西荻のこと研究所 メールマガジン 17号 (2021.1.29)
東京大学建築学部3年生
課題発表会報告
東京大学建築学科の3年生による、西荻窪駅南口をテーマにした発表会「とびきり居心地よい駅前のかたち」が、1月27日にオンラインで行われました。この発表会は西荻窪駅南口のいわゆる三角地帯を舞台に、学生たちが駅前の未来を考えるものです。
都市的な視点を持った課題に瑞々しい感性で応える学生たちの作品は、どれも大変に素晴らしいものでした。それぞれに考えられた西荻の魅力の掘り起こし、課題点の見出しは、ニシオギ住人としても大変に腑に落ちる深い考察に基づくものです。改めて気づかされることも多々ありました。何より各々作品のアイディアが秀逸で、そう来たか!と驚きの連続でした。
ひとはどうも集まって住むという傾向を持つようで、それが遺伝的な傾向か文化的な戦略かは分かりませんが、有史以来、都市化の傾向はずっと続いています。そのような中、まちは絶えず移り変わり、その時々の問題を顕在化し乗り越えていくというサイクルを歩んできました。
先日こと研でカラキヤの塩入さんにお話しをしていただいた、「ちょっと昔の西荻のこと」でも、ここ3、40年で西荻も大きく変化していることが実感できました。しかし、変わっている一方で、変わっていない「にしおぎ」というものの存在も同時に確信するのです。1人の人間が、細胞を入れ替えながら成長し、それでも「そのひと」としてあることは変わらないことにどこか似ているように思います。その辺りにリスト化されない固有名の「にしおぎ」の個性があるのだと思われます。
まちのあり様はそこに暮らす人たち自体のあり方が変わっていくことと否応なく呼応します。ライフスタイルや家族観のあり方、社会集団の様相と条件はキリがありません。確かなことは、それらは個人としての「その人」と地続きで関係し合っていることです。僕らのまちが将来少しでも良くなる様にとの想いで始まった「ニシオギ空想計画」が形や表れを変えながら今回の発表会として、あるいは学業の課題として取り上げられたことは本当に嬉しいことでした。
発表の具体的な内容などは、また折を見て紹介したいと思っています。
この様な想いを汲んでいただいた岡部先生はじめ東京大学の皆さまに心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。
(石井祐樹)
11月 西荻地域区民センターにおいて行われた
道路説明会に参加してきました
2020年11月、杉並区が西荻地域区民センターで行った補助132号線の道路用地説明会に参加してきました。本来は事業認可後すぐに実施する予定だったものが、新型コロナウイルス感染拡大防止のために開催延期をしていたものです。
平日の夜の時間帯だったこともあり、全体をみまわしても参加住民の数はまばらで6、7人程度でした。
壇上に行政担当が並び、式次第の説明と「今日は人数が少ないのでたっぷりと質疑応答の時間もとれそうです」というような挨拶がなされていました。
資料に沿って一通りの説明が終わり、質疑応答の時間に。
「質問は一人一問とさせていただきます」という前置きで質疑が始まりました。
参加人数は少ないといえども、やはり関心のある方が集まっているだけあって、対象地で商売をされていて、工事進行に伴う商売への影響に対する不安等を話す方や、現状の進め方への疑問を投げかける方がいました。
もしかして、行政が想定していた「一人一問」とは……
「補償はしてくれますか?」
「はい。事業内容ごとに専門家が査定して事業補償金額を決定します」
「わかりました」
……のようなもの想像していたのか、住民から投げかけられる一問に対してはあくまでも一答。
それを超えての問いかけに対して司会担当が、「一人一問でお願いします」と遮る場面が何度か見られました。
AIなどが答えるQ&Aではないので、およそ人と人が話をする場合は、当たり前だが、言葉のキャッチボールが生まれるものです。
先ほどの例でいうと
「補償してくれますか?」
「はい。事業内容ごとに〇〇△△~~」
「それは、業種による違いですかそれとも……」
……という形で、言葉のやり取りの中で、漠然としている大きな塊の疑問や不安を言葉のキャッチボールという「対話」を通してブレイクダウンしていき、ようやく「本質的な質問」が出てくる。
そしてそれに対する「答え」は、答弁リストを準備できる範囲を超え、お互いのスタンスを理解していった過程を経て、出てくるものではないかと思います。
そもそも何のための説明会で何のための質疑応答なのか。
説明会や質問を開く行政の目的は何なのだろうか?
