/ジャネット・サディク=カーン、セス・ソロモノウ/学芸出版社
・a+u  建築と都市/2021年1月号


日本建築家協会 杉並地域会
「杉並土曜学校」のご案内
(終了)

「杉並土曜学校」では10年以上にわたり、杉並の課題を地域の建築家と共に学び考えてきました。(https://www.jia-kanto.org/suginami/doyou_gakkou/index.html
西荻地域でも駅の開業100年を目前に、まちの更新が課題になっています。
これからのコロナ時代、まちのあり方、暮らしのあり方を多くの方と考える機会が必要だと考えこの会を企画しました。

ご参加お待ちしております。

杉並withコロナ時代のまち・いえ 第二回
「変わるいえ」家はスタジオ/地域とつながる小さな情報基地
2021年2月20日(土)15:00〜17:0 オンライン開催@Zoom

※Zoom開催となります。URLは前日にご連絡いたします。

  (J I A杉並地域会 代表 石井祐樹・西荻のこと研究所メンバー)


杉並区が区政モニターを募集

杉並区が区政モニターを募集しています(200名・国籍問わずで18歳以上、区内在住で日本語ができることが条件。地方公共団体職員と議員はNGです)。「区政モニター」制度は、区民の声を区政に生かすため、その時々の行政課題をテーマとしたアンケート調査へのご協力や、区政全般について、ご意見やご提案をいただくものです。
アンケートへの回答や、区政への意見・提案、区政モニター向け講演会への参加など。
  詳細および申込みフォームはこちら。
https://www.city.suginami.tokyo.jp/news/r0301/1062745.html
締切は2月28日です。


西荻のこと研究所
メルマガアンケート

メルマガ読者の皆様からの叱咤激励をいただきたく、アンケートを作ってみました。何度でも構いませんので、新しいご意見を思いつきましたら、ぜひ投稿してください
アンケートはこちらから

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読みやすい杉並区議会議事録

平成30年9月から令和2年6月までの杉並区議会より、都市計画道路補助132号線に関するやり取りの部分だけを抜粋したPDFを作成しました。
どんなやりとりが行われているのか、ぜひチェックを。
読みやすいように縦書きでレイアウトしてみました。

以下よりダウンロードしてください。
https://nishiogi.org/wp-content/uploads/2020/08/gijiroku132.pdf


西荻窪の未来を考える会 議事録

2020年7月17日と11月20日、西荻北銀座商友会の樋代会長と、杉並区の道路と都市計画と商店街関係部署(都市整備部土木計画課・市街地整備課・産業振興センター)の担当者と、西荻のこと研究所メンバーで会合を持ちました。その際の議事録をHPにアップしました。
この「西荻窪の未来を考える会」は、将来的には西荻窪エリアに住む住民にもっと開かれたまちづくり会合の場を実現するべく、その準備として行っています。

西荻窪の未来を考える会議第1回

西荻窪の未来を考える会議第2回


本メールマガジンに掲載したアンケートと座談会を収録した冊子ができました。300部限定で配布をしていますので、必要な方は西荻のこと研究所までご連絡ください。

研究所員をいっしょにやりませんか?
参加希望の方、まずはメールをお送りください。
info@nishiogi.org


西荻のこと研究所 メールマガジン配信
次号 2021年2月25日(木
)予定


西荻のこと研究所では、みなさんが気になっていることなどを取り上げてまいります。感想やご意見、取り上げてほしいことや疑問質問などお寄せください。また、「西荻のこと」についての投稿などもお待ちしています!

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