「説明会も質問会もちゃんと行いました」
というプロセスリストに完了マークを入れるための「作業」なのか? その先の「合意形成を得る」ためなのか? もし前者であるならば、そもそも説明会の存在自体を冒涜するものであるし、もし後者であるならば、今一度その方法について見直す必要があるのではと感じました。
例えば、行政が行った住民への「説明会」が十分な効果を発揮した例としては、コロナ禍における台湾政府のオープンガバメントモデルが挙げられます。
2020年初頭から世界の至るところで発生したコロナパンデミック。
台湾は、不足したマスクの配給システムを短期間で作り上げ混乱を抑えたことで知られていますが、これは官民共同で成しえたことです。またそれと合わせて、先が見えない状況の不安で国民がパニックにならないよう、毎日同じ時間に記者会見を開き、行政が持っている情報を開示。記者会見ではすべての記者が何度でも何時間でも、聞くことがなくなるまで質問ができるようにしたのです。
その細やかな対応からでてくる情報を、メディアや行政が発信することにより、国民の不安や不信感の増殖を防ぐことができ、信頼を得ることができたそうです。
昨年からのコロナ禍で、度重なる緊急事態宣言が出されるなど、大企業ですら苦戦を強いられる状況が続く中、小規模事業者にとっては道路問題以前に先行きには不安が募るばかりなのではないでしょうか。
そんな状況下で、貴重な税金を使い行政が力を入れるべきところが道路の拡幅のための「補償」なのか、少なくとも「今」の状況に沿った「答え」を住民と行政が一緒に探していけるような形が望ましいのではないかと感じました。
先の台湾の開かれた政府の立役者であるオードリー・タンさんは、異なる立場の人が、互いに共感し、同じテーブルについて議論し、協力できるようにすることが大切であると言っています。
そのような形の協業は、ここ西荻でもできないことはないのではないか。そんな気持ちが捨てきれません。
(松本弘子)
西荻ゴミゼロ大作戦!はじまりますよ
善福寺川沿いのカフェ・カワセミピプレットさんが仕掛ける2月からのイベントをご紹介。
その名も「西荻ゴミゼロ大作戦!」
いいですね〜!夢はでっかく、でもやることは自分から周りのちょっとしたことから。ただただなくなるまで資源を消費し続ける生活から循環型の生活へ向かうための知恵をシェアするイベントが盛りだくさんです。どんなイベントが開催されるの?とチラシからざっくりご紹介。詳しくはサイトをご覧下さいね。
https://pipelettes.official.ec/
・杉並産の貴重な蜜蝋でつくるエコラップのワークショップ
・世界の食糧危機についてのセミナー
・海岸漂着ゴミについてのセミナー&ゴミ拾いワークショップ
・マイクロプラスチック汚染についてのセミナー
・プラスチックフリー、地域からできることを考えるセミナー
・『マイクロプラスチック・ストーリー ぼくらが作る2050年』映画配信
・LFCコンポスト ワークショップ
・循環型コミュニティを考えるセミナー
内容の濃いこちらのイベントに加えて、商店街のお店で容器包装フリーに協力してくれるお店を募る試み。協力店はこのチラシに店名を書き込み、お店に掲示するだけというシンプルなやり方です。そういえば、ニシオギ空想計画でも『NISHIOGI Tappa プロジェクト』という案がよせられていましたね。
西荻窪には容器持ち込みに対応してくれるお店、たくさんあります。それをまたみんなにわかりやすく、可視化していけたら少しずつムダな容器包装が減らせそう。お店でテイクアウトするときには使い捨て容器がとっても便利なのですが、あれって結構コストもかかっているんですよね。余裕を持ってお店にテイクアウトを頼めるときは、タッパーやお皿持ち込みなどを相談してみるといいですね。ただし衛生面や安全性など、店側の配慮で対応できないこともあると心づもりしておきましょう。
社会がこうなったらいいな、と思っていることを、お店を作りその活動から着実に進めていくカフェ・カワセミピプレットさん。今後も活動から目が離せません!
(奥秋亜矢)
子ども乗せ電動自転車 有料モニター募集(※すでに終了しています)
JR中央線高架下の管理運用をしている株式会社ジェイアール東日本都市開発が、新規事業のモニターを募集中。その新規事業というのが、駅近くの駐輪場利用がセットになった子ども乗せ電動アシスト自転車のレンタルサービス。子どもを乗せることができる電動アシスト自転車の相場は、安くても10万円以上。そして子どもが成長してきたらやがて使わなくなるもの。それを駐輪場区画とセットでレンタルするということで、今後事業化されたときには利用を検討する人もかなりいそう。駅近くに専用駐輪場がある安心感。ちなみに区営駐輪場の月額利用料は、西荻窪西駐輪場で1ヶ月2300(2F)〜2600円(1F)。
募集は1月31日までで、実施期間は2月6日〜3月5日の1ヶ月間。モニターは有料で、税込1,000円ですが、子ども用のヘルメットが無償でついてきたり、保険加入もあったりと、とてもお得(応募多数の場合は抽選にて決定)。利用終了後に対面でのアンケートがあるそうです。
詳細はこちらのリンクから。
https://media.nishiogi.guide/3737/
(すでに終了しています)
西荻のこと研究所
メルマガアンケート
メルマガ読者の皆様からの叱咤激励をいただきたく、アンケートを作ってみました。何度でも構いませんので、新しいご意見を思いつきましたら、ぜひ投稿してください
アンケートはこちらから
読みやすい杉並区議会議事録
平成30年9月から令和2年6月までの杉並区議会より、都市計画道路補助132号線に関するやり取りの部分だけを抜粋したPDFを作成しました。
どんなやりとりが行われているのか、ぜひチェックを。
読みやすいように縦書きでレイアウトしてみました。
以下よりダウンロードしてください。
https://nishiogi.org/wp-content/uploads/2020/08/gijiroku132.pdf
西荻窪の未来を考える会 議事録
2020年7月17日と11月20日、西荻北銀座商友会の樋代会長と、杉並区の道路と都市計画と商店街関係部署(都市整備部土木計画課・市街地整備課・産業振興センター)の担当者と、西荻のこと研究所メンバーで会合を持ちました。その際の議事録をHPにアップしました。
この「西荻窪の未来を考える会」は、将来的には西荻窪エリアに住む住民にもっと開かれたまちづくり会合の場を実現するべく、その準備として行っています。
西荻窪の未来を考える会議第1回
西荻窪の未来を考える会議第2回
本メールマガジンに掲載したアンケートと座談会を収録した冊子ができました。300部限定で配布をしていますので、必要な方は西荻のこと研究所までご連絡ください。
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参加希望の方、まずはメールをお送りください。
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次号 2021年2月11日(木)予定
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